Bowers & Wilkins 600 Series S2徹底レビュー:音作り・設計・導入の実務指南

概要:600 Series S2とは何か

Bowers & Wilkins(以下B&W)の600 Series S2は、同社のエントリー〜ミドルレンジ向けスピーカー群のリファイン版として投入されたシリーズです。リスニングルームでの音質性能と映画用途の両立、取り扱いやすさを重視した設計思想が根底にあります。S2(Series 2)の呼称は、従来の600シリーズからの見直し・改良を示し、コストパフォーマンスに優れたB&Wらしい音作りを普段使いの環境に届けることを目的としています。

歴史的背景とポジショニング

B&Wはハイエンド向けの700/800シリーズで知られる一方、600シリーズはより幅広いユーザーにB&Wの音楽性を届けるための主力ラインでした。S2はその進化形で、コンシューマー向けの手が届きやすい価格帯でありながら、技術的なノウハウ(ツィーターやキャビネットの制振、ポート設計など)を継承しています。リビングでの音楽再生やAVシステムのメインスピーカーとして選ばれることが多いシリーズです。

設計の要点(技術的特徴)

  • ツィーターと中低域ユニット:S2シリーズではB&Wの基本設計であるドーム型ツィーター(アルミニウム系などの金属ドームであることが多い)を採用し、キレのある高域とスムーズな空間表現を目指しています。中低域ユニットは同社の長年の経験に基づくコーン素材やエッジ処理で、ボーカルやアコースティック楽器の自然さを重視するチューニングです。
  • Flowport(フローポート)などのポート設計:低域ポートはB&WのFlowport設計に代表されるように、空気の乱流やポートノイズを抑える形状が採用されることが多く、低域の量感を出しつつも“ブーミー”にならないよう配慮されています。
  • クロスオーバーのチューニング:中高域のつながりや位相整合に注意したクロスオーバー設計で、楽器の輪郭やボーカルの前後感を整えています。高価なモデルほど高度なネットワーク採用ですが、S2はコストバランスを考慮しつつ基本性能の底上げを図った構成です。
  • キャビネットと仕上げ:内部の制振やブレーシングを工夫して不要共振を抑制。外観仕上げも複数のカラーバリエーションが用意され、ホームオーディオやリビングのインテリアに馴染みやすくなっています。

音のキャラクター(聞こえ方の特徴)

600 Series S2は「バランスの良さ」と「使いやすさ」を重視した音づくりがなされています。以下は一般的な傾向です。

  • 中域の充実:B&Wの伝統通り、ボーカルや弦楽器が前に出てくる自然な中音域が魅力。ポップスやアコースティック、ジャズでの歌やソロ楽器の表現が得意です。
  • 高域の解像感:金属ドームツィーター由来のシャープさと空間再現が得られます。ただし、上位シリーズほどのエクストリームな伸びやディテールではなく、長時間の試聴でも疲れにくいチューニングです。
  • 低域のコントロール:小〜中音量帯での低域は引き締まり、リズム楽器のアタックやパンチを失いません。フロア型の大型ユニットやサブウーファーが無いと得られない超低域は補えないため、ホームシアター用途ではサブウーファー併用が検討されることがあります。
  • 音場の広がり:定位が明確で左右の広がりも良好。録音の善し悪しをストレートに反映するため、良いソースとの相性が良いです。

代表的なモデルと用途(選び方)

600 Series S2にはブックシェルフ型、フロア型、センタースピーカーやサラウンド用の小型モデルなど複数のラインナップがあり、用途ごとに選び分けます。

  • 小~中規模の部屋(〜20畳程度)での音楽中心:ブックシェルフ型(スタンド設置推奨)は省スペースで音のバランスが良く、デスク周りや小さめのリビングに適します。
  • リビングでのメインシステム/AV用途:フロア型はより豊かな低域と広がりを実現します。AV用途ではセンタースピーカーと組み合わせ、必要に応じてサブウーファーを追加します。
  • マルチチャンネル構成:600シリーズの同一ファミリーで揃えると音色の統一感が得られるため、5.1や7.1構成での導入に向いています。

