Throwing Musesのおすすめアルバムを徹底解説|初期〜再結成盤までの音楽的変遷を深掘り
Throwing Muses — おすすめレコード深堀コラム
Throwing Muses(スロウイング・ミューズ)は、1980年代中盤から活動を続けるアメリカ出身のオルタナティヴロック/インディ・ロックの重要バンドです。リード・ソングライターであるKristin Hershの詩的かつ断続的なメロディと、独特のリズム感・ダイナミクスがバンドの核となっており、Tanya Donnellyの在籍期にはツイン・ボーカル/メロディの化学反応も聴きどころでした。本稿では、バンド史を追いつつ、ヴィンテージ感や音楽的変遷を味わえるおすすめレコードを厳選して深掘りします。
選定基準(なぜこのアルバムを推すのか)
- バンドの音楽的到達点や変化がわかること
- 代表的な楽曲や制作面での特徴(プロデューサー、編成の変化など)がはっきり現れていること
- 時代的影響力や現在でも聴き返す価値が高いこと
おすすめ盤一覧(深掘り解説)
Throwing Muses (デビュー盤) — 1986(4AD)/ 1987(米国版)
解説:4ADでのデビュー作は、Kristin Hershのソングライティングが荒々しく刃をのぞかせる短編的楽曲群で構成されています。強烈な感情表現と断続するアレンジ、時には歌と語りが入り混じるスタイルは当時のポストパンク/オルタナティヴの文脈で非常に異彩を放ち、後のインディ・ロックに与えた影響は大きいです。
聴きどころ:抑揚の激しい構成、Kristinのヴォーカルの表情、ギターの鋭いカッティング。Tanya Donnellyがまだ在籍していた初期のアンサンブル感も楽しめます。
Hunkpapa — 1989(Sire)
解説:米国のメジャー系レーベル(Sire)で出した作品で、サウンドの幅が広がり、メロディックでダイナミックな曲が増えています。Tanyaのメロディ的寄与も色濃く残る最後期の“ツイン・ソングライター体制”の集大成的側面があります。
聴きどころ:ポップセンスと混沌のバランス、スタジオ・アレンジの豪奢さやリズムの強化によってライブでの切迫感とは異なる聴き応えを提示しています。
The Real Ramona — 1991(4AD / Sire)
解説:Gil Norton(のようなプロデューサー/エンジニアとともに制作されたこの時期の作品)は、バンドの“より楽曲志向”の側面を押し出した働きかけがあり、メロディアスでキャッチーな要素が前面に出ています。Tanya Donnellyはこの頃に脱退し、その後Bellyを結成しますが、The Real Ramonaは新編成での成熟を示す一枚です。
聴きどころ:ポップとインテンスさが同居する楽曲構造、歌詞の内省性と表現力の高さ。ラジオやミュージック・ビデオでの露出が増えた時期でもあり、バンドの“分かりやすさ”がぐっと増したアルバムです。
University — 1995(4AD)
解説:90年代半ばのこの作品では、Kristin Hershのソングライティングがさらに個人的、内省的になり、アレンジもより洗練されていきます。バンドとしての実験性と成熟が良いバランスで同居しており、ファンからも批評家からも高い評価を受けた作品です。
聴きどころ:緻密な楽曲構成、抑制された中にも光るメロディライン、演奏陣の確かなテクニックが聴きどころ。インディ寄りの感触とポップな要素が同居した良作です。
Throwing Muses — 2003(再結成後のセルフタイトル作)
解説:一度活動を縮小した後の復活作として、キャリアの蓄積を反映した落ち着きと深みが感じられるアルバムです。旧来の激しさだけでなく、楽曲の余白や静寂を大事にする表現も増えています。
聴きどころ:成熟した声の表現、曲ごとの緩急と配置、キャリアを俯瞰したような歌詞世界。
補足:シングル/EP・コンピレーションで聴くべきもの
Throwing Musesはアルバム単位の完成度が高い一方で、シングルやEP、コンピレーションにしか収録されていない佳曲もあります。初期のデモ/シングル群や、4AD期の12インチカットはバンドの荒削りな魅力を直接感じられるため、アルバムと併せて探す価値があります。
サウンドの変遷と聴き方のアドバイス(アルバムごとの楽しみ方)
- デビュー〜初期:荒々しさと断片的な美を味わう。短い曲の連なりを物語として聴くのが楽しい。
- Hunkpapa期:楽曲アレンジの幅広さとポップ性に注目。Tanya在籍期のハーモニーもポイント。
- The Real Ramona以降:楽曲中心の構成と、繊細な表現力の進化を追う。
- 再結成以降:バンドの成熟と、Kristin Hershの歌声の深まりを聴き取る。
どの盤を買うべきか(レコード収集の視点)
オリジナルの4AD盤(UKプレス)は当時のアートワークや音作りをそのまま体感できることが多く、初期音源を味わうには最適です。米国盤(Sire)リリースはトラックリストやミックスが異なる場合があるため、どのバージョンが自分の好みに合うかを事前に確認すると良いでしょう。近年のリマスター再発では音の鮮度や低域の整理が行われていることもありますので、音質面の好みで選ぶのも手です。
Throwing Muses が残した影響と現代での聴きどころ
Throwing Musesの影響は、90年代以降の女性ソングライターやインディ・ロックに広く及んでいます。Kristin Hershの表現手法(断続するメロディ、詩的な断章、強弱の極端な変化)は現在の多くのアーティストにも受け継がれています。初めて聴く人は、アルバムを通して「揺れ動く感情の流れ」を味わってみてください。短い曲と長めの曲が混在するため、全体の流れに身を任せるとバンドの真骨頂が見えてきます。
まとめ
Throwing Musesは、一聴して“キャッチー”とも“難解”とも言い切れない、多層的な魅力を持つバンドです。デビュー盤の尖ったエネルギー、Hunkpapaのポップ性、The Real Ramonaの楽曲志向、Universityでの成熟、そして再結成後の円熟──それぞれに異なる良さがあり、どの時期の盤も「今の自分」に響くポイントが変わるはずです。まずは上で挙げた名盤から聴き比べ、創作背景や編成の変化を意識しながら深掘りしてみてください。
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参考文献
- Throwing Muses - Wikipedia
- Throwing Muses | AllMusic
- Throwing Muses — 4AD (official)
- Pitchfork — 各アルバムのレビュー検索(該当記事を参照)


