「レコードの回転数の基本と歴史を徹底解説|正しい設定と見分け方ガイド」
レコードの回転数とは?基本知識
レコードはアナログ音響メディアとして、長い歴史を持っています。CDやサブスクリプションの音楽配信サービスが普及した現在でも、独特の音質やジャケットの魅力から熱狂的なファンが存在します。レコードの再生にはターンテーブルが必要ですが、その際に重要になるのが「回転数(RPM:Revolutions Per Minute)」です。
回転数とは、レコード盤が1分間に何回転するかを表す数値で、主に以下の3種類が存在します。
- 33 1/3 RPM(33回転)
- 45 RPM(45回転)
- 78 RPM(78回転)
これらの回転数の違いは、レコードの音質や収録時間に大きく影響します。正しい回転数で再生しないと、音が速すぎたり遅すぎたり、ノイズが増えたりするため、プレイヤーの設定はとても重要です。
なぜ回転数が複数あるのか?歴史的背景
レコードの回転数が複数ある理由には、技術的・歴史的な背景があります。最も古い形式は78回転のレコードで、主に1920年代から1940年代にかけて使用されました。78 RPMは元々、サイドドラムのドラムマシンの回転数に基づいた規格で、当時の技術で最も安定した回転数だったためこの速度が採用されました。
しかし、78回転のレコードは厚くて重いシェラック製であり、収録時間は片面3~5分程度と短いのが欠点でした。これを解決するために、もっと長時間再生できるレコードが模索され、1948年にコロンビア・レコード社が33 1/3回転LP(ロングプレイ)を発売。
33 1/3回転レコードは、ビニール製で薄くでき、片面に約20~30分の音楽を収録可能となりました。そのためアルバムを丸ごと収録するのに適しており、LPとして現在も主流です。
一方でシングル盤には45回転の7インチシングルが普及しました。45 RPMはLPよりも回転数が速いため音質が良く、シングル曲やEPなどに適しています。45回転シングルは1950年代以降、特にポップスやロックのシングル盤で流行しました。
回転数の見分け方・確認方法
では、実際に手元のレコードがどの回転数で再生すべきかを見分ける方法を紹介します。
1. レコード盤のラベルやジャケットを確認する
一番簡単で確実なのは、レコード中央のラベル面やジャケットのどこかに回転数が記載されていることが多いです。たとえば「33 1/3 RPM」や「45 RPM」といった表記で示されています。
- LPアルバムはほぼ100%「33 1/3 RPM」
- 7インチシングルはほぼ「45 RPM」
- 古いシェラック盤は「78 RPM」表記があることが多い
ただし、一部の古い盤や特別盤では表記が判読しにくいこともあるため、注意が必要です。
2. レコードのサイズで判断する
確実ではありませんが、一般的な目安としては以下の通りです。
- 直径12インチ(約30cm) → 主に33 1/3 RPMのLP
- 直径7インチ(約17.5cm) → 主に45 RPMのシングル盤
- 古い直径10インチ(約25cm) → 78 RPMの可能性が高い
ただし、例外も存在するためサイズだけでの判断は避けたほうが無難です。
3. ターンテーブルの速度設定と音を確認する
回転数が不明なレコードを持っている場合は、プレイヤーの回転数を変えて実際に再生し、違和感がないか確かめる方法もあります。
- 速すぎる音、または高すぎる声 → 速い回転数で回している可能性あり
- 遅すぎる音、または低すぎる声 → 遅い回転数で回している可能性あり
ただし、この方法はレコードやプレイヤーに負担がかかる可能性があるため慎重に行いましょう。
回転数別の特徴と使い分け
33 1/3 RPM(LP)
一般的なフルアルバムを収録するレコードです。1枚に長時間収録できるため、演奏時間の長いジャズ、クラシック、ポップスに対応可能です。
- 1面あたり約20~25分再生可能
- ビニール製の柔らかい素材が主流
- スタジオ録音や高音質盤も多い
45 RPM(シングル)
1曲や数曲のシングルを収録したレコードが多いです。LPよりも回転数が速いので音質が良いのが特徴。回転数が速いため溝の刻みが細かく、再生時の解像度が高い傾向にあります。
- 1面あたり約4~5分再生可能
- シングルヒット曲やDJ用の12インチシングルも存在
- ジャズやダンスミュージックのシングルに人気
78 RPM(クラシック盤やシェラック盤)
1920年代〜1940年代に主流だった形式。シェラックという独特の素材でできており、非常に重く硬いのが特徴です。溝が太く、ノイズも多いため、現代のビニールレコードとは一線を画します。
- 1面約3~5分程度
- かなり古い音源のためコレクター向け
- 一部のターンテーブルは78回転に対応していないので注意が必要
ターンテーブルの回転数設定について
レコードプレイヤーでは、回転数を切り替える機能が基本的についています。多くのモデルは33 1/3 RPMと45 RPMの2つを搭載し、高級モデルやビンテージモデルには78 RPM対応もあります。
適切な回転数に設定しないと、音が正しいピッチで再生されません。手動で設定できるターンテーブルでは、レコードの表記やサイズを確認して正確に切り替えましょう。
また、スリップマットやトーンアームの調整も音質に影響します。特に重量の重い78回転用針は特殊なものが多いため、専用のカートリッジ・針を用意する必要があります。
まとめ
レコードの回転数は33 1/3 RPM、45 RPM、78 RPMの3種類が主に存在し、それぞれに特徴や歴史的背景があります。回転数を正確に見分けるためには、レコードのラベルやジャケットの表記、サイズの目安、そして実際の音を確認する方法があります。
回転数を正しく設定した上で再生することが、良質な音を楽しむために何より重要です。レコードの魅力はその音質だけでなく、アナログ機器の調整やレコード盤自体の物理的な特性に深く関わっています。ぜひ回転数の基礎を理解し、レコード再生の楽しさを味わってください。