Son House(ソン・ハウス)おすすめレコードガイド:名盤・代表作と聴きどころ解説

Son Houseとは:ブルース史に残る魂の叫び手

Eddie "Son" House Jr.(ソン・ハウス)はデルタ・ブルースを代表する歌手・スライドギタリストで、その激烈かつ宗教的な歌唱表現と独特のスライド奏法は後の世代のブルース/ロック・ミュージシャンに多大な影響を与えました。1930年代のレコード録音でその片鱗を残し、1960年代のフォーク/ブルース復興期に再発見されて以降、多くの録音が再発され続けています。本稿ではレコード/LP(および重要な再発)を中心に、代表的な作品、聴きどころ、再発選びのコツを深掘りします。

おすすめレコード(入門〜深掘り)

  • Document Recordsなどの「Complete / Complete Recorded Works」系(初期音源の網羅盤)

    1929–1930年代のパラマウントなどに残した初期78回転音源を収録したコンプリート盤。初期の生々しい録音で、代表曲の原型を確認できます。歴史的価値が高く、曲ごとのオリジナル・テイクや別テイクを比較するのにも最適です。

  • Columbia / Legacy などの1960年代復活期録音をまとめた編集盤(例:「Father of the Delta Blues」的な編集)

    復活期のライヴやスタジオ再録音をまとめた編集盤は、〈Death Letter〉や〈Grinnin' In Your Face〉といった代表曲の名演を高音質で聴ける入門盤としておすすめ。歌の表現力や、年を経た肉声の深みが明瞭に伝わります。

  • 復活期のライブ音源集(ニューポート・フォーク・フェスティバル等の公演収録)

    1960年代のフェス/クラブ公演を収録したライブ盤は、観客との距離感や即興的なテンポの変化が聴ける点で魅力的。スタジオ録音とは異なる生々しさを楽しめます。

  • 名曲集・アンソロジー(AllMusic/Legacyの編集盤など)

    入門者には選曲のまとまったアンソロジーが便利。重要曲をピンポイントで聴きたい場合は、信頼できるレーベル(Legacy、Document、Smithsonian Folkwaysなど)の解説付き編集盤を選ぶと理解が深まります。

代表曲と各盤での聴きどころ

  • Death Letter — 復活期の代表曲。伸びやかな悲嘆の叫びとスライドの泣きが最大の魅力。1960年代の再録音やライヴで聴くと、歌の抑揚と間の取り方がよりドラマチックです。

  • John the Revelator — ゴスペル由来のコール&レスポンスが強烈。宗教的情念がブルース音楽に結びつく典型を示す曲で、ソン・ハウスの信仰的な表現が色濃く出ます。

  • Grinnin' In Your Face — 抑揚の利いた歌唱とリズム感が光る一曲。シンプルな伴奏の中で感情表現が際立ちます。

  • Levee Camp Blues / My Black Mama / Walking Blues — 初期録音に残る曲群。歌詞やフレーズの原型が見られるため、復刻盤で原音に近い録音を聴くと歴史的な背景が理解しやすいです。

盤選びのポイント(どの再発を選ぶか)

  • 目的で選ぶ:歴史的記録として聴きたいなら「Complete」系のDocument等、音質と解説を求めるならLegacy/Columbiaの再発を。ライヴの臨場感を楽しみたいならライブ集を優先。

  • マスター情報とライナーノートを確認:良い再発盤は原盤・マスターの出所、リマスタリング情報、解説が充実しています。不明瞭な編集盤は曲順やソース表示が省かれていることがあるので注意。

  • 複数バージョンの比較:同じ曲でも1930年代のオリジナルと1960年代の再録ではテンポ・フレージング・伴奏法が大きく異なります。お気に入りの一曲があれば、異なる時期の録音を比較して変化を味わってください。

  • 信頼できるレーベルを選ぶ:Document、Columbia/Legacy、Smithsonian Folkways など、出典が明確で解説のあるリリースを優先すると誤情報の少ない聴取体験になります。

聴き方のコツ(表現の細部を捉える)

  • まずはヴォーカルの呼吸とフレーズの間を意識して聴く。ソン・ハウスはフレーズの終わりや一拍ずらした休符で感情を伝えることが多いです。

  • スライドギターはメロディとリズムの両方を兼ねるため、左手の微妙なピッチ変化(ビブラートや半音の揺らぎ)に耳を澄ますと表現の深さが分かります。

  • 歌詞の語彙や宗教的モチーフ(裁き、啓示、死別など)に注目すると、ブルースが個人的告白であると同時に共同体的な語りであることが見えてきます。

さらに深めたい人へのおすすめアプローチ

  • ソン・ハウスの音楽と同時代の録音(ロバート・ジョンソン、チャーリー・パットン等)を並べて聴くと、スタイルの違いや影響関係が理解できます。

  • 複数盤を持つ価値:同じ曲の1930年代オリジナル、1960年代再録、ライブを並べて聴き比べることで、曲の“成長”とアーティストの変遷が実感できます。

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参考文献