リー・モーガン代表曲徹底解説|アナログレコードで味わうハードバップの名作と聴きどころ

リー・モーガン代表曲解説コラム

トランペット奏者リー・モーガン(Lee Morgan)は、ジャズ史において最も重要かつ影響力のあるハードバップ・ミュージシャンの一人です。1950年代後半から1970年代初頭にかけて活躍し、その印象的なプレイスタイルと卓越した作曲能力で多くの名曲を生み出しました。今回は、モーガンの代表曲を中心に、レコードでのリリース状況や楽曲の聴きどころを解説します。

リー・モーガンとは?ジャズシーンに残した足跡

リー・モーガンは1938年フィラデルフィア生まれ。若くして名門ジャズクラブで頭角を現し、セロニアス・モンクやアート・ブレイキーのバンドで活動。特にアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズの一員として、モーガンの才能は一気に開花しました。彼のトランペットは、情熱的でありながらもメロディアス、かつリズミカルで、ハードバップの特徴を存分に発揮しています。

レコードとしての代表的な仕事は主にブルーノート・レーベルから多くがリリースされており、良質なアナログ盤コレクターの間で今も高い人気を誇っています。

代表曲1:“The Sidewinder”

おそらくリー・モーガンの代表曲と言えば、1964年に発表された「The Sidewinder」が最も著名でしょう。アナログのブルーノート・レコード〈Blue Note 4195〉としてリリースされたこのシングルは、押しも押されぬモーガンの最大のヒット曲です。

  • レコード情報:
    アルバム「The Sidewinder」(Blue Note BLP 4183 / BST 84183、初版モノーラルおよびステレオ盤共に存在)。オリジナルLPは1964年録音。
  • 音楽的特徴:
    ラテン調のリズムを取り入れたファンキーなブルース形式の曲。キャッチーなテーマとリズムが大衆に幅広く受け入れられ、ジャズの商業的成功の代表例となった。
  • 聴きどころ:
    冒頭のホーンリフは非常に覚えやすく、トランペットの力強いリーダーシップが光る。スタンリー・タレンタインのテナーサックスも見事。レコードの音質も良好で、ヴァージン・プレスや初版オリジナルのプレスが高値で取引される。

このレコードはリー・モーガンのキャリアの転機となり、ブルーノートの経営にもプラスに働きました。アナログ盤はジャズコレクター垂涎の品で、オリジナルの初版LPは非常に高額に取引されています。

代表曲2:“Ceora”

「Ceora」は1965年のアルバム「Search for the New Land」(Blue Note BLP 4186 / BST 84186)に収録されたバラードで、リー・モーガンのもっとも美しい一面を表現する曲です。レコードとしての完成度が非常に高く、アナログ愛好家・ジャズマニアに高評価を受けています。

  • レコード情報:
    オリジナル盤は1965年録音。モノーラル、ステレオ盤が存在し、どちらも人気。
  • 音楽的特徴:
    哀愁を帯びたメロディーと繊細なトランペット表現。非常にリリカルで、リー・モーガンの柔らかくも艶やかな音色が堪能できる。
  • 聴きどころ:
    マックス・ローチのドラムスやハービー・ハンコックのピアノとのインタープレイも絶妙。ゆったりとしたテンポに乗せて、モーガンの美しいタイム感覚が光る。

Search for the New Land のオリジナル・レコードはブルーノートの美しいジャケットも魅力で、プレスの良し悪しによって音質にも大きな差があります。特に日本初回盤は高額です。

代表曲3:“Cornbread”

1965年リリースのアルバム「Cornbread」(Blue Note BLP 4187 / BST 84187)からのタイトル曲も外せません。ブルーノートの典型的なハードバップサウンドを楽しむことができ、リー・モーガンのファンキーな側面が強調されています。

  • レコード情報:
    「Cornbread」は1965年の録音で、ブルーノートの黄金期の作品の一つ。オリジナルはモノーラルとステレオの2種類があり、ステレオ盤のほうが入手しやすい。
  • 音楽的特徴:
    グルーヴ感あふれるアップテンポ曲。ブルースとソウルフルなメロディがジャズファンに大好評。
  • 聴きどころ:
    強烈なリズムセクションとホーンセクションの掛け合い。特にリー・モーガンのトランペットの切れ味がレコードのアナログサウンドでより際立つ。

このアルバムもアナログのブルーノート盤では価値が高く、音質重視のオリジナル盤は中古レコード市場でも非常に人気が高いです。特に“Cornbread”というタイトル曲はライブでも頻繁に演奏されました。

代表曲4:“Speedball”

「Speedball」は1964年録音のアルバム「Let’s Get Lost」(後にコンピレーションアルバムにも多数収録)などで親しまれているアップテンポのハードバップ曲です。エネルギッシュな演奏が特徴で、リー・モーガンの若々しい情熱が感じられます。

  • レコード情報:
    初出はブルーノートのシングルとしてリリースされたこともある。現在は1960年代ブルーノート盤で聴くのが主流。
  • 音楽的特徴:
    テンポの速い曲調で、強烈なブラスとドラムの活き活きとした掛け合いが魅力。
  • 聴きどころ:
    モーガンのテクニックが光る難曲的側面も持ち合わせており、オリジナル盤の盤質やマスタリングにこだわるマニアが多い。

この曲の収録盤はブルーノートのオリジナルのプレスで聴くことが理想で、特に60年代のヴィンテージプレスは暖かみのある音色が魅力です。

まとめ:アナログレコードで味わうリー・モーガンの魅力

リー・モーガンの代表曲は、ブルーノートレコードの名盤としてアナログレコード市場で今なお根強い人気を誇ります。特に「The Sidewinder」はジャズ史に残るヒット曲で、レコードの初版盤はコレクターアイテムとして高値で取引されています。その他の名曲も、オリジナルプレスの盤質・プレス工場による音質の違いなどを楽しみながら聴くのが理想的です。

さらに、ジャケットのアートやブルーノート社の特徴的なデザインも、アナログLPならではの魅力。ジャズファンやレコードコレクターにとって、リー・モーガンの作品は音楽的価値だけでなくヴィンテージレコードとしても文化的財産と言えます。

これからリー・モーガンを深く聴き込むならば、やはりアナログレコードの良質なオリジナル盤を探し出して、その特有の暖かく生々しいサウンドに浸ることを強くおすすめします。