ジグ釣法 完全ガイド：仕掛け・タックル・釣り方から魚種別攻略法まで
エバープレイ編集部ジグ釣法とは
ジグ釣法（ジギング）は、金属や樹脂などで作られた「ジグ」と呼ばれるルアーを使い、リフト＆フォールやジャークによるアクションで魚の捕食本能を刺激して誘うルアー釣りの一種です。船からのバーチカル（縦）ジギング、ショア（磯・堤防）からのキャスティングジギング、近年人気のスロージギングなど、対象魚や釣り場に応じて多様なスタイルがあります。青物（ブリ、ハマチ、カンパチ等）、マダイ、タチウオ、根魚、マグロ類まで幅広い魚種に有効で、汎用性とリアルなアクションが特徴です。
ジグの種類と特徴
メタルジグ：鉛やタングステンを主素材としたジグ。飛距離・沈下速度に優れ、水中でのフラッシング（光の反射）で捕食魚を誘います。一般的に汎用性が高く、ショア・オフショア問わず広く使われます。
スロージグ（スロー系ジグ）：スローピッチジャーク等でゆっくり見せるために設計されたジグ。水中での浮遊感やゆっくりしたフォールで食わせるのが得意で、底近くでの喰いが浅い状況に有効です。
ソフトジグ／ワーム型ジグ：ソフト素材を使い、よりナチュラルな波動を出すタイプ。根魚やタチウオ、シーバスのナチュラルな誘いに向きます。
スイム系・ミノータイプ：ジグというよりプラグ寄りの作りで、水平泳ぎを強調するタイプ。表層から中層を攻める際に用います。
タックルと装備の基本
ジギング用タックルは、狙う魚や釣り方で選びます。以下は一般的な目安です。
ロッド：パワー（ML〜XH）とアクション（レギュラー〜ファースト）を状況に合わせて。ショアジギはレングス7ft前後のミディアムヘビー〜ヘビー、船のバーチカルジギングはショートロッドで操作性重視のものが多いです。
リール：スピニングリールが主流。ギア比は高速回収型（6:1以上）や中速（5:1前後）など用途で選びます。ドラグ性能が良く、ライン巻取量が深場に対応していることが重要です。
ライン：メインはPEライン（0.6号〜3号程度）。根ズレ対策や視認性を考え、リーダーにフロロカーボン（30lb〜100lb相当）を使います。長さは状況次第で2〜6m程度が一般的。
フック周り：アシストフックを利用することが多い。強度の高いスプリットリング、ハーフスナップ、しっかりした結束で動作不良を避けます。
魚探（魚群探知機）：魚の層や潮目、ベイトの有無を把握することで効率が格段に上がります。
ジグの重さと選び方の目安
ジグの重さ（g数）は潮流、深さ、風の有無、飛距離の必要性で決まります。以下はあくまで目安です。
ショアジギ（堤防・磯）：30〜150g（近距離やライトショアは30〜80g、遠投や大物ねらいは100g前後）
オフショア近海（船釣り）・中深場：80〜300g（潮流が速い場合は重め）
深場・大物向け：200〜400g以上（水深や潮速に応じて）
選び方のポイント：潮が速ければ重め、レンジを刻みたいときはやや軽め、フォールで釣る釣りなら落ち方（テールの形や材質）も重視します。
基本テクニックと誘いパターン
ジグ釣りは「誘い」と「待ち（フォール）」の組み合わせが鍵です。代表的な誘いを紹介します。
ワンピッチジャーク：一定間隔でロッドを1回ジャークして巻き取る。シンプルで多くの魚種に有効。
ツーピッチ（テンポ変化）：短いジャークを2回入れてからフォール。波動と速度変化で反応を引き出します。
スローピッチジャーク：ゆっくりと大きくロッドをあおり、ジグをゆったり上下させる。喰いが渋い状況や底ベッタリの魚に有効です。
リフト＆フォール（ヨーヨーアクション）：上下運動を繰り返すことで、落下中のリアクションバイトを誘発します。フォール中の「食い上げ」を意識することが重要です。
ステイ（止め）：アクション後に静止させることで、食わせの間を作る。特にスロージグやテンションフォール時に有効。
