Audient徹底解説:音質設計と代表製品の技術的分析(スタジオ/ホーム用途別ガイド)
Audientとは何か:概要と設立の背景
Audientはイギリスを拠点とする音響機器メーカーで、プロフェッショナルなアナログ回路設計と手頃な価格帯のオーディオ機器を両立させることで知られています。レコーディングコンソールやマイクプリアンプを起点に、近年はUSB/Thunderbolt対応のオーディオインターフェイス(iDシリーズ、EVOシリーズなど)やマイクプリアンプユニット(ASP880など)を展開し、ホームスタジオから中規模プロダクションまで幅広いユーザーに支持されています。
設計思想とサウンドの特徴
Audientの製品に共通する設計思想は「アナログの質感と実用性の両立」です。コンソール設計で培ったマイクプリアンプ回路(Class-A 設計やトランスレス回路など)を、コストパフォーマンスの高いインターフェイスやアウトボードへ転用している点が特徴です。結果として、温かみのある中低域の押し出しと、自然なトランジェント表現を両立したサウンドが得られることが多く、ボーカルやアコースティック楽器、エレキギターの収録に好評です。
主要技術とユーザー向け機能
高品質マイクプリアンプ:コンソール由来のマイクプリアンプ回路をコンパクトユニットやインターフェイスに搭載。信号の透明性と音色的な“温かさ”を両立します。
AD/DAコンバーター:レンジやモデルにより採用チップは異なりますが、クラスを超えたコストパフォーマンスを実現する適切なコンバーター選定が特徴です。
J-FETインストゥルメント入力:ギターやベースを直接接続した際に自然な応答を与える高インピーダンス入力を多くのモデルで採用。
Smartgain(EVOシリーズ):入力音量を自動で解析し最適なゲインを設定する機能で、初心者でも適切なレベルで録音を始められる利便性を提供します。
ScrollControl(iDシリーズなど):音量ノブを長押しやクリックでPCのスクロール操作に割り当てる機能。DAWやプラグインの操作性を向上させます。
代表的な製品ラインとその位置づけ
iDシリーズ(iD4 / iD14 / iD22 / iD44)
iDシリーズはパーソナル〜プロユース向けのオーディオインターフェイス群です。基本は高品位なマイクプリアンプと信頼できるAD/DAを中核に据え、コンパクト筐体でありながら入出力の拡張性やモニタリング機能が充実しています。特にiD4はシンプルな2イン/2アウト設計でホームレコーディングに最適、iD14やiD22はより多チャンネルやADAT拡張を想定した中上位モデル、iD44はハイエンドな入出力と高い同時使用チャンネル数を求めるユーザー向けです。
EVOシリーズ(EVO 4 / EVO 8)
EVOシリーズは「使いやすさ」を追求した設計が特徴です。Smartgainによる自動ゲイン設定や、シンプルで直感的なハードウェア操作、ソフトウェア連携の工夫により、録音初心者や配信ユーザーでも短時間で安定した録音環境を構築できます。EVO 8は複数チャンネルの入力を手軽に扱いたいクリエイターにマッチします。
アウトボードとコンソール(ASP880 / ASP8024など)
ASP880は8チャンネルのマイクプリアンプ/ADユニットとしてプロ/プロシューマーに人気があります。スタジオのマイクプリアンプ拡張やライブ収録のクオリティアップに適した製品です。ASP8024はAudientが長年培ってきた大型アナログコンソールの設計思想を受け継ぐモデルで、アナログミックスや伝統的なワークフローを重視するスタジオに向いています。
実際の用途別ガイドライン
ボーカル中心のホームレコーディング:iD4やiD14のようなシンプルで高品位なマイクプリアンプを備えたインターフェイスがコスト対効果に優れます。
バンドや多チャンネル録音:EVO 8やiD44、ASP880を組み合わせることでマルチトラックの同時録音に対応可能です。ADAT経由で拡張する運用も現実的です。
ミックスやアナログ外部処理:ASPシリーズのアウトボードはアナログの質感を加える用途に適しており、コンソール風の処理を求める場合に有効です。
配信/ポッドキャスト:EVOシリーズの簡便性や、iDシリーズの低レイテンシ性能は配信現場でも役立ちます。
競合との比較ポイント
Audientの主な競合にはFocusrite、Universal Audio、RMEなどがあります。Audientは「アナログ的な音の良さ」と「手頃な価格帯」で差別化しています。Universal Audioはプラグインエコシステムやモデリングに強く、RMEはドライバ安定性と拡張性で評価されます。用途によってはAudientのマイクプリアンプ特性が最優先となる一方、特定のワークフロー(UADプラグイン活用や超低レイテンシの多チャンネル運用)では他社を検討する余地があります。
購入時のチェックポイント
入力数と拡張性:現状の必要チャンネル数に加えて将来の拡張(ADATや外部プリ等)を見越して選ぶ。
接続インターフェイス:USB 2.0/3.0/Type-CやThunderboltなど、使用するPCやDAW環境との互換性を確認。
付属ソフト/ドライバ:付属のソフトウェアやドライバサポートの長さは重要。特にMac/Windowsの最新OS対応状況を確認する。
実機試聴:音の好みは主観が強いため、可能であれば店頭やスタジオで実機を聞いて判断するのが確実です。
サポートと信頼性
Audientは製品保証やサポート体制の整備に注力しており、公式サイトや正規代理店を通じた国内サポートも提供されています。長年にわたるプロダクションでの採用実績により、修理やパーツ供給の面でも一定の信頼性がある点は安心材料です。
まとめ:どんなユーザーに向いているか
Audientは「アナログ的な質感を重視しつつ、実用性とコストパフォーマンスを両立させたい」ユーザーに最適です。ホームレコーディングを本格化したいクリエイターや、中小規模のプロダクションで安定したプリ品質と拡張性を求めるエンジニアにとって、有力な選択肢となります。特にマイクプリの音色や使い勝手を重視する場合、まずAudientの製品群を比較対象に入れる価値があります。
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