ポール・デスモンドの名盤完全ガイド|おすすめジャズレコード&コレクションの選び方
ポール・デスモンドの名盤を紐解く
ジャズ・サックスの名手、ポール・デスモンド(Paul Desmond)は、その透明感のあるアルトサックスの音色で多くのファンを魅了してきました。特にビル・エヴァンス・トリオと共演した名盤群や、彼自身がリーダーを務めた作品群は、レコードコレクターの間でも非常に高い評価を受けています。本稿では、ポール・デスモンドのレコードにフォーカスを当て、その中でも特におすすめの名盤を解説していきます。レコード特有の音の温かみやジャケットの魅力も併せてお伝えし、購入の際の参考としていただければ幸いです。
ポール・デスモンドとは?その音楽的背景
ポール・デスモンド(1924年~1977年)は、カナダ生まれのアルトサックス奏者で、モダンジャズ界において「クール・ジャズ」の一翼を担いました。彼の音色は、リリカルでありながらもどこか知的で洗練されているのが特徴です。1950年代から1970年代にかけて、特に「デイヴ・ブルーベック・カルテット」のメンバーとして名を馳せ、代表曲「テイク・ファイヴ(Take Five)」はジャズ・スタンダードとして不動の地位を築いています。
さらにデスモンドはリーダー作も多く残しており、彼独特のメロディックでクールなセンスが生きた作品は、ジャズレコードの黄金期を象徴するものとなっています。
おすすめ名盤1:“Take Ten” (1963)
概要:ポール・デスモンドがリーダーを務めた名盤『Take Ten』は、RCA Victorから1963年にリリースされました。スタジオ録音ながらもライブ感溢れる演奏が特徴です。メンバーはジム・ホール(ギター)、ユージン・ライト(ベース)、ジョー・モレロ(ドラムス)というトリオ編成で、センスの良さが光る爽やかなサウンドを生み出しています。
レコードの魅力:オリジナル盤はRCA Victorの赤青レーベルでリリースされ、ジャケットも美しい印刷でコレクターからの評価が高いです。盤面の状態が良ければ、アルトサックスの独特な空気感やジム・ホールのギターの細やかなニュアンスを感じ取れます。マスタリングも当時の技術を活かしたアナログらしい温かみのある音質で、デスモンドのフレーズの一音一音が生々しく体感できます。
- おすすめ曲:タイトル曲「Take Ten」
- 購入のポイント:RCA Victorの赤青レーベル(通称「赤青ラベル」)の初期盤を狙うのがおすすめ。盤面の状態は必ず確認しましょう。
おすすめ名盤2:“Desmond Blue” (1961)
概要:『Desmond Blue』は、CTIレーベルの創設者でもあるクリード・テイラーのプロデュースにより、コロンビアから1961年にリリースされました。これはデスモンドが新しい音の世界にチャレンジした意欲作であり、弦楽オーケストラをバックにしたバラード中心の落ち着いた作品です。
レコードの魅力:このアルバムのオリジナルレコードは、コロンビアの通称「LP青ロゴ」レーベルで発売されており、その重量感のある盤質と厚手のジャケットが特徴です。録音はモノラルとステレオ両方存在しますが、特にモノラル盤はレアで評価が高いです。弦との重なりに対して、デスモンドのアルトサックスの繊細なタッチが映えるため、アナログの良さを堪能できます。
- おすすめ曲:「Night and Day」「Romance de Amor」
- 購入のポイント:モノラル盤が希少。ジャケットの状態もアートワークを楽しむために重要。
おすすめ名盤3:“Take Five and Other Great Jazz” (1959)
概要:ポール・デスモンドを語るうえで外せないのが、彼が所属したデイヴ・ブルーベック・カルテットのアルバムです。その中でも代表作『Time Out』からのヒット曲「Take Five」を中心にした編集盤『Take Five and Other Great Jazz』は、彼の最も有名なサウンドを楽しめる入門盤として人気を博しています。
レコードの魅力:この盤は、オリジナルの「Columbia Jazz Masterpieces」シリーズではなく、初期のColumbiaレーベルからリリースされたものを探す価値があります。とくにモノラル国内盤はジャケットデザインが異なり、コレクターズアイテムになっています。アナログの響きにより、特にポールの冷静でメロディアスなアルトが鮮明に浮かび上がるため、ジャズ・アルトサックスの金字塔ともいえる音色を堪能できます。
- おすすめ曲:「Take Five」「Blue Rondo à la Turk」
- 購入のポイント:オリジナルのコロンビアレーベルで、ノイズの少ない良盤を選ぶこと。国内盤ジャケットにも注目。
ポール・デスモンドのレコード収集のコツ
ポール・デスモンドのレコードを集める際に注意したいポイントはいくつかあります。まず、年代によって音質やジャケットの仕様が異なるため、自分が求める「音」と「外観」を明確にしておくことです。特にオリジナル盤は状態が重要で、細かなキズや warping(反り)が再生音に影響を与えることがあります。
次に、マトリクスナンバーやレーベル印刷の違いから盤のプレス時期や版を見分けられる知識があると、より良質な盤を入手しやすくなります。日本盤では海外盤と比較して音質やプレスクオリティが異なる場合もあり、コレクションの幅が広がるでしょう。
そして重要なのは、レコードショップやジャズフェア、オークションなどでの情報収集と交渉です。スタッフやコレクターとの交流で、未発見の掘り出し物情報を得られることも多いです。
最後に
ポール・デスモンドのアルトサックスは、ジャズにおける「クール」の代名詞として、今なお多くのリスナーに愛されています。彼の音楽をオリジナルのレコードで聴くことは、その時間と空間の空気感を肌で感じられる貴重な体験です。今回ご紹介した名盤をきっかけに、ぜひアナログの奥深い世界へ足を踏み入れてみてください。静謐で洗練された彼の音色は、きっとあなたのジャズライブラリーに欠かせない宝物となるでしょう。
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