ジェリー・ゴールドスミスの名盤厳選8枚|アナログLPで聴く映画音楽とリイシュー選びのコツ
はじめに — ジェリー・ゴールドスミスとは
ジェリー・ゴールドスミス(Jerry Goldsmith, 1929–2004)は、映画・テレビ音楽の巨匠のひとりです。緻密なオーケストレーション、革新的な音色づくり(電子音や新しい混合音響の導入)、そして場面を的確に捉えるリリカルなテーマ作りで知られます。ここではレコード(アナログ盤)で聴くに値する代表作・名盤を厳選して深掘りします。それぞれの作品の聴きどころ、作品背景、レコメンド盤の選び方(原盤・リイシューのタイプ)を中心に解説します。
おすすめレコード(厳選)
Planet of the Apes(1968) — 『猿の惑星』
特徴:金管や打楽器を中心に据えた原始的かつ攻撃的なサウンド・スケープで、SF映画音楽のひとつの到達点。モチーフの反復と効果音的なアレンジが作品世界を強固に支えます。
聴きどころ:「Main Title」「The Funeral/End Title」など、劇中の緊張感をそのまま再現する楽曲群。ゴールドスミスの実験的な打楽器使いやアンビエントな処理が際立ちます。
レコード選びのヒント:オリジナルLPは時代特有のミックスで味わい深いですが、近年は180gのリマスター再発や限定カラー盤が出回ることがあります。音像のクリアさと収録トラック(オリジナル・アルバム版か拡張版か)を確認してください。
Chinatown(1974) — 『チャイナタウン』
特徴:抑制のきいた室内楽的な編成で、都会の陰影と人間ドラマを繊細に表現するスコア。ジャズ風味とノスタルジックなテーマが作品のムードを深めます。
聴きどころ:「Main Title」「Noah Cross Theme」など。少人数編成の音色の隙間から登場するメロディの余韻が印象的です。
レコード選びのヒント:オリジナルLPは収録時間の関係で選曲が凝縮されています。音場のニュアンスを重視するなら良好なコンディションのオリジナル盤か、オーディオ的にリマスターされた再発盤を探すと満足度が高いでしょう。
The Omen(1976) — 『オーメン』
特徴:宗教的・カルト的な要素を強烈に描いたホラー・スコア。合唱、ホルン、金管群を効果的に用いた重厚なサウンドで、映画音楽として非常に強いインパクトを残しました。ゴールドスミスはこの作品でアカデミー作曲賞を受賞しています。
聴きどころ:「Ave Satani」(劇中の“悪のアンセム”)は外せません。合唱を中心とした儀式的なトラックが秀逸です。
レコード選びのヒント:初期のサウンドトラックLPは恐怖感を直に感じられるミックスです。近年はホラー名盤の再発が多く、限定盤やカラー盤などコレクター向けのリイシューも出ています。
Alien(1979) — 『エイリアン』
特徴:ミニマルで不安を煽るサウンド・デザイン的な要素が強いスコア。弦楽の細やかなクラスター、電子音的効果、間を活かした構成で終始張り詰めた緊張感を保ちます。
聴きどころ:「Main Title」「The Landing」「The Alien」など。劇伴としての機能性と不気味さのバランスが絶妙です。
レコード選びのヒント:映画公開当時のアルバムと、後年に出た完全版・拡張盤では収録内容が異なります。サウンドデザイン的な細部を楽しみたいなら拡張リリース、映画の瞬間瞬間を切り取った“アルバム”体験が欲しければオリジナルLPを。
Star Trek: The Motion Picture(1979) — 『スター・トレック』
特徴:叙情的で壮大なスペース・スコアの代表作。壮麗なホーンと弦、そしてドラマティックな主題が際立ち、SF映画音楽の象徴的名場面を彩ります。
聴きどころ:「Main Title」「V'Ger」など、宇宙的なスケール感と緻密なオーケストレーションを堪能できます。
レコード選びのヒント:本作もオリジナルのアルバム版と拡張盤が存在します。オーケストラの深みを求めるなら良好なマスターからのリマスター盤や重量盤を選ぶと良いでしょう。
