Les Claypoolおすすめレコードガイド:必聴アルバムと聴きどころ解説

イントロダクション

Les Claypoolはベーシスト/作曲家としてロック界に独自の地位を築いてきたアーティストです。Primusを中心に数多くのバンドやソロ活動を行い、ファン層は幅広く、作品ごとに異なる音楽的冒険が詰まっています。本コラムでは、Les Claypoolに初めて触れる人からコレクターまで楽しめるおすすめレコードをピックアップし、各作の聴きどころ、音楽的特徴、購入時の目安(スタイル/音楽的価値観)を深掘りして解説します。

Primusの必聴盤(入門〜コアファン向け)

  • Frizzle Fry (1990)

    Primusの初期を代表するアルバム。Claypoolの特徴的なスラップ&タッピングを前面に押し出した楽曲群と、奇抜なリリック/サウンドデザインが光ります。バンド編成の生々しさと演奏力が詰まった作品で、Primusの“原点”を理解するには最適。

    代表曲:"Too Many Puppies"、"John the Fisherman"

  • Sailing the Seas of Cheese (1991)

    メジャー進出後の代表作で、より洗練されたプロダクションと幅広い楽曲性が魅力。ヘヴィなベースラインとポップ/ファンク/プログレ的要素が混ざり合い、Claypoolのキャラクターがより明確になった作品です。

    代表曲:"Jerry Was a Race Car Driver"、"Tommy the Cat"

  • Pork Soda (1993)

    ダークで時に不穏な雰囲気を持つ一枚。サウンドの厚みと実験性が増し、歌詞の世界観もよりシュールに。バンドの音楽的幅を深く掘り下げたいリスナーにおすすめ。

    代表曲:"My Name Is Mud"、"Mr. Krinkle"

  • Tales from the Punchbowl (1995)

    より楽曲の構成が凝り、ライブでも人気の楽曲を多く含むアルバム。テクニカルな演奏とキャッチーなフレーズの同居が特徴で、Primusのツボを押さえた一枚です。

    代表曲:"Wynona's Big Brown Beaver"、"Southbound Pachyderm"

ソロ/サイドプロジェクトの名盤

  • Highball with the Devil (1996)

    Claypoolの個性が最もストレートに出たソロ作。ベース主導のトラックにユーモアと実験性が混ざり、Primusでは見られない個人的な表現が多く聴けます。

    キーポイント:ソロならではの自由な編曲とゲストミュージシャンの個性。

  • Of Whales and Woe (2006)

    ソロ第2作。インスト曲から歌ものまで幅広く、Claypoolの作曲センスと音色へのこだわりが分かる一枚。ナラティブなトラックも多く、聴き応えがあります。

  • Of Fungi and Foe (2014)

    さらに実験的な要素を取り入れた作品。音響的なアプローチや変拍子、ユニークな楽器使いなど、音楽的好奇心を刺激する内容です。

コラボレーション/スーパーグループ

  • Oysterhead — Oysterhead (2001)

    Claypool(ベース) × Trey Anastasio(Phish/ギター) × Stewart Copeland(The Police/ドラム)という豪華メンバーによる唯一のスタジオ作。即興性と構成力が同居し、それぞれの色が結びついたユニークなアルバムです。

    聴きどころ:メンバー各々のクセがぶつかる瞬間のスリル。

  • The Claypool Lennon Delirium — Monolith of Phobos (2016) / South of Reality (2019)

    Sean Lennonとの共同プロジェクト。サイケデリックでドリーミーな世界観を作り込み、Claypoolのベースワークが新たな音像を支えます。ロック/サイケ好きにはたまらない作品群。

  • Fearless Flying Frog Brigade(ライブ/再構築)

    ライブ色の強いプロジェクトで、Primus曲やカバーを大胆に再構築。ライブ盤を通じてClaypoolの即興性やアレンジ力を味わえます。

各アルバムの聴きどころ(技術的観点と表現)

  • ベースのフロント化 — Claypoolはベースを単なるリズム楽器ではなく、ソロ楽器/リード楽器として扱います。各アルバムでのベースラインを追うことでメロディーとリズムの両面を楽しめます。

  • リズムの多様性 — ファンク、パンク、プログレ、サイケデリックなどジャンル横断的。リズムの変化やブレイクに注目すると楽曲構造が見えてきます。

  • ストーリーテリング — 歌詞や楽曲タイトルにユーモアや風刺、物語性が強く現れる作品が多いです。歌詞を追いながら聴くとClaypoolの世界観が深まります。

初めて買うならこの5枚(入門リスト)

  • Frizzle Fry — Primus(原点を知る)
  • Sailing the Seas of Cheese — Primus(代表曲とプロダクション)
  • Pork Soda — Primus(ダークな表現)
  • Highball with the Devil — Les Claypool(ソロの自由さ)
  • Oysterhead — Oysterhead(コラボレーションの妙)

購入時の視点(何を基準に選ぶか)

  • スタジオ盤 vs ライブ盤:Studioは作り込みを、ライブ盤は即興性やアレンジの違いを楽しめます。Primusはライブでの展開が魅力なので、ライブ音源の評価も重要です。

  • コラボレーション作:参加ミュージシャンの色が強く出るため、ゲストの好みで選ぶのも面白いです(例:OysterheadやClaypool Lennon Delirium)。

  • 再発/初回盤の違い:リマスターやボーナストラックの有無などで体験が変わります。リリース年やライナーノーツの有無も参考にしてください。

聴き込みのコツ:楽曲理解を深めるために

  • まずは代表曲でClaypoolのベースフレーズを追い、次に曲全体の構成(A/B/ソロ/アウトロ)を把握する。
  • 歌詞や曲タイトルに隠されたユーモアや風刺を読み解くと、聴取体験が豊かになります。
  • 異なるバンド/プロジェクトを横断して聴くと、Claypoolの音楽的変遷やテーマの反復が見えてきます。

まとめ:Les Claypoolのレコードを楽しむために

Les Claypoolの作品は“ベースが主役”というだけではなく、楽曲ごとのアイデア、コラボ相手、ライブでの変化など多面的に楽しめます。上で挙げた入門盤を軸に、ソロ作やコラボ作、ライブ盤へと広げていくとClaypoolの音楽世界を深く味わえます。

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参考文献