戦後を彩った演歌の女王・二葉あき子の名曲と貴重なレコードコレクション完全ガイド
二葉あき子とは誰か?
二葉あき子(ふたば あきこ)は、日本の演歌歌手であり、戦後を代表する歌謡界の大スターの一人です。1940年代から1950年代にかけてが彼女の全盛期で、その歌声と独特の歌唱スタイルは多くのファンを魅了しました。彼女は、昭和歌謡の黄金期を支えた女性歌手として知られています。
二葉あき子は特にレコードでの収録が多く、当時のSP盤(78回転、60cmレコード)や後のLP盤(33回転、30cmレコード)でその楽曲が広く流通しました。CDやサブスクリプションサービス以前の時代に活躍したことから、当時のレコードは二葉あき子の歌唱を知る貴重な資料と言えます。
代表曲とその背景
二葉あき子の代表曲は多数ありますが、特に以下の楽曲が彼女を象徴する名曲として広く知られています。
- 「雨の御堂筋」
- 「お月さん今晩は」
- 「浪花節だよ人生は」
- 「東京ひとり」
「雨の御堂筋」
「雨の御堂筋」は、1966年にリリースされたシングルレコード(通常は7インチ45回転盤)が最も有名です。この曲は、大阪を象徴する幹線道路「御堂筋」の情景を舞台に、哀愁漂うメロディと感情豊かな歌詞が融合しています。演歌の伝統的な要素を残しつつも、都会的な哀愁を表現したこの曲は、多くのファンから愛されました。
レコードとしては東芝音楽工業(現・東芝EMI)がリリース元で、ジャケットには二葉あき子のポートレートと御堂筋の夜景が描かれています。SP盤時代からのファンだけでなく、モノラルからステレオ盤に移行する時期に録音されたこの作品は、音質面でも評価が高い逸品です。
「お月さん今晩は」
「お月さん今晩は」は、戦後間もない1949年にコロムビアレコードから発売されたシングルレコード(78回転SP盤)です。当時のレコード盤は薄く割れやすく貴重ですが、この曲は二葉あき子のデビュー期を象徴する名曲です。
この曲は、情感豊かな歌詞と素朴なメロディが特徴で、戦後の日本人の心情に寄り添った作品でした。SPレコードの時代に発売され、多くの人々の家庭の蓄音機から流れ、二葉あき子の名を一気に全国区にしました。
「浪花節だよ人生は」
「浪花節だよ人生は」は、1956年にビクター音楽産業(現・JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント)からリリースされました。この曲は「浪花節」という日本の伝統的な語り物をテーマにしており、二葉あき子のパワフルで情熱的な歌唱力を生かした作品です。
シングルレコードとしても非常に人気が高く、B面も含めたレコードはコレクターズアイテムとなっています。ジャケットには伝統的な衣装を着た二葉あき子が写り、高い当時のアイドル性も感じられます。
「東京ひとり」
「東京ひとり」は、1950年代後半にリリースされた楽曲で、当時隆盛を誇った歌謡曲の一つです。東芝音楽工業から発売された7インチシングル盤が主流で、ミドルテンポの歌謡メロディが都会的な孤独感を描いています。
この曲は、都会に出てきた若い女性の視点を歌っており、二葉あき子の繊細な表現力が光ります。レコードはジャケットもモダンなデザインで、当時の歌謡界のトレンドを反映しています。
二葉あき子のレコード盤コレクションの魅力
二葉あき子のレコードは、戦後~高度経済成長期の日本の歌謡史を物語る貴重な音源です。SP盤や初期のLP盤、7インチシングルなど、さまざまな形態が存在し、それぞれに独特の音の風合いや時代背景があります。
- SP盤(78回転盤):音質は当時の技術水準でありながらも、二葉あき子の声の温かみや表現力が際立っています。戦後の混乱を乗り越えた音として価値があります。
- モノラルLP盤:歌謡曲の奏でる情感がより豊かに収録され、ジャケットデザインも美麗なものが多く、音楽ファンやコレクターの間で人気があります。
- 7インチシングル盤:シングルヒット曲のメインフォーマットであり、ジャケットや歌詞カードのデザインも多彩。当時のレコード店の売り場の雰囲気を想像させます。
これらのレコードは、現代のCDや配信音源とはまた異なる「アナログの温もり」を感じられ、当時の録音技術や製造工程の跡も垣間見ることができます。また、盤面のラベルデザインやジャケット写真も収集価値の高い要素です。
まとめ
二葉あき子は、日本の昭和歌謡を代表する女性歌手として、その幅広いレパートリーと歌唱力で多くのヒット曲を生み出しました。代表曲である「雨の御堂筋」「お月さん今晩は」「浪花節だよ人生は」「東京ひとり」などは、当時のレコードという形態で発表され、今も多くのコレクターや歌謡ファンに愛されています。
彼女のレコードは、戦後日本の音楽文化の一側面を映し出す重要な資料でもあり、単なる音楽作品以上の文化遺産です。アナログレコードで二葉あき子の唄を聴き、その時代の空気や情緒を味わうことは、現代の音楽の楽しみ方とはまた違った深い感動を与えてくれます。
もし機会があれば、ぜひレコードショップやオークションで二葉あき子のSP盤やLP、シングル盤を探してみてください。彼女の歌声を当時の音質で聴くことで、昭和歌謡の魅力がより一層心に響くはずです。


