ナット・アダレイ徹底ガイド|コルネットの歌心と名盤で辿るハードバップからソウル・ジャズへの軌跡
イントロダクション — ナット・アダレイという存在
ナット・アダレイ(Nat Adderley, 1931–2000)は、コルネット奏者としてハード・バップからソウル・ジャズへと橋渡しをした重要なミュージシャンです。弟キャノンボール・アダレイ(Cannonball Adderley)率いるグループでの長年の活動と、自身のリーダー作での作曲/演奏の両方で知られ、特に「Work Song」などの名曲はジャズのスタンダードにもなりました。
ナット・アダレイを知るための聴きどころ
- コルネットの歌心:トランペットに比べやや柔らかでブルージーな音色を活かし、メロディを歌うように演奏します。感情表現が豊かで、ソロだけでなくアンサンブルでの呼吸も魅力。
- ブルースとゴスペルの源流:楽曲やフレージングには黒人音楽のルーツが色濃く反映され、聴き手にストレートに訴える力があります。
- 作曲家としての側面:「Work Song」などのオリジナルは、シンプルながら強烈なフックを持ち、演奏され続ける名曲となっています。
おすすめレコード(アルバム解説)
1) Work Song — Nat Adderley(Riverside)
ナットの代表作かつタイトル曲「Work Song」は彼の作曲としても最も知られるナンバーです。メロディの簡潔さとリズムの推進力が特徴で、コルネットの暖かい音色とバンドのグルーヴが直球で楽しめます。リズムセクションとの相性や、ホーン同士の掛け合いを聴くのに最適な一枚です。
聴きどころ:
- タイトル曲「Work Song」のモチーフの効かせ方と、ソロの構築。
- ブルージーな語り口とリズムの疾走感のバランス。
2) The Cannonball Adderley Quintet in San Francisco — Cannonball Adderley(Live)
キャノンボール名義の名ライブですが、ナットは重要なパートナーとして常にバンドの中心にいます。このアルバムは観客の反応が温かく、ソウルフルな「This Here(=’Dis Here’)」などが乗る、グルーヴが前面に出た名盤です。ナットのコルネットがライブならではの即興表現で冴え渡ります。
聴きどころ:
- ステージの熱気とバンドの一体感(ナットとキャノンボールの対話)。
- ブラック・ルーツに根ざしたリズムとホーンの掛け合い。
3) Them Dirty Blues — Cannonball Adderley(スタジオ)
こちらもキャノンボールのアルバムですが、ナットが重要なソロイスト/作曲者として寄与しています。「Work Song」やラテン系グルーヴを取り入れた曲など、ソウルとハード・バップの接点が明確に出た作品で、ナットの多彩な表現が楽しめます。
聴きどころ:
- ナットの作曲センスが光るナンバー群。
- バンド全体で作るダイナミックなビート感。
4) Nippon Soul — Cannonball Adderley(Live in Tokyo)
日本公演を収めたライブ盤で、バンドが海外ツアーで見せた高いアンサンブル力と即興の妙を堪能できます。ナットのソロやフレーズの選択が鮮やかに映えるため、ライブでの彼の魅力を知るにはうってつけです。
聴きどころ:
- 海外公演ならではの自由度と、聴衆との一体感。
- ナットの即興におけるダイナミクス(静と動の使い分け)。
5) Nat Adderley(コンピレーション/編集盤)
長いキャリアの中でリーダー曲・参加曲が点在しているため、まずは編集盤や“Best of”的なコンピレーションで彼の代表曲を俯瞰するのもおすすめです。代表曲をまとめて聴くことで、ナットの演奏スタイルや作風の変遷が把握しやすくなります。
聴きどころ:
- 代表曲群を通して見る作曲/アレンジのパターン。
- 共演者(キャノンボール、ピアニストやリズム隊)との関係性の変化。
各アルバムを聴く際のポイント(実践的なリスニングガイド)
- まずはメロディ(テーマ)に集中する:ナットの歌心はテーマの言い回しに表れます。テーマがどう変奏されるかに注目。
- ソロの「語り口」を追う:一つのソロを物語として捉え、冒頭からクライマックスまでの盛り上がり方を聴き取ると理解が深まります。
- ホーン同士の掛け合いを楽しむ:兄弟(キャノンボール)とのフロントラインは、コール&レスポンスや対位の妙があります。
- リズム隊に注目:ナットのフレーズはリズム主体の楽曲で特に映えます。ベースとドラムが作るグルーヴが彼のフレーズにどう応えるかを感じてください。
選曲・収集のアドバイス(どの盤を選ぶか)
- まずは代表曲(Work Song 等)を収めたオリジナル・アルバムか編集盤を:ナットの“顔”がすぐに分かります。
- ライブ盤でのエネルギーも体験する:スタジオ盤とは違う即興のスリルが味わえます。
- キャノンボール名義の重要作もチェック:ナットが欠かせない役割を果たしているため、両者をセットで聴くと理解が深まります。
まとめ
ナット・アダレイは、コルネットという楽器でメロディを“歌わせる”名手でした。代表作「Work Song」を起点に、キャノンボールとの共演作やライヴ盤を併せて聴くことで、彼の音楽的な幅と人間味あふれる表現がよく分かります。まずは代表曲を何度か繰り返し聴き、次にライブや編集盤で周辺の名演を掘っていくのがおすすめです。
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参考文献
- Nat Adderley — Wikipedia
- Work Song (Nat Adderley album) — Wikipedia
- The Cannonball Adderley Quintet in San Francisco — Wikipedia
- Them Dirty Blues — Wikipedia
- Nippon Soul — Wikipedia
- Nat Adderley — AllMusic
- Nat Adderley — Discogs


