Narciso Yepesおすすめレコード：10弦ギターと名演盤ガイド

2025年12月11日 最終更新日時 : 2025年12月11日 エバープレイ編集部

ナシーソ・イェペスの魅力

ナシーソ・イェペス（Narciso Yepes, 1927–1997）は、20世紀を代表するスペインのクラシック・ギタリストの一人です。伝統的なレパートリーから現代曲まで幅広く取り上げ、特に10弦ギターの普及と音楽表現への応用で知られます。技巧の明晰さと抑制された表現、美しい音色と曲の構成感を重視した解釈が特徴で、ギター奏法史の重要人物です。

おすすめレコード（入門〜名盤）

  • ロドリーゴ：『アランフエス協奏曲』を含む協奏曲録音

    『アランフエス協奏曲』はギター協奏曲の代名詞的作品。イェペスの録音は、ギターの音色を明瞭に引き出しつつ、オーケストラとの対話を繊細に作る点で評価されています。協奏曲の代表作をイェペスの視点で聴きたい人に。

  • バッハ（リュート作品）／ソロ・ギター録音

    イェペスはバッハのリュート曲をギターで演奏した録音でも高い評価を得ています。対位法の明瞭さとラインの歌わせ方が際立ち、古典／バロック音楽をギターで堪能したい聴き手におすすめです。

  • スペイン古典・ロマン派作品集（アルベニス、グラナドス、ファリャなど）

    民族色豊かな作品群で、イェペスのリズム感と色彩感覚がよく表れるレパートリー。ピアノ原曲やギター編曲の扱いが巧みで、スペイン音楽の魅力が詰まった一枚になります。

  • 10弦ギター名演集（Ten-String Repertoire）

    イェペスの代名詞とも言える10弦ギターをフィーチャーした録音。通常の6弦ギターでは得られない低域の響きや倍音の豊かさが作品の新たな輪郭を浮かび上がらせます。特に和音の充実感や複声部の再現性が聴きどころです。

  • 現代曲・委嘱作品を集めた録音

    イェペスは現代作曲家の作品にも積極的に取り組み、多くの録音を残しました。現代的な和声やリズム、ギターの拡張技法に興味があるなら、これらの録音は彼の表現領域の広さを示してくれます。

各レコードの聴きどころ（聴き分けガイド）

  • 演奏のテクニック：右手のアーティキュレーション（音の立ち上がり・減衰）、左手のレガートやポルタメントに注目すると、イェペスの細やかな表現が見えてきます。
  • 音色の階層：10弦ギター録音では低弦の余韻や倍音の充実が作品の構造を補強します。和音が豊かに聴こえる箇所を比較してみてください。
  • アンサンブル感：協奏曲録音ではギターとオーケストラのバランス、カデンツァの扱い、テンポ設定の柔軟さを確認すると良いでしょう。
  • 解釈の伝統性と革新性：同じ作品でも時代や録音ごとに解釈が異なります。歴史的録音とリマスター盤、もしくは異なる録音年の比較で彼の解釈の変遷が楽しめます。

レコードを選ぶ際のポイント（エディション／録音年代の見方）

  • オリジナル録音かリマスターか：音の鮮明さやダイナミクス感はリマスターで改善されることが多いですが、演奏そのものは録音年に依存します。年代による解釈の差も楽しめます。
  • ライナーノートの充実度：演奏上の背景情報や使用楽器、録音時のエピソードが書かれていると理解が深まります。
  • 収録曲のコンテクスト：同一アルバム内の曲順や編曲の有無が、聴き通したときの満足度に影響します。作品ごとの扱いが自分の好みに合うかを確認しましょう。

聴き方の提案：イェペスの表情を味わう順序

  • まずは代表的な協奏曲録音でギターとオーケストラとの対話を体感する。
  • 次にソロのバッハやスペイン作品でラインの美しさと音色の変化を確認する。
  • 最後に10弦ギターや現代曲で、楽器の拡張性と新しい響きを堪能する、という流れがおすすめです。

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