Sony HT-G700徹底レビュー：3.1chサウンドバーで体験する手頃なDolby Atmosの実力

2025年12月12日 最終更新日時 : 2025年12月12日 エバープレイ編集部

はじめに — HT-G700とは何か

Sony HT-G700は、手頃な価格帯でDolby AtmosおよびDTS:Xの立体音響体験を提供することを目的とした3.1chサウンドバーです。サウンドバー本体にセンターチャンネルを備え、専用のワイヤレスサブウーファーが同梱される構成で、フロント主体の設置だけで映画的な音場を再現しやすいのが特徴です。小〜中規模リビング向けの「手軽にDolby Atmosを試したい」ユーザーに向けたエントリーモデルに位置づけられます。

主な特徴とスペック（概観）

HT-G700の主要な特徴は次の通りです。

  • 3.1ch構成（左右フロント＋センター＋ワイヤレスサブウーファー）
  • Dolby AtmosおよびDTS:Xのデコード対応（仮想的な高さ表現を含む）
  • Sony独自の音場技術「Vertical Surround Engine」や「S-Force PRO Front Surround」による仮想サラウンド再生
  • HDMI経由での高品位オーディオ伝送に対応（4K/HDRパススルー、eARC対応モデルでは高ビットレート音声のパススルーが可能）
  • Bluetoothによるワイヤレス音楽再生、光デジタル入力、USB再生などの基本的な接続性

（注）製品の詳細な仕様値は販売地域やファームウェアで若干異なる場合があります。具体的な入力端子の数やサポートフォーマットは購入前に公式仕様を確認してください。

音質とサウンドキャラクターの深掘り

HT-G700はフロント主体の再生を前提にチューニングされており、センター専用スピーカーを持つため台詞（ダイアログ）の明瞭さは同クラスのサウンドバーの中でも評価が高い傾向にあります。映画やドラマ視聴ではセリフの定位がはっきりするため、字幕や会話主体のコンテンツでの利便性が高いです。

低域は付属のワイヤレスサブウーファーによって補助され、効果音や重低音の表現を強化します。とはいえフルレンジのAVアンプ＋外部サブウーファーの組み合わせほどの深い低域や力感は期待しにくく、非常に低い周波数の沈み込みを重視するユーザーには物足りなさを感じることもあります。

Vertical Surround EngineやS-Force PROによる仮想サラウンドは、実際のリアスピーカーを置いたときの没入感とは異なりますが、フロントのみで手軽に上方向の広がりや包囲感を得たい場合には有効です。映画の効果音や環境音で空間感を演出する場面では十分な拡がりを感じられますが、音像の精密さや奥行き感の面では上位機や専用のサラウンドシステムに一歩譲ります。

Dolby Atmos / DTS:Xの扱い方

HT-G700はDolby AtmosやDTS:Xのオブジェクトベース音声を受けて仮想的に高さ方向を再現します。家庭での導入メリットとして、天井や壁に専用スピーカーを設置しなくてもAtmosコンテンツの立体感を体験できる点が挙げられます。実際の体感としては「上方向の拡がりを感じるが、個別の高さ定位までは明確でない」という表現が現実的です。

Atmosのフル効果を得るには、ソース再生機器（ブルーレイプレーヤーやゲーム機、ストリーミングデバイス）とテレビ/サウンドバー間のHDMI接続や設定が重要です。ソース側とテレビ側で音声出力設定を"Bitstream"または"Passthrough"、テレビのオーディオ出力設定を"eARC/ARC"経由でHT-G700に渡すようにすることで、Dolby Atmosの信号を正しく伝送できます。

接続性と操作性

HT-G700はHDMI（入力×1、出力×1の構成が多い）、光デジタル、USB、Bluetoothなどを備え、基本的な接続ニーズを満たします。HDMI出力は4K HDRのパススルーに対応しているため、映像機器をこのサウンドバー経由でテレビに接続しても映像品質を損ないません。eARCに対応しているモデルならば、テレビ内蔵アプリや外部デバイスの高ビットレートAtmosをパススルーできます。

リモコンでサウンドモードの切替（映画／音楽など）、ボリューム、サブウーファーレベル調整が可能です。スマート機能（AirPlay/Chromecast）は標準では搭載していないケースがあるため、ネットワーク経由のストリーミングやマルチルーム連携を求める場合は注意が必要です。

