ハリー・スイーツ・エディソンの魅力を極める!ジャズ名盤レコード3選と選び方・聴き方ガイド
ハリー・スイーツ・エディソンとは?その魅力を知る
ジャズの世界で「スイーツ」の愛称で親しまれたトランぺッター、ハリー・スイーツ・エディソン(Harry "Sweets" Edison)。1905年にミズーリ州セントルイスで生まれ、1930年代から1970年代にかけて活躍した彼は、その独特のミュート奏法と洗練されたフレージングで、多くのファンを魅了してきました。特にビッグバンド時代のベニー・グッドマンやカウント・ベイシー楽団での活躍は有名で、ジャズ・トランペット奏者の中でも「メロディアスかつリズミカル」というスタイルは際立っています。
このコラムでは、エディソンの魅力をレコードという形で楽しみたい方に向けて、特におすすめのレコード作品やその選び方、そしてレコードならではの音の良さについて詳しく解説していきます。
なぜレコードで聴くべきか。CDやサブスクとの違い
近年、音楽はデジタル配信やCDで手軽に楽しむことができますが、ジャズ愛好家の中で根強い人気があるのが「レコード」での鑑賞です。ハリー・スイーツ・エディソンの演奏をレコードで聴くことには、いくつかの魅力があります。
- アナログ特有の温かみのある音質
レコードはデジタル音源とは異なり、演奏の生々しいニュアンスや暖かみのある音色をダイレクトに感じ取ることができます。エディソンの繊細なトランペットの響きも、レコードならではの自然な息遣いまで伝わりやすいのです。 - ジャケットや盤のデザインを楽しむ
レコードは大きなジャケットや見開きの内ジャケットに当時のアートワーク、写真、解説などが収められていることが多く、視覚的にも楽しめます。ハリー・スイーツ・エディソンの作品は、時代背景を感じさせるアートワークが魅力的なものも多いのです。 - 「レコードで聴く」という行為そのものの趣味性
針を落とし、溝を読み取って鳴らすという一連の行為が、音楽鑑賞をより意識的かつ豊かな体験にしてくれます。エディソンのジャズは、その味わい深さゆえにじっくりとレコードで向き合う価値があります。
おすすめレコード1:「Sweets」(1956年、レーベル: Norgran Records)
初めにおすすめしたいのが、彼のリーダー作品として代表的なNorgran(後のVerve)レーベルからリリースされた『Sweets』です。このアルバムはハリー・スイーツ・エディソンのトランペットの個性が最もよく現れた一枚とも言われています。
- 主な内容:チャールズ・ミンガスのピアノ、グレッグ・ライオンのベース、オスカー・アレキサンダーのドラムスなど実力派ミュージシャンとの共演。
- 特徴:ミュートトランペットの繊細な音色が際立ち、スイーツらしい安定感と温かみのあるサウンドが聴き取れます。録音状態も良好で、ヴィンテージ音源入門にも最適。
- 盤の入手性:オリジナルのモノラル盤は希少ですが、中古市場には評価の高いプレスが散見されます。ジャケットデザインもレトロ感が濃厚でコレクション価値があります。
おすすめレコード2:「The Swingers!」(1960年、レーベル: Roulette Records)
続いて、1960年リリースのルーレット・レコード作品『The Swingers!』は、エディソンのスイング感を存分に堪能できる名盤です。ここでは、ベースにジョー・パス、ドラムにシェリー・マンなど人気ジャズミュージシャンが参加しています。
- 主な収録曲:「Candy」、「Jeep's Blues」、「Bad Loser」など、スイングジャズ好きにうれしいラインナップ。
- 音質のポイント:ルーレット・レコードのカッティング技術が優れており、往年のジャズらしいクリアでパンチのあるサウンドが特徴。
- ジャケットと盤面:鮮やかなカラージャケットはコレクターに人気。オリジナル盤はレアですが、中古も価格高騰前に狙いたい逸品。
おすすめレコード3:「Edison's Lights」(1970年頃、レーベル: Pablo Records)
1970年代に入り、より成熟した味わいを感じることができる作品『Edison's Lights』も聴き逃せません。ラベルのPablo Recordsはノーマン・グランツが設立したレーベルで、エディソンの円熟期の作品を多数残しています。
- 主な特色:アナログサウンドのリアルさが際立ち、ジャズヴォーカルとの共演もあり幅広い聴きどころ。
- 盤の特徴:当時の録音技術とヴィンテージギアの好コンビネーションで、レコードの厚みあるサウンドを味わえます。
- エディソンの技巧:バラードからアップテンポまで自在に演奏し、その音の柔らかさを存分に堪能できる一枚です。
ハリー・スイーツ・エディソンのレコード選びのコツ
エディソンのレコードを選ぶ際に押さえておきたいポイントをまとめました。
- 音質重視ならオリジナルプレスを狙う
復刻盤も便利ですが、オリジナルのモノラルプレスは音質面で優れていることが多いです。特に1950年代〜60年代のNorgranやRouletteのオリジナル盤は価値が高いです。 - 盤の状態を必ず確認する
傷やスクラッチが多いと音が割れたりノイズがのるため、良好な状態であることを選定基準にしましょう。 - ジャケットのバリエーションを楽しむ
アートワークや内ジャケットの有無など、複数プレスがある場合はデザイン面でも興味深いものを選ぶとなお楽しいです。 - 帯や解説書が付属している場合は嬉しい
日本の帯付きLPは特に希少でコレクターズアイテムになりやすいため、音楽背景を知るうえでも魅力的です。
レコードの再生環境を整えるポイント
エディソンの繊細なトランペットの音色をレコードで堪能するには、良好な再生環境も重要です。以下はポイントの一例です。
- 針とカートリッジ
シェルリードの適切な交換や、カートリッジの品質にこだわることで、細かなニュアンスを引き出せます。 - アンプとスピーカー
ジャズの透明感や定位感を損なわない中低音重視のスピーカーや、真空管アンプを導入するとよりハートフルな音質になります。 - 設置環境
レコードの振動を抑える設置台や防振マットでノイズを軽減し、よりクリアな音像を楽しむことができます。
まとめ:ハリー・スイーツ・エディソンの真髄に触れるならレコードで
ハリー・スイーツ・エディソンのレコードは、彼のジャズトランペットの魅力を最もダイレクトに感じられる宝物です。CDや配信での再生も手軽ですが、レコードのアナログならではの質感、音の温度感といった感覚は格別です。
特にNorgranの『Sweets』、Rouletteの『The Swingers!』、そしてPabloの『Edison's Lights』は、彼のさまざまな魅力を網羅した名盤で、レコード収集初心者から上級者までぜひ手にしていただきたい作品です。さらに、最良の状態の盤をじっくり針で聴いてこそ、そこに隠れた音楽の息づかいに触れられます。
レコードならではの楽しみとジャズの奥深さを味わいながら、ハリー・スイーツ・エディソンの世界に浸ってみてください。


