ジャズの巨匠ベニー・ゴルソン代表曲と名盤レコード完全ガイド【初心者からコレクターまで必見】

ジャズ界の巨匠ベニー・ゴルソンとは

ベニー・ゴルソン(Benny Golson)は、ジャズ史に燦然と輝くサクソフォン奏者であり、作曲家としても非常に高い評価を受けています。1929年生まれの彼は、ビバップからハードバップの時代にかけて活躍し、数々の名曲を生み出しました。特にレコード時代における彼の作品は、ジャズの黄金期を代表する音源として今なお多くのファンに愛されています。

本コラムでは、ベニー・ゴルソンの代表曲とその魅力を、主にレコードでのリリース情報を交えながら解説します。彼の作品群は、自身がメンバーとして参加したジャズ・メッセンジャーズや、アート・ブレイキーとの共演盤に収められているものが特に有名です。

代表的な名曲とそのレコード情報

1. 「Killer Joe」

「Killer Joe」は、ベニー・ゴルソンのもっとも知られた代表曲のひとつです。1960年代初頭に発表されたこの曲は、そのスムースでグルーヴィーなメロディが特徴で、多くのミュージシャンにカバーされ続けています。

レコードにおいては、ブルーノート・レーベルやプレスティッジからのリリースが特に有名で、オリジナル盤は高値で取引されることもあります。特にゴルソン自身がリーダーを務めたアルバム「ゴルソンズ・モッド・ゴースト(Golson's Mod Ghost)」収録版や、「Meet the Jazztet」(Jazztetはゴルソンとアート・ファーマーのグループ名)でも聴くことができます。

  • リリース年:1960年代初頭
  • レーベル:プレスティッジ, アトランティックなど
  • 代表盤:「Meet the Jazztet」(Argo)、「Golson's Mod Ghost」

2. 「I Remember Clifford」

「I Remember Clifford」は、トランペット奏者クリフォード・ブラウンへの追悼曲としてベニー・ゴルソンが作曲したバラードです。この哀愁を帯びたメロディはジャズのスタンダードとなり、数多くのレコードに収録されています。

この曲は、1957年に発表されたジャズ・メッセンジャーズのアルバム「ブルース・マーチ」で初めて正式に録音されました。特にクリス・コナーとの共演盤やゴルソンの初期リーダー作「Benny Golson’s New York Scene」(1961年、リバーサイド・レコード)も注目に値します。アナログのオリジナル盤はその歴史的価値からコレクターズアイテムとなっています。

  • リリース年:1957年発表(ジャズ・メッセンジャーズ盤)
  • レーベル:ブルーノート、リバーサイド
  • 代表盤:「Blues March」(Jazz Messengers)、 「Benny Golson’s New York Scene」

3. 「Blues March」

「Blues March」は、軍隊行進曲をイメージしたリズムとブルースの要素が融合した、ゴルソンの代表的なハードバップ作品です。アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズのトレードマーク曲としても有名で、彼らが演奏することで広く知られました。

この曲は、1958年の「Moanin’」アルバムやその関連作に収録されていて、アナログ盤の名盤として評価されています。特にオリジナルのブルーノート盤はコレクターの間で高い人気があります。

  • リリース年:1958年
  • レーベル:ブルーノート
  • 代表盤:アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ「Moanin’」

4. 「Stablemates」

「Stablemates」は、ジャズのスタンダードナンバーとして知られ、複雑な和声進行を特徴とする楽曲です。ティモシー・ドレイクやペッパー・アダムスをはじめ様々なセッションで演奏され、ジャズ演奏者の間でチャレンジングな曲として人気が高いです。

レコードとしては、1956年にリリースされた「Benny Golson Quintet」(New Jazzレーベル)や、アート・ファーマーとの共演盤「Art Farmer and Benny Golson Jazztet」(Argoレーベル)に収録されています。特にジャズ・メッセンジャーズ以前の彼の初期作品を聴く時には貴重です。

  • リリース年:1956年頃発表
  • レーベル:New Jazz、Argo
  • 代表盤:「Benny Golson Quintet」, 「Jazztet」

5. 「Whisper Not」

「Whisper Not」もゴルソンを代表する名曲のひとつで、その独特なメロディとハーモニーは多くのジャズミュージシャンに影響を与えています。ブルーノートやプレスティッジの複数のアルバムに収録され、何度も録音が繰り返されました。

1956年頃から演奏されており、特にジャズ・メッセンジャーズのアルバム「Moanin’」のセッションでも取り上げられました。オリジナルのアナログ盤は今でも多くのジャズ愛好家に好まれています。

  • リリース年:1956年以降
  • レーベル:ブルーノート、プレスティッジ
  • 代表盤:アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ「Moanin’」

ベニー・ゴルソンのレコード音源を楽しむために

ベニー・ゴルソンのレコードは、ハードバップを中心とした時代の音楽文化の証として貴重です。ジャズ専門店やレコード市、そしてオークションサイトなどでオリジナルのプレスを探すのも醍醐味のひとつです。特にブルーノート、アトランティック、プレスティッジ、リバーサイドなどの主要レーベルからリリースされたLPは音質も優れており、40〜50年以上を経た今でもその魅力を失っていません。

また、ジャズ・メッセンジャーズ時代やジャズテットでの共演盤は、ベニー・ゴルソンの作曲家としての才能だけでなく、演奏家としての技巧も存分に味わえる重要なリリース群です。これらのレコードは、音楽性はもちろんジャケットデザインも芸術的価値が高く、ジャズにおけるヴィジュアル&サウンド両面の楽しみ方を提供してくれます。

まとめ

ベニー・ゴルソンはジャズ界に数多くの不朽の名曲を残しました。彼の作品は、単に美しいメロディを持つだけでなく、演奏する者に高度なテクニックと表現力を要求します。レコードというフォーマットで聴くことで、その時代特有の空気感や録音技術の暖かさも味わえ、ジャズの黄金期を肌で感じることができるでしょう。

ぜひ、ベニー・ゴルソンの代表曲が収録されたオリジナルLPを手に取り、音楽史に残る名演奏の数々を堪能してみてください。