ジャズ・トランペット巨匠リー・モーガンの名曲とブルーノートLPレコード完全ガイド【The Sidewinderほか名盤解説】
リー・モーガンとは誰か
リー・モーガン(Lee Morgan, 1938年7月10日 - 1972年2月19日)は、ジャズトランペット奏者の中でも特にハードバップを代表する巨匠の一人です。若干15歳でマイルス・デイヴィスのバンドに参加し、その後ジョン・コルトレーンやアート・ブレイキーといった偉大なミュージシャンたちと共演。彼のトランペットは力強く、情熱的でありながら繊細さも兼ね備えていました。
モーガンは1950年代後半から活躍を始め、特にブルーノート・レコードでの録音で知られています。数多くのアルバムがレコードでリリースされており、日本をはじめ世界中でレコード収集家やジャズファンから賞賛を浴びています。
リー・モーガンの名曲について
リー・モーガンの名曲は数多く存在しますが、その中でも代表的な作品を取り上げながら、彼の音楽的魅力や背景を探っていきます。なお、ここではLPレコードや7インチシングルなど、アナログレコードでのリリース情報を中心に解説します。
「The Sidewinder」
おそらくリー・モーガンの最も有名な曲であり、彼のキャリアの中で最大のヒット作です。「The Sidewinder」は1963年にブルーノート・レコードからLPとしてリリースされたアルバム『The Sidewinder』のタイトル曲です。
この曲はファンキーでグルーヴィーなリズムが特徴。ドラムのビリー・ヒギンズが生み出すリズムと共に、モーガンのトランペットが躍動します。特に、ジャズ界では珍しいほどシングルカットもされ、日本でもシングル盤(7インチ)が流通しました。
- レコードタイトル:The Sidewinder (ブルーノート BST 84070)
- 発売年:1964年(日本盤も同時期に発売)
- 収録曲:The Sidewinderを含む全6曲
- 特徴:ジャズとファンクの融合。レコード収集対象として人気が高い。
この曲の成功により、リー・モーガンは一躍スターダムにのし上がり、ジャズシーンにおける名声を確立しました。現在も多数のジャズバーやイベントで演奏される定番曲です。
「Cornbread」
1965年にリリースされたアルバム『Cornbread』に収録された表題曲は、モーガンの卓越した作曲能力とトランペットプレイが光る名曲です。こちらもブルーノートからのLPリリースがあり、ジャズの黄金時代の音が凝縮されています。
- レコードタイトル:Cornbread (ブルーノート BST 84213)
- 発売年:1965年
- 収録曲:Cornbreadを含む複数のオリジナル曲たち
- 特徴:リラックスしたスウィング感、ソウルフルなフレーズが印象的。
この作品でも、ベースやピアノのアンサンブルとの絡みが絶妙で、モーガンの表現力の幅広さを感じさせます。レコードのジャケットもブルーノート特有のデザインで、日本のコレクターからも評価が高いです。
「Ceora」
『The Sidewinder』アルバムに収められたバラード曲「Ceora」は、リー・モーガンの温かみと繊細な感性を示す作品です。LPのB面に収録されていることが多く、アナログ盤でじっくり聴きたい1曲となっています。
- 収録アルバム: The Sidewinder (ブルーノート BST 84070)
- 特徴:ラテンリズムを取り入れた静かな美しさ。トランペットのメロディーが胸に響く。
特にアナログレコードならではの暖かさと、静かな環境での再生が「Ceora」の魅力を倍増させます。細やかなビブラートや吹き込みの息遣いも、LPならではの臨場感を提供してくれます。
「Modo Blue」
1967年に発表されたアルバム『Modo Blue』も見逃せません。ブルーノートのLPとしてリリースされ、深くブルージーなジャズとしっとりしたトーンが魅力的です。
- レコードタイトル:Modo Blue (ブルーノート BST 84258)
- 発売年:1967年
