ジュリアン・プリースターの名盤レコード徹底ガイド|オリジナル盤で味わうジャズトロンボーンの極上サウンド
ジュリアン・プリースターとは誰か?
ジュリアン・プリースター(Julian Priester)は、アメリカのジャズ・トロンボーン奏者であり、作曲家としても知られています。彼のキャリアは1950年代後半から現在に至るまで続いており、ハードバップ、モード・ジャズ、フリージャズ、さらにはフュージョンに至る幅広いスタイルで活躍しました。マイルス・デイヴィスやハービー・ハンコックとの共演をはじめ、ジョン・コルトレーン、サン・ラー、ソニー・ロリンズといったジャズ界の巨人たちと共に数多くの名演を残しています。
レコードに残されたジュリアン・プリースターの名盤
ここでは特にレコード、つまりアナログ盤で入手可能なジュリアン・プリースターの代表的な名盤を紹介し、その魅力や歴史的背景について解説します。特にジャズの名盤はアナログレコードで聴くことにこそ真価が発揮される場合が多く、多くのファンから熱烈に支持されています。
1. Keep Swingin' (1960, Riverside Records)
- 概要:ジュリアン・プリースター名義の初リーダーアルバムで、リバーサイド・レーベルからリリースされました。
- メンバー:ジュリアン・プリースター(トロンボーン)、ドナルド・バード(トランペット)、バリー・ハリス(ピアノ)、ベース:ベイリー・モリス、ドラムス:アル・フォスターなど。
- 特徴:ハードバップ色が強く、ブルージーなトーンとリズムが際立ちます。トロンボーンの暖かみとリズム隊の生き生きした演奏が特徴的。
- レコードの魅力:オリジナルのRiversideプレス盤は音の抜けが良く、温かみのある音でトロンボーンの豊かな表現が明瞭に伝わる逸品です。盤質が良ければ針の動きも滑らかで、プリースターのフレーズのニュアンスをダイレクトに体感できます。
2. Spiritsville (1960, Riverside Records)
- 概要:〈Keep Swingin’〉と同年にリリースされたセカンド・アルバム。リバーサイド・レーベルからの発表で、より複雑なアレンジや構成が聴きどころ。
- メンバー:プリースターのトロンボーンに加え、サム・ジョーンズ(ベース)、ジョー・ハリス(ドラム)など実力派揃い。
- 特徴:しっとりとしたバラードからアップテンポの曲までバラエティがあり、プリースターの多彩な表現力が発揮されている。モダンジャズの洗練さをダイナミックに感じさせる。」
- レコードの魅力:当時のオリジナル盤は深みのある低音と鮮明な中高域のバランスが非常に優れており、プリースターのトロンボーンの質感がリアルに再現されます。音質が良い一枚としてレコードファンの間で評価が高いです。
3. Love, Love (1973, ECM Records)
- 概要:プリースターが1970年代にリーダー作を発表し始めた頃の作品。ドイツの名門レーベルECMからリリースされ、ジャズフュージョンやエレクトリックサウンドを取り入れた現代的な作品。
- メンバー:ハービー・ハンコック(キーボード)、グレッグ・ベアード(ギター)、ビル・コリンズ(ベース)など新旧を融合した編成。
- 特徴:エレクトリックな音作りとプリースターのトロンボーンの暖かい音色が新たなジャズの地平を感じさせる作品。音響空間の深さ、浮遊感がECM特有の透明なサウンドで展開されています。
- レコードの魅力:ECMのオリジナル盤はプレスの質が高く、静けさの中に隅々まで細かいニュアンスが聴き取れる音質が自慢。プリースターの官能的なトロンボーンが丁寧に色付けられて聴こえます。
4. Worlds Fair (1989, ECM Records)
- 概要:1990年代を目前にした作品で、プリースターのキャリア晩年に近づく中、ECMならではのシネマティックなアプローチが特徴。
- メンバー:ロンドンの一流ジャズミュージシャンたちを迎え、多彩な管楽器と複雑なリズムが織りなすサウンド。
- 特徴:モーダルな作風と複雑なリズム感が印象的で、プリースターのトロンボーンはもはや単なるリード楽器を超え、空間を彩る「声」として機能しています。
- レコードの魅力:レコード盤に針を落とす瞬間の期待感、そして豊かな音場感はデジタル音源では味わえない贅沢な体験。オリジナルECMのアナログ盤は状態が良ければ、深い音響感とともにジャズの新たな味わいを発見できます。
ジュリアン・プリースターのレコード収集におけるポイント
彼の作品は多くがジャズの黄金時代やECMレーベルのクオリティを誇るものです。以下の点を意識すると、レコード収集がより充実したものになります。
- オリジナルプレスの価値:60年代のRiverside盤や70年代〜90年代のECM盤など、オリジナルは音質面でも制作面でも最も優れていることが多いです。可能な限りオリジナル盤を探しましょう。
- 盤質と保存状態の確認:アナログは経年劣化しやすく、スクラッチやノイズが音質に影響します。通販や中古店舗で購入する際は、視聴可能なら針飛びやノイズがないかチェックしましょう。
- ジャケットのアートワークも魅力:ジャズのレコードはジャケットデザインも文化遺産。プリースターの盤はシンプルながら洗練されたものが多く、コレクションの楽しみになります。
まとめ
ジュリアン・プリースターはジャズトロンボーンの名手として、様々な時代やスタイルを跨ぐ名演を数多くレコードに残してきました。特にアナログ盤で聴く彼のトロンボーンは、その音色の温かみと細かなニュアンスを余すことなく伝えるため、ジャズファンやレコード蒐集家から根強い支持を得ています。ここで紹介した『Keep Swingin'』『Spiritsville』といった初期のRiverside作品から、ECM時代の『Love, Love』『Worlds Fair』までを揃えれば、プリースターのキャリアとサウンドの変遷を美しい音質で堪能できるでしょう。ぜひ、レコード店や専門店でオリジナル盤を探し、アナログならではの体験を味わってみてください。


