Mayhemとは何者か?ノルウェー・ブラックメタルの歴史・音楽性・代表曲を徹底解説

Mayhemのプロフィール

Mayhemはノルウェーのブラックメタルを代表するバンドで、1984年にオスロで結成されました。初期から過激な表現・映像・パフォーマンスを通して「ブラックメタル」というジャンルの美学とムーブメントを確立し、その影響力は世界中の極端なメタルシーンに及んでいます。楽曲は速いテンポ、鋭いギターリフ、断末魔のようなシャウト/スクリーム、そしてしばしば不気味な空気を作るアンビエント的な間(ま)を特徴とします。

結成から現在までの主な流れ

結成後、MayhemはデモやEPを通じて地下シーンで注目を集め、1987年のEP「Deathcrush」などで早くもその存在感を示しました。1990年代初頭にはメンバー間の事件(ボーカリストの死、バンド内外での衝突)や、1993年のバンド関係者による殺人事件といった悲劇的な出来事により世界的な注目を集めました。これらの事件はバンドの活動や作品の受容に深く影響を与え、同時に物議を醸しました。

音楽面では1994年に発表されたアルバム「De Mysteriis Dom Sathanas」が不朽の名作として評価され、以降もラインナップの変遷を経ながら活動を継続しています。近年もライブや新作で元来のブラックメタル的な攻撃性と実験性を保ち続けています。

音楽的特徴とサウンドの魅力

  • リフとトレモロ奏法:高速で反復されるトレモロ・ピッキングと不協和なリフによって緊張感と不安を煽る。
  • ドラム:ブラストビートと変拍的なアプローチを併用し、曲全体の推進力を生み出す。
  • ボーカル:喚くようなシャウトや金属的なスクリームで表現される、絶望や怒りを直接的に伝える表現。
  • プロダクション:意図的に生々しく粗い録音を採用することで、冷たく荒涼とした空気感を作り出す(初期ブラックメタルの典型)。
  • 雰囲気作り:アンビエントな間、ノイズ的要素、宗教的・儀式的イメージを用いて聴覚的に「恐れ」や「不穏」を演出する。

代表曲・名盤の紹介

  • Deathcrush (EP, 1987) — 初期の尖った攻撃性と地下的雰囲気が濃縮された作品。ブラックメタル史における重要な一歩。
  • De Mysteriis Dom Sathanas (1994) — Mayhemの代表作にして、ノルウェー・ブラックメタルを象徴する名盤。ダークで荘厳な曲構成、冷たい音像、そして深い影響力を持つ。
  • Live in Leipzig (1993, live) — 初期〜1990年代のライヴ・エネルギーを捉えた記録。実際のライヴ空間での緊張感やパフォーマンスの激しさが伝わる。
  • その他の注目曲 — 「Freezing Moon」「Pagan Fears」などはファンの間で定番化しており、バンドの美学を象徴する楽曲です。

ライブ/パフォーマンスにおける魅力

Mayhemのライブは単なる演奏を超えた「儀式性」を帯びることが多く、視覚的・音響的に観客を圧倒します。コープスペイント(白黒の顔彩)、暗転した照明、演出された不穏な雰囲気などを通じて、音楽とイメージが一体となった体験を提供します。これにより単に曲を聴くのではなく、空間ごと作品化したような没入感を生むのが強みです。

論争と歴史的影響(慎重な整理)

Mayhemは音楽的影響力と同時に、1990年代に起きたメンバーや周辺人物に関する深刻な事件群によって広く知られています。これらの事件はバンドとブラックメタル・シーン全体に対するメディアの注目を集め、文化的・社会的議論を呼び起こしました。歴史を語る際には、暴力的な出来事そのものを賛美するのではなく、それがシーンと音楽の受容にどのような影響を与えたのかという文脈で扱うことが重要です。

聴き方・楽しみ方の提案

  • 初めて聴く人は短めのEP(Deathcrush)か代表曲(Freezing Moonなど)でエネルギーの方向性を掴み、その後で長短のアルバム(特にDe Mysteriis Dom Sathanas)へ進むと全体像がわかりやすいです。
  • 歌詞やライナーノーツ、当時のシーン背景(ノルウェーの若年サブカルチャー、反教会的ムーブメントなど)を合わせて知ると、楽曲が持つ文脈的重みが増します。
  • ライブ音源とスタジオ音源を比較して、録音環境や編集がサウンドの印象に与える影響を味わうのも面白い楽しみ方です。

Mayhemの影響力と現在

Mayhemは「サウンド」の面だけでなく、ブラックメタルの視覚美学、パフォーマンス、DIY精神にまで及ぶ包括的な影響を与えました。今日のブラックメタルの多様化(シンフォニック、ポスト・ブラック、アトモスフェリックなど)は、Mayhemが生んだ基礎的な美学と衝動から派生している面が多くあります。批判や論争と対峙しながらも、彼らの音楽は極端な感情表現や実験性を求めるミュージシャンにとって参照点であり続けています。

まとめ

Mayhemは極端な表現と激烈なサウンドでブラックメタル史に確固たる足跡を残した存在です。音楽としての革新性、ライブでの儀式性、そして歴史的に持つ影響力——これらを理解することで、彼らの作品がなぜ今なお語られるのかが見えてきます。一方でその歴史には負の側面もあるため、音楽をただ消費するだけでなく、背景や倫理的な文脈もあわせて考察する姿勢が求められます。

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参考文献