ジャズの名手ハンク・モブレー必聴!名盤4枚とアナログレコード収集ガイド
ハンク・モブレーとは?ジャズ界を彩るテナーサックスの名手
ハンク・モブレー(Hank Mobley)は1929年にアメリカで生まれ、そのサックス奏法はジャズ界で長く愛され続けています。特に1950年代から1960年代初頭のハードバップ期において、彼の作品は多くのファンに支持されました。波のようにスムーズでありながらも堅実なフレーズは、モブレー独自の“歌うような”テナーサックスのスタイルを確立しました。
ここではレコードを中心に、ハンク・モブレーの代表的名盤とその魅力を紐解いていきます。モブレーの作品はCDやサブスクで手軽に聴けるものも多いですが、特にオリジナルのアナログレコードにはその時代の空気感や温かみを感じられる魅力が詰まっています。
ハンク・モブレーの名盤紹介
1. 『Soul Station』(1960年、Blue Note)
「Soul Station」はハンク・モブレーのキャリアの中でも屈指の名盤として知られています。Blue Noteレーベルから1960年にリリースされたこのアルバムは、モブレー自身のコンポジションを中心に、リズムセクションとの完璧なアンサンブルが魅力です。
- メンバー: ヘヴィー・ヒッターのWynton Kelly(ピアノ)、Paul Chambers(ベース)、Art Blakey(ドラムス)という豪華メンバー
- 特徴: モブレーの語りかけるようなテナーサックスが暖かくもストレートに響き、ジャジーなスウィング感を体感できる
- レコードでのポイント: 1960年初版プレスは独特の厚みのあるアナログサウンドが特徴。オリジナルのBlue Noteマトリクス番号(例えばBLP 4030)が刻まれたプレスは特に価値が高い
この作品は、ハードバップのエッセンスが凝縮されており、モブレーのメロディアスな即興演奏が存分に楽しめる点で、ジャズの入門としても最適です。
2. 『Workout』(1961年、Blue Note)
「Workout」は1961年に録音・リリースされたアルバムで、よりソウルフルかつエネルギッシュなモブレーが聴ける作品です。全体的に骨太なハードバップ・サウンドが響き渡り、ジャズファンの間で高い評価を受けています。
- メンバー: グラント・グリーン(ギター)、ウィントン・ケリー(ピアノ)、ポール・チェンバース(ベース)、ビリー・ヒギンズ(ドラムス)
- レコード特性: 初版のクリアで重厚な音質はアナログならでは。Blue Noteのオリジナルジャケットと共にコレクター人気も高い。
このレコードはリズムの躍動感と共に、モブレーのバラードからアップテンポまでの幅広い表現力が光っています。レコードの溝に刻まれた音が生々しく、演奏者の息遣いやスタジオの雰囲気が感じられるのは、CDや配信では味わいづらい魅力です。
3. 『Hank Mobley Quartet』(1955年、Prestige)
モブレーの初期の傑作の一つに数えられるのが、この「Hank Mobley Quartet」です。Prestigeレーベルから1955年に発売されたこの作品は、彼のキャリアを代表するテナーサックスの切れ味とグルーヴ感が存分に発揮されています。
- メンバー: ウォルター・ビショップ(ピアノ)、ダグ・ワトキンス(ベース)、アル・フェイバー(ドラムス)
- レコードの特長: Prestigeのジャズレコードらしいモノラルサウンドで、ライブ感が強い。リヴィングルームやクラブで聴くのに最適な音質。
モブレーのソフトかつ鮮やかなトーンが、当時のジャズシーンに新たな地平を切り開いたことを実感できます。40年以上前のレコードでありながら、録音の鮮烈さは今なお色あせません。
4. 『Roll Call』(1960年、Blue Note)
「Roll Call」は、モブレーの地位を不動のものとしたもう一つのBlue Note作品で、サックス奏者としての円熟味を感じさせる傑作です。メンバーが豪華で、モダンジャズの醍醐味を堪能できるアルバムと言えます。
- メンバー: リー・モーガン(トランペット)、ウォルター・デイヴィス・Jr.(ピアノ)、ダグ・ワトキンス(ベース)、アート・テイラー(ドラムス)
- 初回プレスの特徴: Blue Note特有のマットなジャケットと鮮やかなカラーが魅力。音質は厚みがあり、モノラル盤は特に味わい深い。
このアルバムでは、モブレー自身が作曲したスリリングなナンバーや叙情的な曲が多数収録され、聴く者を飽きさせません。ジャズの黄金期を代表するレコードとして知られています。
ハンク・モブレーのレコード収集の魅力
ハンク・モブレーのレコードを収集するときのポイントは、オリジナルプレスのコンディションとプレス時期です。特にBlue NoteやPrestigeなどの名門レーベルから出たオリジナル盤は、現在ではヴィンテージジャズの貴重な資料と見なされ、音質も高く評価されています。
- アナログならではの音の温かみ: モブレーのサックスの柔らかくも存在感のある音色は、アナログ盤の厚みのあるサウンドと相性が抜群です。ライブ感や空気感という点で、ハイレゾやCDよりもずっとリアルに感じられます。
- ジャケットの魅力: Blue Noteのオリジナルは特にジャケットデザインが美しく、ジャズレコードアートの代名詞ともいえます。状態の良いジャケットはコレクションの価値を一層高めます。
- マトリクス番号の確認: レコードのラベル近くにあるマトリクス番号はプレス初版やリイシューを見極める重要な手がかりです。これをチェックすることで希少なオリジナル盤を探し当てやすくなります。
まとめ:モブレーの名盤はレコードでこそ輝く
ハンク・モブレーの作品は数多くありますが、彼の真髄に触れるためにはレコードで聴くことが最もおすすめです。特に「Soul Station」「Workout」「Hank Mobley Quartet」「Roll Call」といった作品は、オリジナルプレスのアナログ盤で聴くと、当時の演奏の息遣い、スタジオの空気、ミュージシャンの呼吸が鮮烈に伝わってきます。
ジャズが持つ生き生きとした躍動感や人間味を体感できるのは、まさにアナログレコードならでは。現在のハンク・モブレーの評価の高さは、こうした音源の質の高さと演奏者としての信頼性の高さが支えています。これからジャズレコードを収集しようという方や、モブレーの世界に入門したい方には、ぜひレコードショップで名盤のオリジナル盤を手に取り、その音を確かめていただきたいと思います。


