クリード・テイラーとは?ジャズ界の伝説的プロデューサーとCTIレコードの魅力を徹底解説

クリード・テイラーとは誰か?

クリード・テイラー(Creed Taylor、1929年5月13日 - 2022年8月) は、ジャズ界における伝説的な音楽プロデューサーであり、レコードレーベルの創設者としても知られています。特に1960年代から1970年代にかけて、彼の手がけたレコードはジャズのサウンドを新しい次元へと導き、多くの名盤を世に送り出しました。

クリード・テイラーのキャリアの始まり

1950年代後半、クリード・テイラーはヴェルヴェット・レコード(Riverside Records)でキャリアをスタートさせました。そこで彼はプロデューサーとしての技術を磨き、多くのジャズアーティストの作品に携わりました。しかし、彼が真に名前を轟かせるきっかけとなったのは、カンタベリー・ジャズ・レコード(CTIレーベルを後に形成する)との関係が始まった1960年代後半からです。

CTIレコードの設立とその背景

1967年、クリード・テイラーは大手レコード会社A&Mレコードのジャズ部門責任者に就任しましたが、その後、独自のビジョンを追求するために1969年に自身のレコードレーベル「CTIレコード」を設立しました。

CTI(Creed Taylor Incorporated)は、洗練されたサウンドメイキングと豪華なパッケージングで知られ、ジャズの商業的成功と芸術的完成度を両立させることを目指しました。彼のプロデュースするアルバムは、従来のジャズレコードとは一線を画す“ジャズとポップスの融合”と“高度なスタジオワーク”を特徴としています。

アナログ・レコードにおけるクリード・テイラーの特徴

クリード・テイラーが関わったレコードのアナログ盤は、その音質の良さが非常に高く評価されています。彼がリリースに携わったLPレコードは、以下のような特徴がありました。

  • 高品質なプレス:CTIのレコードは、初期プレスやオリジナルのアナログ盤は非常に良質なビニールを使用し、音のクリアさとレンジの広さに優れていました。
  • 大胆なジャケットデザイン:カバーアートは当時のモダンアートやファッションからインスパイアされ、見た目もインパクトが強い作りでした。これはレコードコレクターの間でも高く評価されています。
  • プロフェッショナルなエンジニアリング:CTIレコードはルディ・ヴァン・ゲルダーやオーウェン・ブラウンなどの名エンジニアが参加し、当時の最新技術を駆使した録音を実現しました。

代表作とそのレコード盤の詳細

クリード・テイラーのキャリアには数多くの名盤が存在しますが、特に人気の高い作品をいくつか紹介します。これらのLPレコードは、現在ヴィンテージ市場でも高額で取引されており、所有すること自体がジャズコレクターのステータスとなっています。

ジョン・コルトレーン - 『バラード(Ballads)』 (1962年 Verve LP)

クリード・テイラーが生み出した名作の一つがジョン・コルトレーンのアルバム『バラード』です。このレコードは、コルトレーンの柔らかなトーンと豊かなメロディが美しく織りなされた作品として評価され、ヴァーヴ・レコードからリリースされました。テイラーがプロデュースに関わっており、優れた音響バランスが体験できるLPです。

ジョージ・ベンソン - 『ギヴ・ミー・ザ・ナイト(Give Me the Night)』(CTI LP)

クリード・テイラーはジャズギタリスト、ジョージ・ベンソンのキャリアに大きな影響を与えました。CTIからリリースされた初期LPにはジャズとファンクが融合したサウンドが特徴で、アナログ盤は特にこちらの厚みのあるサウンドが魅力的です。

ウェイン・ショーター - 『スピーク・ノー・イーヴル(Speak No Evil)』(Blue Note LP)

テイラーはブルーノート時代にも重要なプロデュースを行い、ウェイン・ショーターのこのアルバムはその代表例です。オリジナルのブルーノート盤はアナログ愛好家にとって最高峰の一枚とされ、特にマトリクス番号によって本物の価値が判別されています。

レコード収集におけるクリード・テイラー盤の価値

クリード・テイラーが携わったレコードは、その音質の高さと芸術性のために、アナログレコードのコレクターズアイテムとして非常に人気があります。中でも1970年代初期のCTIのオリジナルプレスは稀少で、国内外のオークションやヴィンテージマーケットで高値で取引されています。

コレクターは以下の点に注意しながら探すことが一般的です。

  • オリジナル盤の状態:ジャケットの破れやビニールのキズが少ない完品に価値が高い。
  • プレスの年代と番号:初回プレスであることを示すマトリクス番号やカタログ番号の確認が重要。
  • ジャケットデザインのバリエーション:一部のCTI盤には限定カラーや仕様違いが存在するため、細かくチェックされる。

まとめ

クリード・テイラーはジャズの歴史において「音楽の魔術師」とも称され、彼が手がけたレコードは今なお多くの音楽愛好家やレコードコレクターに愛されています。彼のプロデュースしたLPは、単なる音楽の記録媒体を超え、アートそのものとなっています。

ヴィンテージレコードの世界では、テイラーの作り出したCTIやブルーノート盤は、サブスクやデジタル配信で味わえない空気感や温かみを提供してくれます。これからアナログレコードを収集しようと考えている方にとっても、クリード・テイラーの作品はぜひとも手に入れておきたい最高峰のコレクションと言えるでしょう。