Emperor(エンペラー)徹底解説:シンフォニック・ブラックメタルの金字塔と影響力の全貌
プロフィール:Emperorとは
Emperorはノルウェー出身のブラックメタル・バンドで、1990年代のブラックメタルにおける最も影響力のある存在の一つです。シンフォニックなキーボードを大胆に取り入れた高度に構築された楽曲群と、凶暴なアグレッションを両立させたサウンドで知られます。主要メンバーにはIhsahn(ボーカル/ギター/キーボード)とSamoth(ギター)を中心とし、Trym(ドラマー)や初期メンバーのMortiis(ベース/キーボード)などが参加しました。
来歴の概観
- 1990年代初頭に結成され、デモやEPを経て1994年にフルアルバム『In the Nightside Eclipse』で大きな評判を獲得。
- その後も『Anthems to the Welkin at Dusk』(1997)、『IX Equilibrium』(1999)、『Prometheus: The Discipline of Fire & Demise』(2001)といった重要作を発表し、2000年代初頭に一度活動を休止。
- 以降は断続的に再結成・ライブ出演を行いつつ、メンバーはソロ活動(特にIhsahnのソロワーク、Mortiisのソロプロジェクト等)でも評価を高めています。
音楽的特徴と魅力
- シンフォニックとアグレッションの融合:
Emperorのサウンドは、クラシック的なハーモニーや管弦楽的なキーボード層と、ブラックメタル特有のトレモロ・ピッキング、ブラストビート、極端なボーカルを組み合わせることで成立します。これにより「暗黒の叙情性」と「凶暴さ」が同居した独自の美学を生み出しています。
- 構築されたアレンジと曲構成:
短いリフのループではなく、章立てのある曲展開や複数のテーマを使った長尺楽曲が多く、聴けば聴くほど層が見えてくる深さがあります。複雑なリズムの変化や転調も特徴です。
- Ihsahnの表現力:
ヴォーカルだけでなくキーボードや楽曲アレンジでも大きくバンドの色を決定づけた存在です。後年のソロ作品で見せる進化(プログレッシブ/ジャズ的要素の導入)も、元来の作曲センスの延長線上にあります。
- 空間と雰囲気の作り込み:
レイヤーされた鍵盤、リバーブ/ディレイの使い方、冷たく広がるミックスなどにより、荘厳で夜景的な“空間”をリスナーに提示します。単なる速さや激しさだけではない“情景描写力”が魅力です。
代表作・名盤解説
- In the Nightside Eclipse(1994)
Emperorの評価を決定づけたデビュー・フルアルバム。シンフォニック要素の導入とブラックメタルの激烈さを高い完成度で両立させ、ジャンルの金字塔となりました。冴えたキーボード・アレンジと特徴的なリフワークが際立ちます。
- Anthems to the Welkin at Dusk(1997)
よりアグレッシブかつ複雑な構成を志向した2nd。本作ではクリーンなプロダクションとスピード感の両立、そして緻密なアレンジが高く評価されました。黒さと技巧性のバランスが鋭利です。
- IX Equilibrium(1999)
ヘヴィさとダイナミクスを強化した作品。前作までのシンフォニックな側面を継承しつつ、さらに攻撃的な表現が前面に出ています。
- Prometheus: The Discipline of Fire & Demise(2001)
複雑な構造美と演奏の高密度さが特徴の一枚。プログレッシブな要素やテクニカルな側面が強調され、賛否を呼んだ実験色の強い作品でもあります。Emperorの表現の幅を示す重要作です。
ライブ/パフォーマンスの魅力
- 緻密なスタジオ作品を携えたライブは、再現性だけでなく即興的な迫力も兼ね備えています。キーボードとギターの重なり、激烈なドラミングが会場の空気を支配します。
- 視覚的にはシンプルな黒を基調としたステージングが多く、「音で魅せる」スタイルを徹底しています。
メンバーの動向と影響
- Ihsahnはソロ活動でさらに実験性を押し広げ、プログレッシブやジャズの要素を取り入れた作品群で高い評価を維持しています。
- Mortiisはバンド脱退後にダークアンビエント/インダストリアル寄りのソロを展開し、ブラックメタル以外のシーンでも独自の地位を築きました。
- Emperorそのものは多くの後進バンド(シンフォニックブラックやポストブラック系含む)に強い影響を与え、ジャンルのサウンドメイキングにおける一つの基準を作りました。
Emperorの影響と評価
技術的完成度と音響的な美学を兼ね備えた作品群により、ブラックメタルの中でも特に芸術性・楽曲完成度の高さで評価されています。Dimmu Borgirなど後続のシンフォニック系バンドのみならず、幅広いエクストリームメタルのミュージシャンに影響を与え続けています。
おすすめの聴き方(入門〜深堀)
- まずは『In the Nightside Eclipse』で彼らの世界観の核を掴む。
- 次に『Anthems to the Welkin at Dusk』でスピード感と技巧性を体感。
- その後『IX Equilibrium』『Prometheus』へ進み、構造の複雑さや実験性を味わうと、Emperorの多層的な魅力が見えてきます。
- ライブ録音やIhsahnのソロ作品も併せて聴くと、個々の演奏・作曲の進化が理解しやすいです。
なぜ今も聴かれ続けるのか
Emperorの楽曲は単なる「黒い速さ」やショック要素に依存せず、高度な作曲技術と音響的な表現を持っているため、時間が経っても色褪せない強度と美しさを保っています。ブラックメタルという枠組みを超え、楽曲としての普遍性と芸術性を持つ点が大きな魅力です。
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