ジャズ巨匠ラリー・バンカーの名盤レコード徹底解説|ビル・エヴァンスやマイルスと共演した名ドラマーの魅力とは
ラリー・バンカーとは?ジャズドラマーの巨匠
ラリー・バンカー(Larry Bunker、1928年10月5日 - 2005年4月9日)は、アメリカのジャズドラマー、パーカッショニストとして知られるミュージシャンです。その多才な演奏スタイルと繊細な感性により、1960年代から1970年代のモダンジャズ界で非常に重要な存在でした。特にクールジャズやモダンジャズの分野で多くの名盤に参加し、レコーディングやライブでその技術と表現力を発揮しています。多くの著名アーティストのアルバムに客演しつつ、自身のリーダー作も残していますが、レコードで聴くその音質と温かみは今もファンの間で高く評価されています。
ラリー・バンカーの名盤をレコード中心に解説
ここでは、ラリー・バンカーが参加した作品の中でも特に名盤とされるものを中心に紹介します。レコードで入手可能なオリジナル盤や良質な再発盤を主に取り上げ、ジャズ愛好家がレコードで探す際の参考となるよう解説を行います。
1.Bill Evans Trio - 「Moon Beams」(1962年、Riverside Records)
ピアニスト、ビル・エヴァンスのトリオ作で、ラリー・バンカーがドラムを担当した作品のひとつ。Bill Evans Trioのアルバムは総じて人気が高く、特に「Moon Beams」は繊細で叙情的なピアノトリオサウンドが堪能できる名盤です。バンカーのドラムは非常に控えめながら、曲のリズムに絶妙な推進力を与えています。
- レーベル: Riverside Records
- リリース年: 1962年
- フォーマット: 12インチLP、モノラルおよびステレオ盤
- おすすめポイント: バンカーのブラシワークが光る美しいトリオ演奏。ジャケットも典型的なビル・エヴァンスの抒情的な雰囲気を纏っており、コレクターに人気。
2.Stan Getz - 「Sweet Rain」(1967年、Verve Records)
サックス奏者スタン・ゲッツのこの名盤は、多くのジャズファンが愛する作品ですが、バンカーはここでドラムではなくパーカッションを担当しています。モーダルジャズの美学に忠実なこの作品に、彼の微妙なパーカッションが深みを与えています。レコードでの音質も極めて良好で、オリジナルのVerve盤は特に評価が高いです。
- レーベル: Verve Records
- リリース年: 1967年
- フォーマット: 12インチLP、ステレオ盤
- おすすめポイント: モダンジャズにおける洗練された演奏とバンカーの繊細なパーカッションが融合。ジャケットデザインも美しく、ジャズレコードコレクターの間で人気。
3.Bill Evans - 「Interplay」(1962年、Riverside Records)
ラリー・バンカーがドラムをつとめたビル・エヴァンスのセッションのひとつで、ピアノトリオに加えフルートやギターも参加するアンサンブル作品。バンカーは叙情的かつリズミカルなブラシやスティックワークで、静かながらドラマティックな表現を実現しています。Riversideのオリジナル盤はジャズファンにとって値も上がりつつあるため、レコードでの入手はチャレンジングですが必聴の逸品です。
- レーベル: Riverside Records
- リリース年: 1962年
- フォーマット: 12インチLP、ステレオ、モノラル版あり
- おすすめポイント: バンカーの緻密なドラムワークがビル・エヴァンスの世界観を一層深める。オリジナル盤の状態が良いものは音質も素晴らしい。
4.Miles Davis - 「Seven Steps to Heaven」(1963年、Columbia Records)
このアルバムにもバンカーはドラマーとして録音に参加していますが、同時にアントニオ・ハートやトニー・ウィリアムスと共にドラムパートを分担。が、バンカーの繊細かつ抑制の効いたプレイが全体のグルーヴ感を支えており、マイルスのミュージックに独特の陰影を与えています。コロンビアのステレオオリジナル盤は特に音質がダイナミックかつクリアなので、レコード愛好家には必携盤とされています。
- レーベル: Columbia Records
- リリース年: 1963年
- フォーマット: 12インチLP、ステレオ盤
- おすすめポイント: ジャズの巨匠マイルス・デイヴィスがバンカーの柔和なグルーヴ感を引き出している。コロンビア盤の音質が際立つため、レコードで聴く価値大。
レコードで聴くラリー・バンカーの魅力
ラリー・バンカーの演奏は、密やかで繊細な表現力が特徴で、それはアナログレコードの温かみのある音質と非常に相性がよいです。レコードの自然な響きは、彼が叩くブラシの柔らかさやスネアのタッチ、ライドシンバルの微妙なニュアンスを豊かに伝えます。デジタル音源よりも陰影が深く、細部のニュアンスに耳を澄ませやすいため、バンカーの繊細なプレイを満喫するにはレコードで聴くのが最良の方法と言えるでしょう。
レコードコレクターに向けたポイント
- オリジナル盤LPは音質が最も良いが、流通量は少なく価格が高騰していることも多い。
- リイシュー盤も多数あるが、マトリクス番号やプレス国を確認して質の高いものを選ぶのが大切。
- ジャケットのコンディションにも気を配り、できればインナーや帯も揃った良品を探すと価値が高まる。
- 国内盤や初回盤などの仕様差に注目し、コレクションの深みを増すことができる。
まとめ
ラリー・バンカーは、その繊細で多彩なドラミングによりジャズ界に多大な影響を与えた名ドラマーです。ビル・エヴァンス、スタン・ゲッツ、マイルス・デイヴィスなど、錚々たるミュージシャンの名盤に参加し、作品ごとに異なる魅力を生み出しました。ジャズのアナログレコードでその音を楽しむことで、彼の高度な演奏技術や感性を鮮明に感じることができます。これらの名盤を、ぜひ良質なレコードで手に入れて、ラリー・バンカーのドラミングの真髄を体験してみてください。


