志望動機の作り方|例文・テンプレと実践テクニック

志望動機とは何か――採用担当者が本当に知りたいこと

志望動機は、応募者がその企業・職種を選んだ理由と、入社後にどう貢献するかを簡潔に伝えるための文章です。表面的な「興味がある」「御社が魅力的だから」だけではなく、企業理解の深さ、業務への適性、将来のビジョンが読み取れることが重要です。採用側は主に次の3点を見ています:企業理解(本当に企業を理解しているか)、能力の適合性(業務に活かせる経験やスキルがあるか)、長期的な意欲(入社後に継続して成長・貢献する意思があるか)。

作成の基本ステップ

  • 1. 企業研究:会社の事業、ミッション、最近のニュース、募集職種の業務内容や求める人物像を確認する。
  • 2. 自己分析:自分の経験・強み・価値観を洗い出し、企業のニーズと結びつく要素を選ぶ。
  • 3. 構成を決める:導入(興味のきっかけ)→ 中央(具体的な経験と貢献)→ 結び(将来のビジョン)。
  • 4. 証拠を用いる:数値や具体事例で裏付ける(例:売上●%向上、プロジェクトリードなど)。
  • 5. 推敲・校正:冗長表現の削除、誤字脱字チェック、第三者にレビューしてもらう。

効果的な構成(テンプレ)

志望動機は「読み手が一度で理解できる」ことが大切です。以下の3段階構成を基準にしてください。

  • 導入(1~2文):応募のきっかけや企業の特定ポイント(事業、ビジョン、社風など)を明確にする。
  • 中核(2~4文):あなたの経験やスキルを具体的に示し、「それがどう企業の課題解決や価値創造に役立つか」を説明する。可能なら数値や成果を示す。
  • 結び(1~2文):入社後の目標や貢献イメージ、成長意欲を述べる。面接での詳しい説明を促す形も有効。

媒体別の文字数目安と注意点

  • 履歴書の志望動機欄:200~300文字が目安。短い欄に要点を詰める。
  • エントリーシート(ES):400~600文字が一般的。ただし企業指定の文字数に従う。
  • 職務経歴書/カバーレター:職務経歴書内では簡潔な要約を、カバーレターなら400~800文字で詳述。
  • 面接で話す場合:1分~2分で要点を伝えられるよう練習する。

新卒・中途・キャリアチェンジ別の書き方ポイント

  • 新卒:志望動機は「将来やりたいこと」と「御社でしかできない理由」を結びつける。インターンやゼミ、アルバイトなどの具体体験を用いる。
  • 中途(同業界):即戦力性を強調。過去の実績(数値、担当プロジェクト、役割)を明確にし、入社後の即戦力としての貢献を示す。
  • 転職・キャリアチェンジ:業界未経験であれば「なぜ転換するのか」と「どうスキルを移転できるか」を論理的に説明。業務に直結する経験や資格、学習意欲を示す。

具体例(短めの例文)

  • 新卒(例):貴社の環境技術を通じた地域貢献の姿勢に共感し、大学での環境政策研究を活かして、製品開発の企画段階から市場導入までのサポートをしたいと考え応募しました。ゼミでの調査で地域自治体との協働経験があり、現場の課題把握と関係構築に自信があります。
  • 中途(例):前職では販売戦略の見直しにより売上を20%改善した経験があり、貴社の新規事業で同様のデータ分析に基づく施策立案に貢献できると考え志望しました。特に顧客セグメンテーションとKPI設計に強みがあります。
  • キャリアチェンジ(例):これまで教育業界でプロジェクト管理を担当してきましたが、データ解析スキルを習得し、貴社のプロダクト改善にデータドリブンな視点で貢献したく志望しました。PythonとSQLでの分析経験があります。

よくある失敗と改善策

  • 曖昧で抽象的:"御社で成長したい"だけでは弱い。→具体的な事業やポジションと結びつける。
  • 他社でも使える汎用文:コピペ感があるとマイナス。→企業固有の情報(製品名、最近のニュース)を入れる。
  • 実績の裏付けがない主張:成果を数値で裏付ける。
  • 前職の批判・ネガティブ:他社批判はマイナス。→ポジティブな転換を示す。
  • 長すぎて要点がぼやける:指定文字数を守り、結論を先に書く。

チェックリスト(提出前に確認すること)

  • 企業名・部署名は正しいか。
  • 応募職種の仕事内容と自分の経験が結びついているか。
  • 数字や事例を入れて説得力を出しているか。
  • 志望理由が一貫しており、面接で説明できる内容か。
  • 誤字脱字がないか、第三者の目でチェック済みか。

面接での使い方と深掘り対策

面接で志望動機を聞かれたら、書面での志望動機を基に1~2分で要点を整理して話します。面接官はその後に深掘り質問(「なぜその方法で貢献できると思うか」「具体的な経験を教えてください」など)を必ずします。想定される深掘り質問に対して、事例(状況・課題・行動・結果=STAR)で答えられるよう準備しましょう。

実務的なテンプレート(埋めるだけで使える)

導入:私は[応募のきっかけ・共感した点(企業の事業・理念・製品)]に惹かれ、貴社を志望しました。 中核:前職では[具体的な経験・役割]を通じて[成果や学び(数値があれば記載)]を得ました。これを貴社の[具体的業務やプロジェクト]で活かし、[期待される貢献]を実現したいと考えています。 結び:入社後は[中長期の目標]を持って取り組み、貴社とともに成長していきたいです。

最後に

志望動機は「企業とあなたをつなぐストーリー」です。企業研究と自己分析を丁寧に行い、具体性と誠実さを持って書くことが最も大切です。テンプレートはあくまで骨格。企業ごとに肉付けすることで、採用担当者の記憶に残る志望動機になります。

参考文献