First Blood(1982) — 『ランボー/怒りの脱出』(※邦題の扱いによる)
特徴:緊張感あるアクションと内面劇を同時に描くスコア。ゴールドスミスらしいダイナミックなオーケストレーションが、主人公の孤独感や緊迫した局面を効果的に後押しします。
聴きどころ:静と動のコントラストを活かしたテーマ群。場面転換で表情を変えるサウンドはゴールドスミスの巧みさがよく出ています。
レコード選びのヒント:アクション映画ながら内省的な要素も強いスコアなので、原盤のダイレクトな録音を楽しめる盤を推奨します。
Total Recall(1990) — 『トータル・リコール』
特徴:SFアクションにふさわしいエッジの効いたオーケストレーション。未来世界を描くための異質な音色やリズム使いが随所に見られます。
聴きどころ:分かりやすいテーマと映画的な展開。アクション・セットピースに合うインパクト重視の楽曲が楽しめます。
レコード選びのヒント:近年のリマスターやサウンドトラック専門レーベルによる再発で音質が向上していることがあるので、再発盤の音源情報をチェックしてください。
LA Confidential(1997) — 『L.A.コンフィデンシャル』
特徴:フィルム・ノワールを現在に再構築するような渋いジャズ風味とシネマティックなオーケストレーションが同居する大人のスコア。往年のハリウッド臭を残しつつ現代的な洗練が加わっています。
聴きどころ:ドラマ性の高いテーマやサスペンスを深める伴奏パート。作品全体のムード作りが非常に巧みです。
レコード選びのヒント:比較的新しい作品なので、CD中心のフルスコア世代のリリースが多い反面、アナログ化されたリイシューも出回っています。盤の仕様(重量盤やカラーバイナル等)を確認すると良いです。
各レコードの楽しみ方(音楽的観点)
テーマの比較:ゴールドスミスは劇的で覚えやすい主題を作る一方、場面ごとの色付け(アンビエンス、打楽器、電子音)を巧みに組み合わせます。複数作を並べて聴くと「テーマの作り方」と「音響処理の傾向」が見えて面白いです。
編成と音色に注目:小編成で密やかに進めるもの、巨大なオーケストラで圧倒するもの、合唱を使った儀式的なものなどバリエーションが豊富です。編成の違いが音楽の語る“映画の質感”そのものを決定します。
モチーフの発展と再現:短いモチーフを場面ごとに変形させて使う手法が多く、劇中の心理の変化を音楽で追う楽しみがあります。
盤(リイシュー)を選ぶときのチェックポイント(音源面)
「オリジナル・アルバム版」か「拡張スコア/コンプリート・スコア」かを確認する。前者はアルバム的に整理された名曲集、後者は映画に忠実な完全版を楽しめます。
リマスタリング情報:マスター・ソース(オリジナル・テープ)からのリマスターか、ノイズ除去やダイナミクス処理がどう行われているかで音の印象は大きく変わります。
レーベル/プレス情報:Waxwork、Music On Vinyl、La-La Land、Intrada、Film Score Monthlyなど、サウンドトラックの良質リイシューで定評のあるレーベル製盤はチェックに値します。
聴きどころまとめ(初心者向けガイド)
初めてGoldsmithをアナログで聴くなら:内省的な映画音楽から劇的なスコアまで幅広く体験できる「Chinatown」「The Omen」「Star Trek」あたりを組み合わせると彼の表現域がよく分かります。
ホラー/SFの名手として楽しむなら:「The Omen」「Alien」「Planet of the Apes」を並べて音色やサウンド制作の変遷を追うと発見が多いです。
アクション/ドラマ性を重視するなら:「First Blood」「Total Recall」「LA Confidential」などのスコアでゴールドスミスの“映画を押し上げる力”を体感してください。
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