- 特徴:ジャズの伝統的なブルース感とモダンな感覚の融合。レコードの溝から音の温度まで感じられる作品。
モーガンのトランペットは柔らかく、時に激しく表現力豊かなフレーズを奏でます。このLPも日本では高い人気があり、ブルーノートのオリジナル盤は特にコレクターの垂涎の的です。
リー・モーガンのレコードの魅力
モーガンの作品は多数あるものの、アナログレコードでの価値や音質面での魅力が特に強調されます。デジタル配信やCDとは違い、レコードには以下のような特長があります。
- 温かみのあるサウンド
アナログレコードならではの音の厚みやダイナミクスは、モーガンのトランペットの魅力を余すことなく表現してくれます。 - ジャケットアートワークの魅力
ブルーノートのレコードはデザインも秀逸で、収集の楽しみが非常に高いです。特に日本盤の帯やライナーノーツは価値が高いとされています。 - レコード盤の重みと存在感
LPレコードは存在感があり、音楽を聴くときの儀式的な楽しみを提供します。モーガンの音楽を聴くときはこの感覚が特に心地よいでしょう。 - 編集なしの録音が味わえる
当時のアナログ録音はライブ感が生きており、モーガンの息遣いやダイナミクスが直接伝わるため、音源以上の感動があります。
日本におけるリー・モーガンのレコード事情
日本のジャズファンはブルーノートのオリジナル盤、特に1950〜60年代のモーガン作品を重視してきました。1970年代以降の国内盤LPや再発盤も多数存在し、探す楽しみがあります。
特に注目されるのは「帯付き」の日本盤。1950〜60年代のブルーノートLPは独自の帯デザインや解説冊子が付くことが多く、海外に比べて高い販売価値を持っています。モーガンの作品も例外ではなく、良好な状態の初期日本盤LPは中古市場で高値で取引されています。
- 注目レコード店:タワーレコードジャズ専門コーナー、ディスクユニオンジャズ館、リコルディやバナナレコードなど各地の専門店
- イベント:ジャズレコードのフェアやイベントで希少盤が出ることも多い
さらに、リー・モーガンの名曲が収録されたLPは、国内外で再発も時折行われていますが、オリジナル盤の温かい音質とデザインには代えがたい魅力があり、ヴィンテージレコードファンの間で根強い人気を誇ります。
リー・モーガンの名曲を聴くおすすめのレコード盤
初めてモーガンの名曲をレコードで体感したい方におすすめの盤を幾つか挙げてみます。これらのLPは名曲が充実しているため、彼の音楽性の全貌を掴みやすいでしょう。
- The Sidewinder(ブルーノート BST 84070) - 圧倒的な人気で入手困難も、状態の良いものは聴く価値あり。
- Cornbread(ブルーノート BST 84213) - ファンキーで爽やかな演奏が心地よい。
- Modo Blue(ブルーノート BST 84258) - 静かで深いブルース感。
- Search for the New Land(ブルーノート BST 84127) - 静謐な中に挑戦的なサウンドが詰まった名盤。
これらはすべてブルーノートのジャズ黎明期を代表するレコードであり、ジャケットと共にコレクターも非常に多いです。YouTubeなどのデジタル音源も便利ですが、まったく違った感動をレコードは提供してくれます。
まとめ
リー・モーガンの名曲は単なるジャズのスタンダードではなく、成熟した技術と感情が溶け合った珠玉の作品群です。彼のトランペットが放つ音の魅力は、やはりアナログレコードによって聴くことでその真価が発揮されます。
ブルーノートを中心に、当時のオリジナルLPや日本盤の帯付きレコードなどはコレクターのみならず、音楽ファンにとっても宝物です。ジャズバーでのライブとは異なる静かな時間の中で、針を落として聴いてみると、リー・モーガンの息遣いや表現力がより鮮明に響き渡るでしょう。
これからジャズのレコード収集を始めようとする方は、ぜひリー・モーガンの名作LPを手元に置くことをおすすめします。ジャズの歴史を感じ取りつつ、その奥深い音楽世界に浸ることができるはずです。


