Cliff Edwards(Ukulele Ike)の全方位ガイド:1920s–30sのウクレレ・ポップと代表曲「When You Wish Upon a Star」

Cliff Edwards(“Ukulele Ike”)とは

Cliff Edwards(クリフ・エドワーズ、別名 “Ukulele Ike”、1895–1971)は、1920年代〜1930年代にかけての大衆音楽シーンで人気を博したシンガー兼ウクレレ奏者です。軽妙でチャーミングなヴォーカル、ウクレレのリズム感あふれる伴奏、そして“しゃべるような”表現力が特徴で、当時のポップ/ジャズ系のレパートリーを多数録音しました。映画『ピノキオ』(1940年)でジミニー・クリケットの声と主題歌「When You Wish Upon a Star」を歌ったことで世代を超えた知名度を得たのも有名です。

活動の概略と音楽的特徴

エドワーズはヴォードヴィルやラジオ、78回転盤の黄金期に活動し、ユーモアと温かみを併せ持つ歌い口で“クローニング(crooning)”的な親しみやすさを大衆に届けました。ウクレレを前面に出したアレンジは当時の都会的なポップ感覚と相性が良く、曲によってはコミカルな語り(キャラクターボイス)やナイーヴな抒情を使い分けます。レコードで聴くと、マイクと録音技術が未だ発展途中の時代ながら、フレージングの妙や間(ま)の取り方、ブリッジ的な短いインプロヴィゼーションが際立ちます。

レコードを聴くときの視点(聴きどころ)

  • ヴォーカル:息遣い、語尾のニュアンス、台詞めいたフレージングに注目する。単なる“可愛い声”に留まらない表現力が魅力。
  • ウクレレ:伴奏の刻み方、リズムの“跳ね”やコードボイシングのシンプルさに耳を向けることで、1920〜30年代のポピュラー楽器感覚が見えてくる。
  • アレンジ:ストリングやホーンの使い方、間奏の短さ、録音上のバランスから当時の編曲思想を読む。
  • パフォーマンス・キャラクター:コミカルな語りやキャラ付け(ジミニー・クリケットのような演技的歌唱)も彼の重要な“商品価値”。

おすすめレコード(厳選)

以下は「初めてCliff Edwardsを聴く」「コレクションに加えたい」といった目的別に選んだ推奨盤です。オリジナルのシングル曲(78回転盤)と、現代の良質なコンピレーションの両面を紹介します。

  • 代表曲シングル:Ukulele Lady(原曲録音)

    「Ukulele Lady」はCliff Edwardsの代表曲のひとつで、ウクレレ伴奏の魅力と彼の歌い回しが凝縮されています。作曲家と作詞家のメロディを軽やかに歌い上げるスタイルは、彼の“代名詞”とも言える演奏です。オリジナル録音(1920年代の78)があればぜひ押さえたい一曲。

  • 初期ポップの名演:Singin' in the Rain(Edwardsによる初期録音)

    「Singin' in the Rain」の初期のポップカバーのひとつに彼の録音があります。後年のミュージカル的解釈とは異なる、軽快でシンプルな表現を楽しめ、時代の空気感を知るうえで貴重です。

  • 映画・代表歌:When You Wish Upon a Star(ピノキオ収録)

    1940年のディズニー映画『ピノキオ』でジミニー・クリケットの声を担当し歌った楽曲。彼の演技的な歌唱力と朗らかな声が合わさった名演で、ポップカルチャー的な影響力でもっとも広く知られる一曲です。映画サウンドトラックやディズニーのコンピレーションで聴けます。

  • コンプリート/決定盤コンピ:Document / Archeophone 等の編集盤(Complete Recordings 系)

    初期のシングル群を年代順にまとめた“Complete Recordings”系のボックス・コンピレーションは、演奏の変遷やレパートリーの幅を追うのに最適です。Document Records、Archeophone、Bear Family といったレーベルが良質な復刻を出していることが多く、音質の整備や詳しい解説(英文ライナーノーツ)が付いている場合が多いのでおすすめです。

  • セレクション盤:ベスト/アンソロジー(AllMusic等で推奨されている編集盤)

    初心者向けには代表曲を集めた“ベスト・オブ”系の編集盤が便利です。各曲のオリジナル・マスター音源からマスタリングされたものを選べば、彼の魅力を短時間で把握できます。盤を選ぶ際は解説の充実度や出典表示(録音年・レーベル表記)をチェックしましょう。

盤の選び方とチェックポイント(購入時の視点)

  • 目的を決める:代表曲だけで良ければベスト盤、網羅したければComplete系ボックスを探す。
  • 復刻レーベルの品質:Document、Archeophone、Bear Family などは初期音源の復刻で評価が高い。ライナーノーツやトラック出典が詳細に書かれているか確認する。
  • 音源の出典表示:録音年やオリジナル・レーベルが明記されていると研究資料としても価値が高い。
  • 選曲の偏り:舞台向けノヴェルティ曲や映画音源、スタンダードのカバーなど、どの側面を聴きたいかで盤を選ぶ。

曲ごとの聴きどころガイド(代表曲を中心に)

  • Ukulele Lady

    ウクレレの刻みやカデンツ、ヴォーカルの間合い。軽やかな語尾処理とコーラスの使い方に注目。

  • Singin' in the Rain(エドワーズ版)

    テンポ感の捉え方、リズムの“跳ね”、マイク時代特有の近接表現。

  • When You Wish Upon a Star

    キャラクターソングとしての表現力。演技的な発声とメロディへの寄り添い方が見どころ。

  • 短いコミカル・ナンバー

    語りや即興的なユーモアの入れ方がよく分かるので、彼の“芸人”としての側面を確認できる。

聴いて楽しむための追加的な視点

  • 時代背景を意識する:録音技術や舞台芸能の流行を踏まえて聴くと、表現の工夫がよりはっきり見えます。
  • 他の同時代アーティストと比較する:同時期のクローナーやウクレレ奏者(例:ハワイアン、ジャズ・ポップ系)と聴き比べると個性が分かる。
  • 映画との関わりを追う:ディズニー作品以降の知名度の変遷や、映画における声の使われ方を軸にすると新たな発見があります。

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参考文献