昭和歌謡の宝石・楠トシエの名曲と希少レコード盤の魅力完全ガイド
はじめに
戦後日本の歌謡界に燦然と輝く名歌手、楠トシエ。彼女は1950年代から1960年代にかけて、数多くのヒット曲をレコードでリリースし、その独特の歌声と表現力で多くのファンを魅了しました。本コラムでは、楠トシエの代表的な名曲を中心に、その魅力やレコードの歴史的価値について詳しく解説します。特にCDやサブスクリプションが普及する以前の、レコード(アナログ盤)を中心に情報をお届けします。
楠トシエとは?
楠トシエ(1929年~1983年)は、戦後すぐの歌謡曲シーンで活躍した女性歌手のひとりです。彼女の歌唱スタイルは当時の流行を取り入れつつも、しっとりとした情感が特徴的で、聴く者の胸に深く響くものでした。特に彼女のレコードは当時のコロムビアレコードやビクター(日本ビクター)から多数リリースされており、シングル盤(10インチシングルや12インチEP)が中心でした。
楠トシエの代表的な名曲とレコードリリース
楠トシエの数ある名曲の中でも、特にレコードでのリリースや当時の反響が大きかった楽曲をピックアップし、その魅力とレコード盤にまつわる情報を紹介します。
1. 「赤坂の夜は更けて」
- リリース年:1955年
- レーベル:日本コロムビア
- フォーマット:10インチシングル盤(SP盤、78回転)および33回転LP収録
この曲は楠トシエの代表曲の一つであり、その哀愁漂うメロディと歌詞は多くのファンの心をつかみました。レコードのジャケットはシンプルながらも夜の都会のムードを巧みに表現しており、コレクター間でも評価が高い一枚です。当時、78回転のSP盤でリリースされた後に、33回転のLPに収録されたことで、より多くのリスナーに届きました。
2. 「銀座の女は歌っている」
- リリース年:1957年
- レーベル:日本ビクター
- フォーマット:10インチシングル盤
こちらは楠トシエがジャズやブルースの要素を取り入れた珍しい楽曲で、銀座の夜の雰囲気を独特の節回しで表現しています。レコード収集家の間では「ジャケットのアートワークが当時としては画期的」と評価されており、オリジナル盤は大変希少価値が高いです。また、B面には当時のヒット曲のカバーが収録されていることもあり、両面楽しめるシングルとなっています。
3. 「夜霧のブルース」
- リリース年:1956年
- レーベル:日本コロムビア
- フォーマット:78回転SP盤および45回転シングル
ブルース調の曲であり、楠トシエのしっとりとした歌声が最大限に生かされた作品です。発売当初はSP盤が主流でしたが、後に45回転のシングル盤でも再販されました。特に45回転盤は音質が向上しており、今なお良好な音で聴ける点から、コレクターや愛好家に重宝されています。
楠トシエのレコードにまつわる特徴と価値
楠トシエのレコードは、単に音楽的に価値が高いだけでなく、その当時の日本の歌謡界やレコード業界の発展の歴史を象徴する資料的価値も持っています。
1. フォーマットの多様性
楠トシエの作品は、1950年代のSP盤(78回転)から45回転シングル、LPまでさまざまなフォーマットでリリースされており、音質の違いや盤面の形状による聴き心地のちがいも楽しめます。特に78回転SP盤は素材やプレス技術の関係で現代より雑音が入りやすいものの、当時の臨場感を味わえるため熱狂的な愛好家に求められています。
2. ジャケットデザインの変遷
初期の楠トシエのレコードはモノクロのシンプルなジャケットが主流でしたが、1950年代後半からはカラー写真や当時のファッションを背景にしたデザインへと進化しました。特に「銀座の女は歌っている」などのジャケットは、ファンのみならずアートワークとしても評価が高く、ジャケット目当てにコレクションする人も多いです。
3. 初版盤の希少性と市場価値
楠トシエの初版盤(オリジナルプレス)は市場に流通する数が少なく、状態の良いものは非常に高価で取り引きされています。特にオリジナルのSP盤や初期の45回転盤は、ジャケットの保存状態を含めて良品が希少です。オークションや専門店での販売価格は、曲の人気度や盤質により大きく変動しますが、コレクター間で常に注目されています。
まとめ
楠トシエは戦後日本の歌謡曲シーンで確固たる地位を築き、多くの名曲をレコードとして残しました。彼女の作品は当時のレコード文化を知る重要な足跡であり、音楽的な価値のみならず、ジャケットのアート性やレコードフォーマットの多様性も含めた総合的な魅力があります。レコードという形態で彼女の歌声を楽しむことは、単なる音楽鑑賞以上に昭和歌謡の貴重な文化体験と言えるでしょう。
現在ではCDや配信が主流ですが、あえて楠トシエのオリジナルレコード盤を手に入れ、その歴史的背景や音質を味わうことは、ファンや音楽愛好家にとって格別の価値があります。今後も保存と継承が望まれる昭和歌謡の宝石、楠トシエのレコードをぜひ手元に置いて、その魅力に浸ってみてはいかがでしょうか。


