オリフィスとは?配管内の流量制御・測定・減圧に使われる基本部品を徹底解説


オリフィスとは

**オリフィス(Orifice)**とは、配管の途中に設置される、流体の流れを絞るための「小さな穴」を持つ部品のことです。
この「絞り」によって流体の流れを制限し、流量の調整・測定・減圧・機器の保護など、さまざまな目的で使用されます。

オリフィスは構造が非常にシンプルで、小さな孔径で大きな圧力損失を発生させることができるため、
空調設備・給排水設備・プラント配管・冷媒回路など、幅広い分野で用いられています。


オリフィスの主な役割と仕組み

1. 流量調整・制限

オリフィスは配管内を流れる流体の量を穴の大きさで調整する装置です。
孔径が小さいほど流量が少なく、大きいほど流量が多くなります。
弁(バルブ)のように可変制御はできませんが、安定した定常流量を維持したい場合に適しています。

2. 流量測定

オリフィスは、差圧式流量計の基本原理にも利用されています。
配管内にオリフィス板(オリフィスプレート)を設け、
その前後で生じる圧力差(差圧)を測定することで流量を算出します。
この方法は「オリフィス流量計」と呼ばれ、工場や空調設備で広く採用されています。

3. 減圧(圧力制御)

オリフィスを通過する際に流体は急激に速度を上げるため、**圧力が低下(圧力損失)**します。
この性質を利用して、冷媒配管の膨張弁やガス配管の減圧装置としても使われます。
特に冷凍機やエアコンの冷媒回路では、オリフィスチューブと呼ばれる小型部品がよく使用されています。

4. 機器の保護

ポンプや熱交換器などの機器を保護する目的でもオリフィスは使われます。
たとえば、ポンプが停止したときに過熱しないよう、
少量の水を常に逃がすための「逃がし配管」にオリフィスを設置し、
一定の流量を維持して機器を保護します。


オリフィスの種類

1. オリフィスプレート

最も一般的なタイプで、配管フランジの間に挟み込む円盤状の絞り板です。
中央に開けられた穴(オリフィス孔)を通して流量を制御します。
差圧計と組み合わせて使用することで、流量計測用オリフィスとしても機能します。

用途:流量測定、流量制限、配管設計時の固定絞り部として


2. オリフィスネジ

ネジの中央に貫通穴を設けた構造を持つオリフィスです。
配管に直接ねじ込んで使うことができ、絞り径を変えることで流量を調整します。
コンパクトで取り付けが簡単なため、小口径の配管や計装配管によく用いられます。

用途:冷媒配管、エア配管、油圧・計装機器の流量制御


3. オリフィス継手

継手(ジョイント)内部にオリフィス機能を組み込んだタイプです。
別途オリフィス板を設けず、配管接続と絞り機能を一体化できるため、施工性に優れます。
メンテナンス時にも交換が容易で、空調設備や水配管などの定流量制御に適しています。

用途:空調設備、給水系統、機器接続部の流量安定化


オリフィスの設計と選定のポイント

  1. 目的を明確にする
     流量制御・流量測定・減圧のいずれかで設計条件が異なるため、目的に合わせて選定します。
  2. 孔径(オリフィス径)の設定
     孔径は流量・圧力損失・流体粘度から算定します。
     適切な径を選ばないと、圧力損失が大きすぎたり、流量が不足したりする恐れがあります。
  3. 材質の選定
     流体の種類や温度に応じて、**ステンレス・真鍮・銅・PTFE(樹脂)**などを選びます。
     腐食性流体には耐食材、冷媒用途には熱膨張に強い材質が適しています。
  4. メンテナンス性の確保
     流路が細いため、ゴミやスケールによる詰まりが発生しやすい部品です。
     フィルターを併用し、点検・清掃が容易な位置に設置するのが理想です。

まとめ

オリフィスとは、配管内の流体を**「小さな穴」で絞って流量や圧力を制御するシンプルな装置**です。
その役割は、流量制限・流量測定・減圧・機器保護など多岐にわたり、
冷媒回路からプラント配管、建築設備まで幅広い分野で使用されています。

構造が単純で高い信頼性を持つ一方で、設計・選定を誤ると性能低下や詰まりの原因にもなります。
流量条件・圧力損失・流体特性を正確に把握し、最適なオリフィス径とタイプを選定することが重要です。