アート・ブレイキーの名盤とレコード収集ガイド|Moanin’からライブ盤まで厳選紹介

アート・ブレイキーとは誰か?

アート・ブレイキー(Art Blakey)は、ジャズ界における最も重要なドラマーの一人であり、特に「ジャズ・メッセンジャーズ(Jazz Messengers)」のリーダーとして知られています。彼のドラミングスタイルは力強くダイナミックで、ビバップからハードバップへの進展に大きな影響を与えました。1940年代から1980年代にかけて活躍し、多数の名盤を残しています。

レコード時代の『アート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズ』

アート・ブレイキーのキャリアで最も重要とされるのは、ジャズ・メッセンジャーズというバンドのリーダーを務めた時代です。彼はこのバンドを通じて、新しい才能を発掘し、たくさんの名作をレコードに残しました。1960年代のアナログ・レコードは、当時の録音技術とアーティストの魂が詰まった貴重な音源として、今なお高い評価を受けています。

名盤紹介:『Moanin'(モーニン)』

1958年に発表された『Moanin'』は、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズの代表作です。ハードバップの名盤としてジャズ史に名を刻み、LPレコードとしてリリースされるや否や、多くのジャズファンの間で熱狂的に支持されました。

  • 特徴的なトラック: タイトル曲「Moanin'」は、ボビー・ティモンズの作曲によるキャッチーでブルージーなテーマが印象的です。力強いブレイキーのドラムとリー・モーガンのトランペット、ベニー・ゴルソンのサックスが絶妙なバランスで織り成されています。
  • レコード音質: オリジナル盤はブルーノート・レーベルから600シリーズ(BLP 1560)としてリリースされ、ウォルター・ウインターが収録されたこのLPは、モノラル録音の暖かみと音圧の強さが特徴です。アナログファンにとっては欠かせない一枚です。
  • メンバー: リー・モーガン(トランペット)、ベニー・ゴルソン(テナーサックス)、ボビー・ティモンズ(ピアノ)、ジェームズ・ベンソン(ベース)、アート・ブレイキー(ドラム)による黄金ラインナップ。

名盤紹介:『Free for All(フリー・フォー・オール)』

1964年にリリースされた『Free for All』は、ジャズ・メッセンジャーズの演奏力のピークを示すアルバムの一つです。コロムビア・レコードからのリリースですが、オリジナルのモノラルLPは収集価値が非常に高いです。

  • ハードバップの真髄: タイトル曲の「Free for All」は複雑でエネルギッシュなアレンジが特徴で、特に強烈なブレイキーのドラムソロは聴きどころの一つです。
  • メンバー: フレディ・ハバード(トランペット)、ウェイン・ショーター(テナーサックス)、ホレス・パーラン(ピアノ)、レイ・ブラウン(ベース)、アート・ブレイキー(ドラム)というラインナップ。
  • 当時のLP収集の価値: 1964年の初版モノラルLPは、特にアート・ブレイキーのファンやハードバップ・コレクターに重宝されており、ヴィンテージレコード市場でも高値で取引されています。

名盤紹介:『A Night in Tunisia(ナイト・イン・チュニジア)』

1957年に録音されたこの作品は、『Moanin'』と並んでブレイキーの代表作の一つとされています。ブルーノート・レーベルのLPとして出されたこのアルバムは、同年に惑星的に有名な曲「A Night in Tunisia」を収録しており、リスナーを魅了し続けています。

  • 名曲「A Night in Tunisia」: ディジー・ガレスピーの名曲をブレイキーがリーダーとして進化させた演奏が聴けます。特にホレス・シルバーのピアノとブレイキーの力強いリズムが融合しています。
  • 録音の質: ブルーノートの印象的なエンジニア、アルフレッド・ライオンの手による録音技術が高く評価され、オリジナル盤は音質が非常に良好です。
  • アナログ盤の魅力: このLPは、ジャケットのデザインも秀逸で、コレクターズアイテムとしても人気があります。オリジナルのモノラル盤は特にレアです。

ブレイキーのドラムが際立つライブ盤

アート・ブレイキーはライブ演奏でもその真骨頂を発揮しました。ステージ上のオーディエンスの熱気がそのまま伝わるアナログ録音は、当時のジャズクラブの臨場感を残しています。

  • 『Ugetsu』 (1963年): 日本で録音されたライブアルバムで、ブルーノートからのリリースです。特に和製ジャズファンには欠かせない名盤で、初版のアナログLPは大変貴重です。
  • 『In Walked Bud』 (1978年): 70年代のライブ録音であるものの、アナログ盤でのリリースがあり、ブレイキーの演奏技術が衰えることなく健在であることを実感できます。

アート・ブレイキーのレコード収集のポイント

アート・ブレイキーの音楽をレコードで楽しむ際には、以下の点に注意するとより良い音質と資料的価値が得られます。

  • レーベルとプレスの見極め: ブルーノートの初期プレス盤やコロムビアのモノラル盤は音質がよく、希少価値も高いです。盤の刻印や封入ジャケットの状態も必ず確認しましょう。
  • 盤面状態: ジャズのレコードは中古市場に多く出回っていますが、スクラッチやホコリによるノイズを避けるため、盤面が綺麗なものを選ぶのが重要です。
  • リリース年とバージョンの違い: モノラル盤とステレオ盤で音の雰囲気が異なるため、自分の好みのサウンドを探してみるのも面白いです。

まとめ

アート・ブレイキーは、ジャズ・ドラム界に革命を起こし、多くの後進ミュージシャンに影響を与えた偉大なアーティストです。彼の演奏を収録したレコード、特に1950~60年代のアナログLPは音質、歴史的価値ともに非常に高く、ジャズファンやレコードコレクターにとって宝物のような存在です。

今回挙げた『Moanin'』『Free for All』『A Night in Tunisia』は、彼の芸術性とバンドのダイナミズムが最大限に表現された名盤ばかり。これらをオリジナルのアナログ盤で聴くことで、彼のジャズが持つリアルな躍動感と温かみがより一層味わえます。ぜひアート・ブレイキーの世界をレコードで体験し、ジャズの奥深さに浸ってみてください。