設置・セッティングの実務的アドバイス

  • スピーカー位置:ブックシェルフ型は壁からの距離を少し取り、スタンドでリスナーの耳位置にツィーターが来るように調整します。フロア型は後方・側方の壁から適度に距離を取り、低域の膨らみを抑えます。
  • ルームアコースティック:中高域のクリアさを活かすため、初期反射を抑えるパネルやラグでフロント反射を管理すると定位がさらに明瞭になります。
  • サブウーファーの併用:ホームシアターや低音再現を重視する音楽ジャンル(EDMや映画のSFX)ではサブウーファーの追加が有効。クロスオーバーはスピーカーの低域伸びに合わせて80Hz前後を出発点に調整します。

アンプ/ソース機器との相性

600 Series S2は比較的駆動しやすいインピーダンス特性を持つため、出力のあるA/Vレシーバーやエントリー〜ミドルクラスのプリメインアンプで十分にポテンシャルを発揮します。ただし、アンプの「見掛けの出力」だけでなく、ダイナミックレンジや電流供給能力が低域の安定に影響するため、入門機より一段上のアンプを選ぶと低域の締まりと音像の厚みが改善されます。音源は高品位なCD・ハイレゾを用いると中高域の質感がより引き立ちます。

競合製品との比較

同価格帯のライバルにはKEFのQシリーズ、Monitor AudioのBronzeシリーズ、DynaudioのEmitシリーズなどがあります。一般的に、

  • KEFはフォーカスされた中高域とユニット一体型の優れた位相特性で知られる。
  • Monitor Audioは低域の力感と金属加工技術を活かした明瞭さが特徴。
  • Dynaudioはナチュラルで落ち着いた中域の再現で強みを持つ。

600 Series S2は「ボーカルの自然さ」と「空間再現のバランス」で差別化されることが多く、音楽のジャンルや好みにより選択が分かれます。

長所と短所(購入前のチェックポイント)

  • 長所
    • 価格対性能比が高く、B&Wらしい音楽性が得られる。
    • 複数モデルでラインナップが揃っており、AV構成での統一が容易。
    • 設置や扱いが比較的容易で、初心者にも導入しやすい。
  • 短所
    • 上位の700/800シリーズに比べると解像度や超高域の伸びで差がある。
    • 低域のさらなる量感を求める場合はサブウーファーが必要になるケースがある。

おすすめの使い方・音楽ジャンル

  • アコースティック、ポップス、ジャズ、ボーカル主体の楽曲:中域の自然さが生きる。
  • 映画やドラマの再生:セリフの聞き取りや音場再現が良く、サラウンドと組み合わせやすい。
  • ロックやエレクトロニカ:適切なアンプとサブウーファーで活きるが、パワーアンプの選択が重要。

メンテナンスと長期使用の留意点

  • 定期的な清掃(柔らかい布で外装とグリルの掃除)を行うことで外観を保てます。
  • ユニットやネットワークは基本的にユーザーが触らない方が良く、不具合が出た場合は正規サービスに相談することを推奨します。
  • 高湿度や直射日光の当たる場所は避け、保管環境を整えましょう。

導入を検討する際の最終チェックリスト

  • 視聴して好みの音色か確認する(できれば自宅試聴がベスト)。
  • 使用する部屋のサイズとスピーカーのタイプ(ブックシェルフorフロア)の相性を検討する。
  • サブウーファーやセンター、サラウンドの追加計画があるかどうかを決め、シリーズで統一できるか確認する。
  • アンプの出力・質とケーブルの基本的な相性を把握する。

まとめ(購入判断への提案)

Bowers & Wilkins 600 Series S2は、B&Wの音の個性を手頃な価格で体験できるシリーズです。鋭い高域や豊かな中域、整えられた低域をバランスよくまとめており、音楽再生とホームシアターの両立を目指すユーザーにとって有力な選択肢です。最高峰の解像度や超高域の繊細さを求めるなら上位モデルが候補になりますが、日常使いの音楽やAV環境を確実に底上げしたい場合は600 Series S2の検討価値は高いでしょう。

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参考文献