Bowers & Wilkins PX7徹底レビュー — 音質・ANC・装着感を深掘り
はじめに — PX7とは何か
Bowers & Wilkins(以下B&W)が2019年に投入したワイヤレス密閉型ヘッドホン「PX7」は、同社のオーディオ設計思想を携帯音楽プレーヤーやスマートフォン向けに落とし込んだモデルです。大口径のドライバーやカーボンファイバー素材の振動板、アクティブノイズキャンセリング(ANC)、長時間再生を両立させた点が特徴で、ハイファイ志向のユーザーとノイズキャンセリング搭載ワイヤレスヘッドホンを求めるユーザーの中間層を狙った製品です。本稿ではPX7の設計・音質・ANC性能・装着感・接続性・使い勝手・ライバル比較・活用法までを詳しく掘り下げます。
外観と作り込み(デザイン/素材感)
PX7の外観はB&Wらしい上品さを保ちながら、堅牢さと軽量性のバランスを取っています。イヤーカップにはファブリック素材やレザー調のパッドが用いられ、ヘッドバンドはアルミなど金属素材をアクセントに使うことで強度を確保。特筆すべきはドライバーを支える構造部分にカーボンファイバーを採用している点で、これが音響的な剛性や共振制御に寄与しています。
全体の仕上げは高級感があり、普段使いだけでなくビジネスシーンや出張にも馴染みます。折りたたみ機構を備え、付属のケースに収めて持ち運べるため携行性も確保されています。
主な技術仕様(要点)
- ドライバー:43.6mm(カーボンファイバー振動板を採用)
- ノイズキャンセリング:アクティブノイズキャンセリング搭載(環境に応じて効果を発揮)
- バッテリー:最大約30時間再生(ANCオン時のメーカー公称値)
- 充電:USB-C端子を採用、クイックチャージ対応(短時間の充電で数時間の再生が可能)
- ワイヤレス:Bluetooth接続(主要コーデックに対応)
音質分析 — 長所と短所
PX7の音は「レンジの広さと中域の説得力」が最大の魅力です。大口径ドライバーとカーボン振動板の組み合わせにより、低域は力感がありつつも膨らみ過ぎないコントロール性を保ち、中域(ボーカルやギター)は明瞭で前に出る傾向があります。高域は伸びが良く、シンバルやハイハットの余韻が自然に聴こえるため、ポップスからジャズ、アコースティック系まで幅広くこなします。
ただし、ハイファイを極めると見なされがちな“最後の一歩”では、同価格帯のフラッグシップ的な有線機に比べると解像度やステレオイメージの極限までは及ばない場面もあります。また、ANCオン時にわずかな音色変化(高域のやや丸み)が感じられることがあり、音質に敏感なユーザーはANCのオンオフで聴き比べるとよいでしょう。
ノイズキャンセリング(ANC)の実力
PX7のANCは環境騒音を抑える能力が高く、飛行機や電車の低周波ノイズやオフィスの一定ノイズに強みを発揮します。ANC挙動は比較的ナチュラルで、過度に不自然な音圧変化を伴わずにノイズを低減する設計です。長時間の移動や通勤での使用において、疲労軽減に寄与する実用的な性能と評価できます。
ただし、ソニーやボーズの最新モデルと比べるとANCのアルゴリズム最適化や可変性能(外音取り込みの自然さなど)で若干差が出る場面があり、人によって好みが分かれるポイントです。
装着感とポータビリティ
イヤーパッドは柔らかく長時間使用でも耳周りの圧迫感は少なめ。ヘッドバンドのホールド感は適度で、激しい動きを伴わない通常の移動や作業下での使用に向きます。重量はヘッドホンとしてはややしっかりめですが、装着感の設計が優れているため不快感は抑えられています。
折りたたみや付属ケースにより携行性は良好ですが、完全なポータブル向け(軽量なオンイヤー型など)ほどの気軽さはありません。旅行や通勤での“本格リスニング”を想定した設計です。
接続性・操作性・アプリ
PX7はBluetooth接続で幅広いデバイスと簡単にペアリングできます。主要なコーデック(SBC、AAC、aptXなど)に対応しており、対応機器ではより高音質なワイヤレス再生が可能です。物理ボタンによる操作は直感的で、再生/一時停止や音量調整、通話対応など日常使用に必要な機能を備えています。
専用アプリはファームウェア更新や基本的な設定の確認に役立ちますが、細かなイコライジング(EQ)を詳細に設定できるタイプのものではない点は留意が必要です。音質チューニングを求めるならプレーヤー側のイコライザー活用を並行して考えると良いでしょう。
バッテリーと充電
メーカー公称で最大約30時間の再生が可能(ANCオン時の数値に基づく)で、日常的な使用で数日に一度の充電で済む利便性があります。USB-C端子の採用により汎用的な充電が可能で、クイックチャージ対応により短時間の充電でも数時間の再生が得られるため、出張前や移動中の充電リスクを軽減できます。
競合モデルとの比較
PX7は音質と質感で差別化を図る一方、ノイズキャンセリング市場での王者的存在であるソニーWH-1000XM4やBose QuietComfortシリーズと比べるとANCの細部やアプリの充実度で及ばない面があります。一方で音楽の再現性(中域の厚みや低域の解像)を重視するリスナーにはPX7が魅力的。価格帯では同等帯のモデルと比較しても“音の良さ”を第一に選びたい人に合う選択肢です。
こんな人におすすめ/おすすめしない人
- おすすめ:音楽の質感や中域の表現が重要なリスナー。飛行機や電車でのリスニングを重視するが音質も妥協したくない人。
- おすすめしない:最先端のANC機能や通話品質、アプリでの細かい音質カスタマイズを最重視する人(その場合はソニーやボーズなどの競合機を検討する価値あり)。
実践的な使い方・チューニングのヒント
- 高音質を引き出すには、aptX対応の再生機器を使うか、有線接続(対応ケーブル使用時)での利用を検討すると良いでしょう。
- ANCのかかり方が気になる場合は、シチュエーションに応じてオン/オフを切り替える。長距離移動はANCオン、集中して細部を聴きたい室内鑑賞はオフで音色確認。
- アプリに大幅なEQ機能が無い場合、再生アプリ側のイコライザーで中高域や低域を微調整して好みの音に寄せると満足度が高まります。
総評(まとめ)
Bowers & Wilkins PX7は「音楽的な説得力」と「実用的なノイズ低減」を高い次元で両立したヘッドホンです。音楽再生における中域の充実と低域のコントロール性は評価に値し、旅行や移動中でも良質なリスニング体験を提供します。最新のANCやアプリ機能で最先端を求める層には別の選択肢が合う場合もありますが、音質を最優先にしたワイヤレスANCヘッドホンを探している人にとって有力な候補です。
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参考文献
- Bowers & Wilkins 公式サイト(PX7 製品情報)
- The Verge — PX7 Review
- What Hi-Fi? — PX7 Review
- RTINGS — Bowers & Wilkins PX7 Review
- CNET — PX7 Review


