デクスター・ゴードンの名盤アナログレコード徹底解説|ブルーノートの初版プレスとコレクターズアイテムガイド
デクスター・ゴードンとは
デクスター・ゴードン(Dexter Gordon, 1923-1990)は、アメリカのジャズ・テナーサックス奏者であり、その名前はビバップからハードバップ、そしてモダン・ジャズに至るまで長くジャズ界を牽引した重要な存在です。彼の太く暖かみのある独特の音色と、スウィング感あふれるフレージングは多くのミュージシャンから尊敬され、幅広い音楽ファンから愛されています。
特にアナログレコード愛好家の間では、デクスター・ゴードンのオリジナル盤や良質なプレス盤はコレクターズアイテムとして珍重されており、ジャズ・サックスの歴史を語る上で欠かせない名盤群が数多く存在します。ここでは、デクスター・ゴードンの代表的な名盤について、レコードの魅力を中心に解説していきます。
1. 『Doin' All Right』(Blue Note / BLP 4002)
1957年にリリースされたこのアルバムは、デクスター・ゴードンの初期のブルーノート作品として知られています。共演にはドナルド・バード(トランペット)、ホレス・シルバー(ピアノ)、ポール・チェンバース(ベース)、アル・ヘイグ(ドラム)など、ブルーノートを代表する豪華な顔ぶれが揃っています。
このアルバムのレコードは、JAZZファンの間で非常に人気が高く、特に1950年代後半の初版プレスは音質が素晴らしいことで知られています。ブルーノートの45回転33回転切り替え盤やモノラル盤など、プレスやマトリックス番号で希少価値も変わるためコレクターの間で熱い注目を浴びています。
レコードのポイント
- 黒地に青と白のロゴが際立つ「らしい」ブルーノート・ジャケット。特にオリジナルはペイパースリーブ付きで保存状態が価値を左右。
- 初期プレスは重量盤で、低域に深みがありサックスのアナログらしい温度感が楽しめる。
- モノラル盤とステレオ盤が存在し、モノラル盤はパンチの効いた力強いサウンドを好むマニアに人気。
2. 『Go!』(Blue Note / BLP 4005)
1959年に発表された『Go!』は、多くのジャズ評論家やファンから、デクスター・ゴードンの代表作として挙げられる作品です。この作品は彼のブルーノート在籍時代の絶頂期を象徴しており、アート・テイタムやジョン・コルトレーンなどと並ぶテナーサックスの重要作とされます。
『Go!』はクインシー・ジョーンズが監修し、有名なジャケットのアートワークも話題になりました。レコードは特にオリジナル盤が高価格で取引されており、クラシックなジャズレコードの中では特に入手困難な部類です。
レコード特有の魅力
- オリジナル・プレスはUSブルーノートのステレオとモノラルがあり、より厚手のヴィニールが使われている。
- プリントの状態やジャケットのカット(カットマークの有無)などで価値が大きく異なる。
- 収録曲「Cheese Cake」や「I Want More」のアナログ独特の温かみが130回転や45回転などの変則盤でも試されている。
3. 『Our Man in Paris』(Blue Note / BLP 4082)
1963年にリリースされたこのアルバムは、デクスター・ゴードンがフランス・パリで録音した作品です。フランス滞在中のセッションであり、アメリカのジャズメンがヨーロッパで演奏した歴史的な位置づけを持つ名盤です。共演はケニー・ドーハム(トランペット)、ネッド・ウェスト(トロンボーン)、ニールス・ペデルセン(ベース)、バリー・ハリス(ピアノ)、アル・ヘイグ(ドラム)といった顔ぶれ。
このアルバムのオリジナル盤は、アメリカ盤よりも限定的なプレスだったことから、レコードマニアにとっては希少価値の高い一品です。音質はその時代の録音技術の粋を集めたもので、バンドの豊かなダイナミクスが生々しく再現されています。
コレクター視点での特徴
- ヨーロッパプレスの独特のヴィニール質感とジャケットの質感。
- 初版にはモノラルとステレオ盤両方が存在し、モノラル初版は特に高値で取引。
- パリのスタジオ録音ならではの音響空間がレコードに刻まれている。
4. 『The Sweets to the Sweet』(Blue Note / BLP 1510)
1958年の録音で、魅力的なメロディと流麗な演奏が光る名作。ブルーノートの廉価シリーズとしてプレスされていたこともあり、状態の良い初版はレアでコレクターの物欲を刺激します。マニアックながら評価の高い作品で、あまり知られていないながらも音質の良さと演奏の質の高さで注目を集めています。
このアルバムはあまり市場に数が出回らず、掘り出し物として中古レコード店で見つけた際はチェックする価値があります。
デクスター・ゴードンのレコードを楽しむために
デクスター・ゴードンの名盤レコードは、単に収録曲の良さだけでなく、ヴィニール特有の暖かみや音の厚み、ジャケットのアートワーク、そして歴史的背景に至るまで多面的な魅力があります。特に1950~60年代のブルーノートプレスは、そのクオリティの高さから「ジャズの聖なる書」とも称され、数多くのジャズファンやコレクターに愛されています。
レコード再生時のアナログプレーヤーやカートリッジのセッティング、アンプとの相性まで考慮することで、デクスター・ゴードンの演奏の細部に至る生々しさが楽しめるのもアナログの醍醐味です。モノラル盤の持つ迫力や音圧感はデジタルでは味わいにくい魅力があり、オリジナル盤を手元に置く喜びは格別と言えます。
まとめ
今回紹介した名盤は、デクスター・ゴードンのキャリアの中でも特に評価が高く、ジャズレコードコレクターにとっても重要な作品群です。特にレコードとしての価値や楽しみ方を知ることで、その音楽性をより深く味わい尽くすことができます。
今後、デジタル配信やCDでは得られないアナログの世界に浸るために、これらの原盤を探してみるのも大いにおすすめです。ジャズ史の重要人物であるデクスター・ゴードンの息吹を、レコードの針を通じて感じてみてはいかがでしょうか。


