主糸の選び方と使い方ガイド：ナイロン・フロロ・PEを徹底比較

2025年12月25日 最終更新日時 : 2025年12月25日 エバープレイ編集部

序論：主糸（メインライン）とは何か

主糸（メインライン）は釣り仕掛けの“命綱”であり、竿と魚を直接つなぐ最も重要な要素です。ラインの素材や太さ、結び方、保管状況が釣果やトラブル発生率に直結します。本稿ではナイロン（モノフィラメント）、フロロカーボン、PE（編み糸）の特性を詳しく掘り下げ、用途別の選び方、ノット、メンテナンス、実践的な注意点まで網羅します。

主なライン素材と基本特性

  • ナイロン（モノフィラメント）

    伸びが大きく衝撃吸収性に優れるため、食い込みが悪い魚種や根掛かり回避の際に安心感があります。価格は比較的安価で扱いやすく、初心者向け。吸水性があり、紫外線や熱で劣化しやすいのが欠点です。

  • フロロカーボン（フロロ）

    比重が重く水中で沈みやすいため、底釣りやリーダーとして好まれます。ナイロンより伸びが小さく感度が良い反面、やや硬めで結び目の強度が落ちる場合があります。紫外線耐性が比較的高く、吸水性が低い点が特徴です。

  • PE（ポリエチレン／編み糸）

    極めて高い引張強度を持ちながら細径化が可能で、感度に優れ伸びがほとんどありません。比重は軽いため浮きやすく、潮流の影響を受けやすい点に注意。擦り切れに弱い面があるため、リーダー併用やショックリーダーの設置が一般的です。

各素材のメリット・デメリット比較（実釣視点）

  • ナイロンの利点

    ショック吸収でバラしが減る。扱いやすくコストパフォーマンスが良い。

  • ナイロンの欠点

    吸水で強度低下、紫外線・熱に弱い。水中での見えにくさは素材や色で差がある。

  • フロロの利点

    視認性が低く食い込みを妨げにくい（ルアーのリーダー等）。比重が大きいので底取りや沈め釣りに向く。

  • フロロの欠点

    結束部の強度管理が重要。張りがあるためロッド操作の感覚に慣れが必要。

  • PEの利点

    細くても高強度、飛距離と感度が抜群。遠投や大型魚の釣りに最適。

  • PEの欠点

    擦り切れやすく、直線強度はあってもノット強度や擦れに弱い。高価で扱いに技術が必要。

号数・強度の選び方（目安）

号数やポンドは釣りの対象魚・釣り方・根掛かりのリスクなどで決めます。一般的な目安は次の通りです（地域や釣り方により差があります）。

  • 淡水のルアー・トラウト：ナイロン2〜4lbクラス（ライトタックルはさらに細め）
  • 河川の大型魚（スズキ、シーバス等）：PE0.6〜1.5（またはナイロン16〜25lb相当）
  • 堤防・磯の中型〜大型：PE1〜3号（リーダーにフロロ16〜30lb）
  • 船釣り（青物、マダイ等）：PE2〜6号（場面によりもっと太く）

実際の号数選定はロッドの適合ライン、リールの巻取量、仕掛けのバランスを考慮してください。

ノット（結束法）と強度管理

主糸の結び方は非常に重要です。以下は代表的なノットと用途別の選び分けです。

  • ユニノット：汎用性が高く、ナイロン・フロロ・PEのリーダー結束に広く使われます。結び目が小さく扱いやすい。
  • FGノット：PEとフロロ（またはナイロン）を結ぶ際の強度が高い結び方。練習が必要ですが細く滑らかで糸巻時のトラブルが少ない。
  • 改良クリンチノット：簡便で信頼性が高く、フック結束に多用されます。
  • 八の字結び（ストッパー系）：テンションを掛ける用途のストッパーや仕掛けの固定に使います。

ノット強度は結び方だけでなく糸の状態（劣化、吸水、擦れ）、湿度、締め込み方にも左右されます。新糸や高価なラインほど結束の確認を怠らないでください。

劣化・保管・メンテナンス

  • 紫外線対策：ナイロンは紫外線で劣化しやすいので直射日光を避け、暗所で保管。
  • 吸水と乾燥：ナイロンは吸水して強度と伸びに影響が出ることがあるため、使用後は淡水で軽く洗い乾燥させる。
  • PEの注意：巻きグセや擦れが強敵。スプールのロッドベルト保管やラインローラーに注意して巻取り、使用前後に点検する。
  • 定期交換：使用頻度や釣行環境にもよるが、ライトな釣りでも半年〜1年、ハードに使用する場合は数ヶ月単位で交換を検討。

用途別の具体的なおすすめと使い分け

  • ショアジギ（青物狙い）

    遠投と感度重視でPE主体。リーダーはフロロ30〜50lb相当で根擦れ対策を入念に。

  • ライトゲーム（アジング・メバリング）

    細PE＋フロロリーダーや、感度と伸びのバランスでナイロン0.6〜1.5号。微妙なアタリをとるなら感度の良い細PEも有効。

  • 磯フカセ・ウキフカセ

    ウキ下の沈下を重視するならフロロの主糸やリーダー。ウキ操作のレスポンスが向上します。

  • 船釣り（底物・五目）

    釣法によるが、ナイロンの伸びを活かして根掛かりでのショック吸収を期待することも。深場や潮流が強い場面では太めのPE＋リーダーが主流。

トラブルと対処法（実践的アドバイス）

  • 糸鳴り・ラインの巻き癖：スプールに均一に巻き直す。ラインローラーやガイドの傷チェックを行う。
  • 結束部の破断：ノットを見直し、フロロなど硬いラインは潤滑（濡らして）締める。FGノットやダブルユニノットの活用。
  • 擦れによる切断：擦れ箇所はすぐに切り取って結び直し。根ズレ対策でリーダー材を厚めに設定。
  • ラインのすべり過ぎ（PEが沈まない）：シンカーや沈下剤の使用、リーダーにフロロを使うなどで解決。

選ぶときのチェックリスト

  • 対象魚と期待されるファイトの強さを確認する
  • 使用するルアーやテンポ、根掛かりのリスクを考慮する
  • リールとロッドの適合ラインを守る（特にドラグ・巻取り量）
  • ノットの種類を事前に練習し、得意な結びを持つ
  • 使用後の点検と保管方法をルーチン化する

まとめ

主糸選びは「素材の特性」「号数（強度）」「結束技術」「メンテナンス」の4要素で決まります。万能なラインは存在しないため、釣り場・魚種・使うタックルを踏まえて最適解を作ることが重要です。実釣での経験を積んで、ラインの命数（いつ替えるか）やノットの強さを自分の指先で判断できるようになると釣果と安心感が格段に向上します。

参考文献

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釣り
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