KISSの半世紀:メイクと火炎が刻んだロックの歴史
KISSは1973年にニューヨークで結成され、独自のメイクと衣装、火吹きや血吹き、煙を吹くギターなどを駆使したショックロック・スタイルのステージパフォーマンスで1970年代中盤にブレイクしたバンドである。 その後、『Alive!』(1975年)が商業的成功を収め、続く『Destroyer』(1976年)はプラチナ認定を獲得し、幅広いヒット曲を輩出した。 バンドは50年以上にわたり20枚を超えるスタジオアルバムと数多くのライブ作品を発表し、アリーナロックやポップメタルなど多様な音楽スタイルを取り入れながら進化を続けてきた。 2014年にはオリジナルメンバーとしてロックの殿堂入りを果たし、2019年から2023年まで行われた“End of the Road”ワールドツアーで活動に幕を下ろした。さらに、Tシャツやフィギュアをはじめ過去15年間で5億ドル以上を売り上げたマーチャンダイズ戦略と、2024年にスウェーデンのPophouse Entertainment Groupへの知的財産権売却(約3億ドル超)など、音楽ビジネス面でも異例の成功を収めている。
バンド結成と初期の歩み
1973年にポール・スタンレー、ジーン・シモンズ、エース・フレーリー、ピーター・クリスの4人によりニューヨーク市で結成された。
各メンバーはコミックや日本の歌舞伎に着想を得たキャラクターを象ったメイクと衣装を採用し、視覚的なインパクトを高めた。
1974年にリリースされたデビューアルバム『Kiss』は、商業的には振るわなかったものの、バンドの独創的な世界観を支持するコアなファンを獲得した。
続く『Hotter Than Hell』(1974年)や『Dressed to Kill』(1975年)も同様にチャート上で大きな飛躍は見られなかったが、ライブでの熱量を再現できないスタジオ録音という評価を踏まえつつ、徐々に注目を集めていった。
大ブレイクと黄金期
1975年9月にリリースされたライブアルバム『Alive!』は、スタジオ録音で伝わらなかったステージの迫力と熱狂を見事に収録し、バンドの知名度を一気に拡大した。
このアルバムはRIAA認定プラチナを獲得し、全米チャートでもトップ10入りを果たした。
1976年3月にリリースされた4thスタジオアルバム『Destroyer』は、これまでの生々しさを維持しつつ洗練されたプロダクションを導入し、シングル「Detroit Rock City」やバラード「Beth」を含む多彩な楽曲で商業的にも大成功を収めた。
同作は1976年4月にゴールド、同年11月にプラチナ認定を受け、KISS初のプラチナ作品となった。
進化するサウンドとステージパフォーマンス
音楽的にはアリーナロックやヘヴィメタル、ポップメタルなどを折衷し、キャッチーなリフとアンセミックなコーラスを特徴とするスタイルを確立した。
舞台では火吹き、血吹き、発煙するギター、ロケット噴射、浮遊ドラム、高度な花火演出などを駆使し、ショックロックと呼ばれる壮観なパフォーマンスを展開した。
メンバー交代と後期活動
主なメンバーチェンジ
1980年にピーター・クリスが脱退し、ドラマーにエリック・カーが加入。その後1982年にはエース・フレーリーが離脱し、ヴィニー・ヴィンセントがリードギタリストとして参加した。
以降もマーク・セント・ジョン、ブルース・キュリック、エリック・シンガー、トミー・セイヤーなどがギタリストやドラマーとしてバンドを支えた。
40周年ツアーとロックの殿堂入り
2013年には結成40周年を記念し、ディフェ・レパードとのダブルヘッドライナー・ツアーを行った。
同年4月には『Rolling Stone』誌の表紙を初めて飾り、4月10日にオリジナル4人のメンバーとしてロックの殿堂入りを果たした。
マーチャンダイズ戦略とビジネス展開
マーチャンダイズ売上
1996年以降Live Nation Merchandiseと提携し、Tシャツやフィギュア、コミックブックなど3,000種類以上の商品を展開。
過去15年間で5億ドル以上を売り上げ、ロックバンドとしては史上最高レベルのライセンス収益を誇る。
知的財産権の売却
2024年にはカタログ、ブランド名、知的財産権をスウェーデンのPophouse Entertainment Groupに約3億ドルで売却。
PophouseはABBAホログラムショーを手掛けた実績を持ち、2027年にKISSのアバター・ライブショーを展開予定としている。
“End of the Road”ツアーと終焉
ツアーの概要と最終公演
“End of the Road”ワールドツアーは2019年1月31日にバンクーバーでキックオフし、2023年12月2日にニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで最終公演を迎えた。
このツアーはハードロック/ヘヴィメタル部門で2019年の北米最高興行収入を記録し、歴史的な最終章として注目を集めた。
レガシーと影響
グラムメタル・ヘアメタルへの影響
その視覚演出とエンターテインメント性は1980年代以降のグラムメタルやヘアメタルシーンに大きな影響を与え、モトリー・クルーやボン・ジョヴィなどが公然とKISSの影響を公言している。
現代への継承
現在も映画やテレビ、ゲームなど多方面のメディアでKISSのキャラクターが活用され、バンドのブランドは世代を超えて生き続けている。
まとめ
半世紀にわたり革新的なビジュアルと音楽、緻密なビジネス戦略でロック界を牽引したKISSのレガシーは今なお色あせることなく、これからも多くのアーティストやファンを魅了し続けるだろう。
彼らが残したディスコグラフィーとインパクトは、ロック音楽の歴史に不朽の章を刻んだと言える。
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