ケニー・ドーハムの名盤と希少レコード完全ガイド|ブルーノート名作3選とコレクター評価の秘密

ケニー・ドーハムとは

ケニー・ドーハム(Kenny Dorham, 1924年8月30日 - 1972年12月5日)は、アメリカのジャズトランペット奏者、作曲家として知られています。ハードバップ期の重要なトランペッターの一人であり、マイルス・デイヴィスやチャーリー・パーカー、ソニー・ロリンズらと共に活躍。彼の音楽は繊細かつリリカルなトランペット・トーンが特徴で、ジャズ愛好家からは今もなお高く評価されています。

ケニー・ドーハムの代表作とその魅力

ケニー・ドーハムが残した作品の多くはレコードでリリースされ、現在でもヴィンテージな音質やジャケットデザインがコレクターの間で根強い人気を誇っています。ここでは、特に代表的なレコード作品とその楽曲について解説します。

1. 《Afro-Cuban》 (Blue Note, 1955)

ケニー・ドーハムの代表作のひとつに挙げられるのが、この『Afro-Cuban』です。ブルーノート・レーベルからリリースされたこのアルバムは、ラテン音楽とジャズの融合を試みた画期的な作品であり、ドーハム自身のアフロキューバンなリズム感覚が色濃く反映されています。

  • レコード情報: Blue Note BLP 1536(12インチLP)
  • 収録曲の特徴: 「Afrodisia」「Lotus Flower」「Minor's Holiday」など、ラテンパーカッションを効果的に取り入れており、ハードバップの枠を超えた独特のグルーヴを生み出しています。
  • 注目ポイント: パーカッションにチャンス・マニング、パーシー・ヒースらが参加し、ドラマーのグリフィン・マリガンと共にラテンジャズ特有の熱気を帯びたサウンドを実現しています。

2. 《Whistle Stop》 (Blue Note, 1961)

『Whistle Stop』はケニー・ドーハムのキャリア中期の作品で、彼の作曲能力とトランペット演奏の成熟が感じられるアルバムです。この盤もブルーノートからのリリースで、ドーハムの代表曲を多く含んでいます。

  • レコード情報: Blue Note BLP 4061
  • 代表曲: 「Whistle Stop」「Mirror, Mirror」「Scotch Blues」など
  • 楽曲解説: タイトル曲「Whistle Stop」は爽快なテンポで、トランペットの透明感ある響きがリスナーを惹きつけます。サイドメンバーにはハル・ジェニングス、アート・テイタムなど実力派が集結しており、録音のクオリティも高い。

3. 《Quiet Kenny》 (New Jazz, 1959)

『Quiet Kenny』は、彼の柔らかく繊細な音色が際立つ作品です。New JazzレーベルからリリースされたこのLPは、タイトル通りの落ち着いた、エモーショナルなジャズを展開しています。

  • レコード情報: New Jazz NJLP 8225
  • 特徴: 穏やかなバラードや中間テンポの曲が中心。ドーハムの豊かなフレージングが味わえる。
  • 収録曲例: 「Lotus Blossom」「My Ideal」「Blue Bossa」など
  • ポイント: レコード盤での録音は柔らかいビニール製ジャケットが特徴的で、ジャズの静謐さを映し出しています。サイドバンドのメンバー選定も秀逸で、ピアノのトミー・フラナガンとの絡みは特に聴きどころ。

レア盤やコレクター間での評価

ケニー・ドーハムのレコードは、プレス時期やジャケットのバリエーション、ブルーノートのオリジナル盤であるか否かによってコレクターの間で価格差が大きくなります。特に1950年代〜60年代のブルーノート盤は音質の良さ、ジャケットアートの美しさからヴィンテージジャズレコード愛好家に非常に人気があります。

  • オリジナルプレスの価値: 例えば『Afro-Cuban』のオリジナルブルーノート12インチLPは、保存状態によっては高額取引されることもある名盤。
  • ジャケットデザイン: ブルーノートのデザインはリード・マイルスなどが手掛けており、主に青色が基調でドーハムの写真やアフリカンテイストのアートワークが特徴的です。
  • バリエーション: 初回プレスはレーベルの刻印やカンパニーインナーが異なることが多く、ヴィンテージ度合いを見極めるポイントとなっています。

まとめ

ケニー・ドーハムは、ハードバップの現場で数多くの名盤を残し、その柔らかなトランペットの響きとリズムの巧みさで多くのファンを魅了しました。中でもブルーノートやニュー・ジャズからリリースされた彼のアルバムは、レコードとしてだけでなくジャズの歴史的価値も高いものばかりです。

現在、サブスクリプションやCDに加えて、アナログレコードのリバイバルも盛んですが、オリジナルプレスのケニー・ドーハム作品は音質の良さとヴィンテージジャズの魅力を最も色濃く体験できるアイテムとして評価されています。ジャズレコード収集家であれば、一度は手に入れたい盤として今後も重要視されるでしょう。