釣り餌の完全ガイド：種類・選び方・保存・仕掛け別の使い分けと環境配慮

2025年12月25日 最終更新日時 : 2025年12月25日 エバープレイ編集部

はじめに：餌（エサ）が釣果を左右する理由

釣りにおける餌は単なる「食べ物」ではなく、魚にアピールするための情報（匂い・味・食感・動き）を伝える媒体です。適切な餌を選び、正しく扱うことは釣果向上だけでなく、ターゲットの口の入り方や食性を把握することで、仕掛けやアプローチ法を最適化することにもつながります。本コラムでは餌の種類、選び方、仕掛け別の使い分け、保存・準備法、環境・法規面の配慮までを詳しく解説します。

餌の基本分類

  • 活き餌（生餌）：アオイソメ、ゴカイ、青イソメ、アジ、イワシ、エビなど。匂いと動きで強くアピールする。
  • 死餌・切り身餌：イワシやサンマ、アナゴの切り身など。保存性があり扱いやすいが生き餌ほどの動きはない。
  • 練り餌・付け餌（サシ餌）：アミエビや市販の練り餌、団子（コマセを混ぜたもの）。集魚効果や長時間の持続性を狙う。
  • 人工餌（ルアー・ワーム）：プラグ、ジグ、ソフトルアー等。視覚・振動・波動で誘う。キャッチ＆リリースにも向く。

餌選びの基本原則

餌を選ぶ際は次の点を考慮します：ターゲットの食性（甲殻類食、プランクトン食、肉食など）、季節（冬は嗅覚重視、夏は動きに反応しやすい）、水温、潮流、場所（堤防、磯、河口、湖）です。例えば根魚（カサゴ、メバル）は底で動くエビや虫餌に反応しやすく、回遊性の青物はイワシやサバなどの小魚を模した餌に強く反応します。

主要な餌とその使い方

  • イソメ類（アオイソメ・ゴカイ）：匂いと動きで幅広い魚種に有効。掛け方は小さく千切って針先を露出させるか、胴付で複数尾を付ける。保存は冷蔵で湿らせた新聞紙に包み、酸素不足にならないよう早めに使う。
  • アジ・イワシの生餌：泳がせ釣りや青物狙いに最適。浅めの針掛けや背掛けで自然な泳ぎを残すのがコツ。活かすためにはエアポンプ付きのクーラーボックスが便利。
  • エビ類：底物や投げ釣り、穴釣りで定番。皮を一部剥いて味を出す、尾を残して動きを出すなど用途に応じて処理する。
  • 練り餌・団子（コマセ）：フカセ釣りや紀州釣りで集魚を目的に使用。配合比率（米ぬか、パン粉、アミエビ等）を調整して潮流や水温に合わせた崩れ具合を作る。
  • ワーム・ルアー：水深やアクションを意識。ソフトワームはジグヘッドでナチュラルに、プラグはリトリーブ速度でレンジを探る。シーバスやロックフィッシュに有効。

仕掛け別の餌の付け方・注意点

胴突き、投げ、ウキ釣り、泳がせ、フカセ、ルアーといった仕掛けごとに餌の付け方は異なります。胴突きでは餌のボリュームを抑えて数針掛けに、投げ釣りは餌が飛ばないように適度な硬さに調整（パン粉や水で練る）。ウキ釣りは自然に漂わせるために鉤（はり）の向きや重さを調整しましょう。泳がせ釣りは活き餌の健康維持が釣果に直結します。

季節・潮汐・時間帯の影響

春から初夏は産卵前で魚の捕食欲が高く、やや大きめの餌や動きで誘うと良い傾向があります。夏場は水温上昇で活性が不安定なので匂いの強い練り餌や夜釣りでプランを立て、秋は回遊魚やフィーディング（捕食）時間が明確になるため小魚の切り身や活き餌が有効。冬場は活動が鈍るため匂いの強い餌や底付近の落ち着いたプレゼンテーションが必要です。潮流が速いときは餌の崩れにくさや重さを調整します。

保存・輸送・取り扱いの実践テクニック

  • 生餌は専用のバッカンやクーラーボックスで低温を保ち、長時間持ち歩く場合はエアポンプや酸素補給を用いる。
  • 切り身は塩を軽く振ると身が締まり、持ちが良くなるが塩分が多いと魚が敬遠する場合があるため用途で調整する。
  • 練り餌は乾燥を防ぐため密閉容器を使用。使用直前に水やオイルを少し加えて調整すると扱いやすくなる。
  • 餌の混入や流出で現場の環境を汚さないよう、使い残しは適切に回収・処分する。

安全と衛生：扱いで気をつけること

生餌の細菌や寄生虫による感染リスクに注意し、素手で扱う場合は手洗い・消毒を徹底します。特に魚の切り身やエビは痛みやすいため、直射日光や高温を避けること。釣行後は釣具やクーラーボックスを洗浄し、残餌は適正に廃棄してください。

環境保護と法的注意点

外来生物や未承認の生物を無断で放流すると生態系に悪影響を及ぼします。活き餌を移動させる際は各自治体や関係法令（外来生物法等）に従い、不要になった餌の放流は行わないでください。また漁業権や禁漁区のルールを確認し、採取した餌の量や方法にも配慮しましょう。

ターゲット別の餌の選び方（代表例）

  • アジ・メバル：小型の青イソメ、オキアミ、豆アジの切り身。夜釣りでは香りの強い練り餌が有効。
  • カサゴ・根魚：エビ、虫餌、小魚の切り身。穴釣りでは生餌の動きを活かす。
  • チヌ（クロダイ）：練り餌、ボケ、オキアミ。フカセ・紀州釣りで配合を工夫する。
  • シーバス（スズキ）：活きアジ・セイゴ用ワームやプラグ。河口や港湾での早朝・夕まずめに効果的。
  • 青物（ブリ・カンパチ等）：活きイワシやサバの生餌、切り身を使った泳がせ・ジギングが主流。

よくあるトラブルと対処法

  • 餌がすぐ外れる：針の号数・形状を見直し、餌の刺し方（身の厚さ、針先の露出）を調整する。
  • 魚が食わない：サイズが合っていない、匂いが強すぎる/弱すぎる、水温や潮位が合わない可能性があるため餌の種類を切り替える。
  • 餌がすぐ崩れる：団子や練り餌の水分量を調整し、崩れにくい配合にする。

まとめ：餌選びは情報と実践の積み重ね

餌の選択は科学（食性・環境）と経験（現場の感覚）の両方が必要です。まずは基本的な餌を複数用意し、釣果と照らし合わせて条件別の最適解を見つけていきましょう。また、環境保全と法令遵守を忘れずに、責任ある釣りを心がけてください。

参考文献

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釣り
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