マーティー・ロビンス名盤ガイド:Gunfighter Balladsを軸に西部劇バラードとジャンル横断の聴きどころを徹底解説
はじめに — マーティー・ロビンスという存在
Marty Robbins(マーティー・ロビンス、1925–1982)は、アメリカン・カントリーの巨星でありながら、ウエスタン・バラッドからポップ、ロカビリー、ラテン風アレンジまで幅広い音楽性を持っていたシンガー/ソングライターです。物語性の強い楽曲、落ち着いたバリトンの歌声、そして時に映画的なアレンジで、彼の作品は1950〜1970年代のカントリー/ポピュラー音楽の重要な財産になっています。本稿では「レコード(作品)として手に入れる価値の高い」おすすめ盤を中心に、楽曲/作風の深掘りと聴きどころを解説します。
おすすめレコード(必聴セレクション)
Gunfighter Ballads and Trail Songs(1959)
マーティーの代表作にして、ウエスタン物語(ガンファイター/トレイル・ソング)を集めた傑作アルバム。収録曲「El Paso」は語られるドラマ性、メロディ、そしてロビンスの語り口的な歌唱が一体となった名曲で、彼を広くポピュラー層まで知らしめました。「Big Iron」なども含め、長編の叙事詩的な楽曲が続き、1枚通して西部劇を観るような体験ができます。
聴きどころ:物語構成(情景描写とクライマックス)、ギターやストリングスで作られる映画的アレンジ、語りを含む歌唱表現。
More Gunfighter Ballads and Trail Songs(続編)
上記の成功を受けて制作された続編的な作品群。雰囲気や狙いは前作と近く、ウエスタン世界の拡張として楽しめます。オリジナルの世界観やロビンスの語りの技術をさらに味わいたいリスナーにおすすめです。
聴きどころ:前作と並べて聴くことで見えてくる一貫したテーマ性と、レパートリーの広がり。
シングル/ヒット集(El Paso / Devil Woman ほか)
マーティーはシングルヒットも多く、単発の名曲群をまとめたグレイテスト・ヒッツ系の編集盤は“彼の多面性”を知るうえで非常に有効です。代表曲「El Paso」以外にも「Devil Woman」など、ポップ/カントリー的なヒット曲群は、アルバム単位では見えにくい側面を補ってくれます。
聴きどころ:シングルヒットのアレンジの多様性(カントリー寄りからポップ寄りまで)、ヒット曲ごとの録音時期の違いによる音色の変化。
Return of the Gunfighter(および関連ウエスタン系アルバム)
ウエスタン/ガンファイター路線へ再接近した作品群。物語性と荒野の情景を重視した曲が中心です。前述の傑作と比べて入手が難しい初期盤もありますが、シリーズ全体を聴くことでロビンスのウエスタン表現の変遷が浮かび上がります。
聴きどころ:物語のテーマの扱い方の変化、アレンジ・演奏の違い。
バラード/ポップ寄りの作品(コンパイルでの入手を推奨)
マーティーは単なる“銃と馬の物語”の人ではなく、バラードやラテン風アレンジ、ハワイアン調の録音など多彩な一面を持っていました。こうした楽曲は彼の抒情的な側面を示すため、ジャンル別のコンピレーションや編集盤でまとめて聴くのがおすすめです。
聴きどころ:低音部に安定感のある歌声による表現力、異ジャンルを横断する歌唱の柔軟さ。
各レコードの深掘りポイント(楽曲・編曲・演奏)
ストーリーテリングとしての楽曲構造
マーティーのウエスタン名曲は短い尺の中で主人公の出自・葛藤・クライマックス・結末を描く“短編小説”的構造を持ちます。例えば「El Paso」は冒頭で情景・人物を示し、犯罪と恋、逃亡と帰還、そして悲劇をテンポよく描写します。物語の進行に合わせたダイナミクス(イントロ→展開→クライマックス→余韻)が楽曲の魅力です。
アレンジと“映画的”な演出
ウエスタンものではギター、ストリングス、時にはホーンが効果的に使われ、サウンドは映画音楽的。レコーディングではNashvilleの腕利きセッション・プレイヤーたちが支え、細かな効果音的なフレーズやリフが物語性を後押しします。
歌唱表現 — 低く落ち着いたバリトンの“語り”
ロビンスの声は語りを含む表現に長けており、まるでナレーターが情景を語るかのように聴き手を引き込みます。感情の表出は急激ではなく抑制的で、その抑制が物語の緊張感を高めます。
ジャンル横断性
ウエスタンが代表的ですが、ロカビリーやポップ、ラテン/ハワイアン調など多様な音楽を消化している点も重要です。これが彼の作品を時代やリスナー層を越えて魅力あるものにしています。
レコード収集の視点 — 何を基準に選ぶか
作品の「時代」と「テーマ性:ウエスタン寄りか、ポップ/バラード寄りか」をまず区別すると良い。ウエスタンを求めるなら上記のGunfighter系を中心に、ヒット曲中心ならグレイテスト系の編集盤が効率的。
オリジナルLPと編集盤では選曲や曲順が異なるため、アルバムとしての世界観を重視するならオリジナル・アルバム(初出のLP)を、代表曲を網羅した聴きやすさを重視するならコンピレーションを選ぶ、といった基準が有効です。
70年代以降の再発やCD化ではステレオ化・リマスタリングが施されたものも多く、オリジナルの雰囲気(モノラル・ミックス)を重視するか音質の現代化を重視するかで選び方が変わります。
マーティー・ロビンスの影響と聞き手への提言
物語性の高い楽曲は他ジャンルのリスナーにも刺さりやすく、映画音楽のような聴き方ができる作品群は、歌詞の英語に自信がない場合でも“情景とドラマ”を楽しむことで十分に楽しめます。まずは「Gunfighter Ballads and Trail Songs」を起点に、気になった曲のシングルやコンピを横断的に聴くと、ロビンスの多面性が鮮明になります。
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