釣りの“本線”完全ガイド：素材・強度・結び方から実釣テクニックまで

2025年12月24日 最終更新日時 : 2025年12月24日 エバープレイ編集部

本線とは何か ― 役割と定義

本線（ほんせん）は釣りにおける「メインライン（主ライン）」を指し、リールから伸びる主体の糸です。仕掛け全体の力の伝達、ルアーやオモリを遠投する際の荷重受け、魚とやり取りする際の主たる強度源としての役割を担います。本線はハリス（リーダー）やショックリーダーと組み合わせて使われることが多く、それぞれの特性を理解して適切に選ぶことが成否を分けます。

本線の主な素材と特性

本線に使われる代表的な素材はナイロン（モノフィラメント）、フロロカーボン、PE（ポリエチレン＝ブレイデッド／編組）です。各素材の長所と短所を理解して用途に応じて選びます。

  • ナイロン（モノフィラメント）: 柔軟で伸び（伸度）があり衝撃吸収性に優れます。扱いやすく結び目の保持性が良い反面、吸水や紫外線で劣化しやすく、同じ強度なら直径が太めになります。浮力があり水面近くでの操作に向く一方、水に濡れると伸びが増す傾向があります。
  • フロロカーボン: 比重が高く水に沈む性質があるため、ルアーに対するラインの存在感を抑えたい場面や、根ズレへの耐性が必要なショア・オフショアともにリーダーとして多用されます。伸びはナイロンより小さく感度は高めですが、やや硬めで結び方に注意が必要です。
  • PE（編組ライン、通称“PEライン”）: 引張強度に対する直径が非常に細く、伸びがほぼ無い（極めて小さい）ため感度と遠投性能が高い特徴があります。欠点は視認性が高くそのままでは食い渋り時に不利なこと、ノットや結束に注意（直接フックには結ばないことが多い）しないと切れやすくなる点、衝撃吸収性が小さい点です。

号数・ミリ・強度の見方と選び方

日本の釣り糸表記では「号（号数）」が一般的で、モノフィラメントの1号は約0.165mm（おおよその換算値）とされています（素材や規格により差があります）。PEラインは「号」表記でもメーカーごとに太さと強度の対応が異なるため、パッケージの直径・参考強力（最大引張強度）を確認してください。実釣での設定は「狙う魚種の推奨破断強度より十分余裕を持たせる」ことが基本です。ラインの破断強度ギリギリで釣りをすると、連続負荷や摩耗で簡単に切れます。

ドラグ設定の目安はライン素材と状況で変わります。ナイロンは伸びがあるためやや強めに、PEは伸びが少ないため急激な負荷で切れることを避けるためにドラグを柔らかめに設定することが多いです。具体的数値は状況により変わるため、キャスト前とやり取り前に必ずドラグテスト（指で引いて確認）を行ってください。

本線の結び方（ノット）と推奨の接続

本線のノットは素材により適した結び方が異なります。代表的な結びを用途別に紹介します。

  • ユニノット（Uni Knot）: ナイロンやフロロに広く用いられる万能ノット。簡単で強度も良好です。
  • パロマーノット（Palomar Knot）: シンプルで強度が高く、PEとフックや小物の結束に向いています。PE系でも使われますが、リーダー接続の場合は別の結びと組み合わせることがあります。
  • FGノット: PEラインとフロロやナイロンのリーダーをつなぐ最も多用される方法の一つ。結束部が細くてスリムなため、ガイド通過やキャスト時の引っかかりが少ないのが利点です（習得に練習が必要）。
  • アルブライトノット（Albright Knot）やダブルユニ（Double Uni）: PEとリーダーをつなぐ際の代替法。簡単さと強度のバランスで選びます。

PEを本線に使う際は、直接フックやチヌバリに結ばずフロロやナイロンのリーダー（ショックリーダー）を介するのが一般的です。PEはスプールからの伸びが少なく、急激な荷重がかかると結び目周辺やガイド付近で切れやすいのでショック吸収性のあるリーダーで保護します。

リーダー／ハリスとの使い分け

リーダー（ハリス）は本線と異なる役割を持ち、「視認性の低減」「摩耗耐性」「結びやすさ」のために使われます。狙う魚やポイントによって長さや素材を変えます。

  • 食性がシビアでラインを見切られやすい場合は、フロロカーボンのリーダーを短めに用いて視認性を下げる。
  • 根ズレが多いポイントでは太めで摩耗に強いリーダーを使う。
  • ショックの大きなキャストや大型魚狙いでは、PE本線に強めのショックリーダー（数メートル）を接続して衝撃を分散する。

スプーリングとメンテナンス

本線の性能を長く保つには正しいスプーリングと日常のメンテナンスが重要です。初期張力を適切にかけてリールに巻き付け、スプールの端に偏りが出ないように均等に巻くことでラインの偏平や絡みを防げます。塩水ルアー釣りでは使用後に水で真水洗いし、ガイドやリールに残った塩分を落とすこと、直射日光を避けて保管することが大切です。ナイロンは紫外線で劣化しやすいので長期保管時は暗所へ。

現場でのトラブル対処法

糸ヨレ（ラインツイスト）はサルカンの使用やスナップの取り付け方、ルアーの形状が原因で起こります。ツイストを防ぐにはスイベルを入れる、スナップを使いすぎない、ルアーのバランスを確認するなどがあります。風による糸ふけやバックラッシュはキャスト時のテンション管理で軽減できます。ラインブレイクが頻発する場合はガイドに傷がないか、ノットの作り方、擦れがないかをチェックしてください。

釣り方別の本線選びのコツ

  • ショアジギング・青物狙い: PE（1.5〜3号相当）＋太めのショックリーダー。遠投・高感度優先。
  • 磯フカセ・底物: ナイロンまたはフロロの太め（根ズレ対策重視）。張りのあるラインで仕掛け操作性を保つ。
  • ルアー・ライトゲーム: 感度重視なら細めのPE＋短めのフロロリーダー。食い込み重視ならナイロンを選ぶ場合もある。
  • エサ釣り（投げ・サビキ）: 扱いやすさと伸びの利点からナイロンを選ぶことが多い。

最新トレンドと選び方の実践チェックリスト

近年はPEの細さと強度、高感度を活かした釣法が主流です。一方でフロロカーボンの比重と摩耗耐性をリーダーに組み合わせるセッティングが一般化しています。選ぶ際のチェックリスト：

  • 狙う魚種と最大想定サイズを基に余裕のある強度を選ぶ。
  • 釣り場（根や障害物の多さ）で摩耗耐性を優先するか、感度や遠投性能を優先するか決める。
  • 素材ごとの伸度（ショック吸収）を踏まえてドラグと結束法を調整する。
  • パッケージの直径・参考強力・推奨ノットを確認する。メーカー毎の号数差に注意する。

まとめ

本線は釣り全体の“生命線”です。素材ごとの長所短所を理解し、リーダーとの組合せ、適切なノット、スプーリング・メンテナンスを実行することで釣果とトラブル回避率は大きく向上します。初めてのポイントやターゲットの場合は、安全側に強めのライン設定で試し、実釣データをもとに細かく調整することをおすすめします。

参考文献

カテゴリー
釣り
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