ジョニー・グリフィンの代表曲と名盤で巡るジャズ・テナーサックスの真髄【初心者にもおすすめ】

ジョニー・グリフィンとは?

ジョニー・グリフィン(Johnny Griffin、1928年 - 2008年)は、アメリカのジャズ・テナーサックス奏者として知られ、その卓越したテクニックと情熱的な演奏スタイルで、多くのジャズファンやミュージシャンから尊敬を集めました。彼は「ザ・リトル・ジャイアント」と称されるほど、小柄ながら力強く緻密なフレーズ構築を得意とし、ハードバップのシーンで重要な役割を果たしました。特に1950年代から1960年代にかけてリリースされたレコードは、今なおジャズ・レコード愛好家の間で高い評価を受けています。

代表曲とその特徴

ジョニー・グリフィンの代表曲は、彼のオリジナル作品に加え、スタンダードジャズナンバーの名演も多数あります。ここでは特に彼のレコード時代に発表された代表的な曲を中心に解説します。

1. 「Moment’s Notice」

ジョニー・グリフィンの「Moment’s Notice」は、彼の速射砲のようなテナーサックスのフレーズが際立つ一曲。もともとはジョン・コルトレーンの曲ですが、グリフィンの解釈によりよりドライブ感が増し、技術の高さが余すところなく発揮されています。

この曲は1960年代のレコード『A Blowin’ Session』(1957年録音、リーダー作としては有名な名盤)に収録されており、アート・ブレイキー(ドラムス)、ホレス・シルバー(ピアノ)、ポール・チェンバース(ベース)らと共演しています。テンポの速いビバップのスタイルに、グリフィンの鮮やかなアドリブが加わり、聴きどころ満載です。

2. 「The Theme」

「The Theme」はマイルス・デイヴィスの代表的なテーマ曲ですが、グリフィンも幾度となくライブやレコードで取り上げています。特に『A Blowin’ Session』での演奏は、グリフィンの鋭利な表現とスピード感があふれるプレイが際立っています。

この曲の魅力はシンプルなテーマに対して、即興演奏家たちがそれぞれ個性的にアドリブを展開する点にあり、グリフィンはその天才的な速弾きとメロディアスなラインで聴衆を魅了しました。

3. 「Jungle Greens」

ジョニー・グリフィンのオリジナル曲であり、グリフィンのリーダー作『The Congregation』(1957年)に収録されています。ファンキーかつソウルフルな感じが特徴で、グリフィンの豪快かつ鮮やかなテナーサックスがヘビーなリズムの上で冴え渡ります。

この曲では、グリフィンのハードバップにおける作曲センスも感じられ、当時のハードバップシーンのエネルギーがよく表現されています。

レコード時代の重要アルバムと代表曲の関係

ジョニー・グリフィンの代表曲を探るには、彼の主要なレコードを知ることが不可欠です。以下に、彼のレコード時代の代表作と収録曲をまとめました。

  • 『A Blowin’ Session』(1957年)
    このアルバムはジョニー・グリフィンをはじめ、ジョン・コルトレーン、フィル・ウッズ、ライオネル・ハンプトンらハードバップの豪華メンバーが集結したスーパーセッション。

    • 「Moment's Notice」
    • 「The Theme」
    • 「Blue Light」

    速いテンポで繰り広げられる熱気溢れたセッションは、レコードフォーマットの時代でしか体験できない貴重なライブ感を持っています。

  • 『The Congregation』(1957年)
    グリフィンのリーダー作として知られ、彼の作曲センスとプレイヤーとしての実力がバランス良く発揮されているアルバム。

    • 「Jungle Greens」
    • 「I’ll Remember April」

    ブルーノートレーベルからのリリースで、ジャズの黄金期を象徴する作品です。

  • 『Way Out!』(1958年)
    躍動感あふれるテナーサックスが魅力のアルバム。ジョニー・グリフィンならではの切れ味が強調されています。

    • 「Wagon Wheels」
    • 「I Remember You」

ジョニー・グリフィンの技術と演奏スタイル

ジョニー・グリフィンは、驚異的なスピードと正確な音程感覚で知られています。小柄な体格ながら、強力で力強いトーンを出せる理由として、彼の高度な呼吸法とスタッカート奏法が挙げられます。

彼の演奏には、ブルースやゴスペルの要素もありつつ、バップの複雑さやクールな響きも併せ持つという独特のハイブリッドなスタイルが存在します。このことで、彼の演奏は単に速いだけでなく、感情深く聴き手の心に直接語りかけるものとなっています。

ジョニー・グリフィンのレコード収集の楽しみ方

ジョニー・グリフィンのレコードは、特に50年代から60年代にかけてのアナログ盤に良質な音源が残されており、ジャズレコード愛好家にとって必須のコレクションとなっています。その魅力は以下の点に集約されます。

  • 往年のアナログサウンドの質感
    グリフィンのサックスの息遣いやライブ感跡がCDやデジタル音源と異なり、よりナチュラルに感じられます。
  • ジャケットアートの魅力
    多くの彼のレコードは、ブルーノートやリヴァーサイドといった名門レーベルからリリースされたもので、印象的なジャケットもコレクターの心を掴みます。
  • オリジナルプレスとリイシューの違い
    オリジナルの1950~60年代のプレス盤は音圧や音色に独特の味があり、サウンド面でもコレクション価値が高いです。

まとめ

ジョニー・グリフィンは50年代から60年代のジャズ黄金期における代表的なテナーサックス奏者として、多くの名演をレコードに残しました。彼の代表曲である「Moment’s Notice」や「Jungle Greens」などは、その技術力の高さと音楽的な深みを体感できる名曲揃いです。

レコードコレクターにとって、グリフィンのアルバムは単にジャズの歴史を辿る上で重要な資料であると同時に、アナログの質感を楽しめる音楽アイテムとしても価値があります。これからジャズレコードに触れようとする方には、まずジョニー・グリフィンの代表作を探し、その豊かなサックスサウンドに触れていただきたいと思います。