設置とセッティングの実用的アドバイス

  • サウンドバーはテレビの下にフラットに置くか、壁掛け用ブラケットを利用してテレビスクリーンと水平に揃えると定位が安定します。
  • センターチャンネルの効果を発揮させるため、サウンドバーの正面に視聴位置を揃えて座るのが基本です。斜めからの聴取だとボーカルの定位がぶれる場合があります。
  • サブウーファーは部屋の隅に置くと低域が強調されますが、ブーミーになりやすいので視聴位置で音を確認しながら最適な位置を探してください。
  • テレビと接続する際は、まずHDMI（eARC/ARC）接続を優先し、テレビ側とソース側の音声出力設定を確認してDolby AtmosやDTS:Xがパススルーされるように設定します。
  • サラウンド感に不満がある場合は、テレビのサウンド設定で"TVスピーカーをオフ"にする、またはサウンドバーの仮想サラウンドモードを調整してみてください。

向いているユーザー／向いていないユーザー

HT-G700は以下のようなユーザーに向いています。

  • フロント主体の手軽なサウンド環境で映画の臨場感を高めたい人
  • センターチャンネルによる台詞の明瞭さを重視する視聴者
  • 限られたスペースでワイヤレスサブウーファーを使って低域を補いたい一人暮らしや小さなリビング
  • 配線やスピーカー設置の工事を避けたい賃貸住宅の住人

逆に向かないケースは以下の通りです。

  • 本格的なマルチチャンネルサラウンド（5.1.2や7.1.4）を求める人
  • 音楽鑑賞で高い解像度やステレオリスニングの広がりを最優先するオーディオマニア
  • ネットワーク経由のストリーミングやマルチルーム連携を第一に考えるユーザー（別途機器が必要な場合あり）

実際の購入時にチェックすべきポイント

  • 自分のテレビがeARC対応かどうか。非対応の場合、Atmosをフルで楽しめない可能性があります。
  • 設置スペースとサブウーファーの配置。ワイヤレスとはいえサブウーファーのサイズや放熱スペースを確認しましょう。
  • 同梱の端子構成（HDMIの数、光デジタル、USB）と今後増える周辺機器の接続計画。
  • 将来的にリアスピーカーを追加したいか。HT-G700は仮想サラウンド重視の設計なので、リア追加に対応する拡張性は機種ごとに異なります。

総評 — コスパと実用性

SONY HT-G700は「手軽にDolby Atmosを体験したい」「台詞の聞き取りやすさを優先したい」ユーザーにとって実用的な選択肢です。物理的なリアスピーカーを設置しなくても映画的な包囲感を得やすく、ワイヤレスサブウーファーの追加で低域の厚みも確保できます。音響的な万能機ではないものの、テレビ視聴中心の家庭用サウンドバーとして高いコストパフォーマンスを示します。

購入後の長期活用ヒント

  • ファームウェアアップデートが提供される場合があるため、購入後は定期的に公式サイトで更新を確認しましょう。
  • ゲーム用途で遅延が気になる場合は、TVと接続したときの遅延（ゲームモード）設定をチェックして最適化してください。
  • 音場の好みが変わったら、サブウーファーのレベルやサウンドモードを都度調整してベストなバランスを探すことが重要です。

まとめ

Sony HT-G700は、3.1chの構成と仮想高さ表現を活かして、比較的小さな空間でも映画的な体験を提供するバランスの良いサウンドバーです。完璧なリアルサラウンドを期待するユーザーには物足りない面もありますが、設置の簡便さと台詞の明瞭性、手頃な価格帯から見た総合的な満足度は高く、多くの家庭で導入しやすい機種と言えます。

エバープレイの中古レコード通販ショップ

エバープレイでは中古レコードのオンライン販売を行っております。
是非一度ご覧ください。

エバープレイオンラインショップのバナー

また、レコードの宅配買取も行っております。
ダンボールにレコードを詰めて宅配業者を待つだけで簡単にレコードが売れちゃいます。
是非ご利用ください。
https://everplay.jp/delivery

参考文献

カテゴリー
用語
前の記事
Indium Tin Oxide（ITO）完全解説：特性・製造・応用・代替材料までの技術ガイド
2025年12月12日
次の記事
ボヘミアの作曲家：チェコ音楽の源流と代表作ガイド
2025年12月12日