実釣では潮位・魚の活性・レンジを見ながらパターンを組み替え、魚探やバイトの出方でリズムを変えていくのが上達の早道です。
フッキングとやり取りのコツ
フッキングは掛かった瞬間に一気に合わせるのではなく、ジグの動きやラインテンションを保ちながら適切なタイミングで強めに入れるのが基本です。特にアシストフックを使う場合、フッキングを入れた後もドラグを滑らせながら走らせ、口切れやフック抜けを防ぎます。
やり取りではロッドのベンドを活かし、ラインを切られないように角度を変えつつ、根ズレの危険な場所から速やかに引き離すこと。ファイトの途中での無理な竿の立てすぎはラインテンション低下を招くため、ロッドワークで魚の頭を海中に向けるイメージが重要です。
魚種別の使い分けとポイント
青物（ブリ・ハマチ等）：中速〜高速のジャークでフラッシングと強い波動を見せる。ショア・オフショア共に有効で、群れを見つけたらテンポを上げて連発を狙う。
マダイ：スローな動きと底付近での誘いが有効。軽いジャークとステイでフォール中に食わせることが多い。
根魚（ハタ類、メバル等）：リフト＆フォールで底付近を丹念に探る。ソフトジグや小型のメタルジグでナチュラルに誘う。
タチウオ：タチウオはフォールに敏感なので、フォールスピードとアクションで見切られないように注意。光物（フラッシング）で誘うことが多い。
釣り場・潮・季節の見方
潮流と潮目、海底地形（瀬やブレイク、沈み根）はジギングにおいて重要な情報です。魚探や潮汐表を活用してベイトの有無、潮上・潮下を判断します。季節ごとの回遊パターン（春の回遊、秋の接岸等）を抑えることで、効率的にポイントを絞れます。
安全と資源管理・魚の取り扱い
ジギングは大物が掛かることもあり、事故やトラブルのリスクがあるため安全対策は必須です。ライフジャケットの着用、風速や波高の確認、針の取り扱いに注意しましょう。資源管理としては各地方の漁業規則・サイズ制限・禁漁期間を遵守すること。リリースする際はバーブレス化やフックの小型化、速やかな処置で生存率を高める配慮を心がけてください。
メンテナンスと上達のための練習法
使用後のタックルは真水で洗い、スプールやドラグ部の塩抜き、ラインの定期交換を行いましょう。アシストフックやスプリットリングは摩耗や変形を見つけたら交換を。上達法としては、魚探の読み方を学ぶ、ロッドワークのテンポを変えてバリエーションを試す、異なるジグを比較して感覚を養うことが有効です。釣り仲間やガイドとの釣行で実践的なコツを学ぶのも早道です。
よくあるトラブルと対処法
根掛かり：まずはロッド角度を変えてラインテンションを調整。どうしても外れない場合はラインブレイクを検討（予備のリーダー・スナップを準備）。
フック外れ：アシストフックの結び目やリングの摩耗が原因になることが多いので、定期交換と強度チェックを行う。
ライン絡み（バックラッシュ）：主にキャスト時。スプールテンションやキャストの仕方を見直し、ドラグ設定を適正化する。
まとめ
ジグ釣法は奥が深く、タックル・ジグの選定、誘い方、潮読みなど総合力が問われる釣りです。基本を押さえつつ、魚種や釣り場に応じて細かなセッティングを変えていくことで釣果は安定します。安全と資源保護を忘れずに、観察と試行で自分のパターンを見つけてください。
参考文献
- Jig (fishing) — Wikipedia (英語)
- 農林水産省（漁業・資源管理、法規情報）
- FishBase（魚類データベース）
- Shimano Fishing（タックルとテクニカルガイド）
- Daiwa（製品・釣りテクニック情報）
- Animated Knots（結び方ガイド、FGノット等）
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