The Who代表曲徹底解説|レコードで聴くロック史に輝く名曲5選とコレクター必見ポイント
The Whoの代表曲解説:ロック史を彩る伝説の名曲たち
イギリスのロックバンド、The Who(ザ・フー)は1960年代から70年代にかけて、「ロックの四天王」の一角を占め、数多くの名曲を世に送り出しました。特にアナログレコード時代にリリースされた作品は、音質やジャケットデザインも含めて、その時代の音楽文化を象徴する存在となっています。本稿では、The Whoの代表曲にスポットを当て、それぞれの特徴や背景、そしてレコード好きに向けたリリース形態のポイントなどを詳しく解説します。
1. 「My Generation」(1965年)
The Whoの記念すべきデビューシングルであり、彼らの精神を体現するアンセムとも言える曲です。タイトル通り「自分たちの世代」をテーマに、若者の反骨精神とエネルギーを爆発させた疾走感あふれる一曲。特に、「Why don't you all fade away?」というシャウトはロック史に残る名場面です。
- レコード情報:1965年に「Columbia Records」からリリースされ、当時のUKオリジナル7インチシングル盤はブルーヴィニール仕様も存在。
- 特徴:原始的なパワフルなギターリフ、ピート・タウンゼントの特徴的なギタースタイルと、ジョン・エントウィッスルの力強いベースラインが光る。
- コレクター向けポイント:ファーストプレスはジャケットのデザインが初々しく、たいへん貴重。ノイズもしっかり残るがかえって当時のライブ感を生々しく伝える。
この曲は後のパンクやハードロックの先駆けとも言われ、当時の若者たちの支持を一気に集めました。レコードの「A面」として収録され、B面には「Land of Hope and Glory」が収録されていますが、この曲もThe Whoの初期のエネルギーを反映しています。
2. 「Substitute」(1966年)
2枚目のシングルとしてリリースされた「Substitute」は、「My Generation」の成功に続く作品として期待されましたが、内容的にも進化を感じさせる一曲です。ピート・タウンゼントの鋭い社会観察が表現されており、強烈なリズムセクションとキャッチーなメロディが絶妙にバランスしています。
- レコード情報:オリジナルはUKの「Reaction Records」からリリース。初期プレスには透明度の高いビニールを使用したものもある。
- 特徴:歌詞にはアイデンティティの模索や社会的なテーマが込められているため、単なるロックンロールの枠を超えた深みがある。
- コレクター向けポイント:シングルジャケットは非常にシンプルだが、初期盤はレア度が高い。盤面に刻印されたサブコードをチェックすると本物のファーストプレスか判別可能。
「Substitute」はThe Whoのサウンドが確立されつつある過程を示しており、現在でもライブでの定番曲となっています。音の細部まで味わいたいなら、アナログオリジナル盤の聴き比べは必須です。
3. 「Pinball Wizard」(1969年)
アルバム『Tommy』(邦題:「トミー〜ロック・オペラ」)に収録された代表曲で、ロックオペラという新境地を切り拓いた作品です。「ピンボールの名手」という主人公の姿を描写しながら、ギターリフやピアノの音色が劇的に重なり合うドラマチックな展開が特徴です。
- レコード情報:オリジナルは1969年のアルバム『Tommy』に収録され、初版LPは「Decca Records」からリリース。日本盤は美麗な歌詞対訳付きジャケットで人気。
- 特徴:エレクトリックギターだけでなく、ピアノやオルガンを豊富に用いた構成が斬新。ロックのストーリーテリングの可能性を示した。
- コレクター向けポイント:英国盤初回プレスのマトリクス番号は保存状態によって価格に大きな差が出る。ジャケットの歌詞カード付属版は特に価値が高い。
「Pinball Wizard」はThe Whoのライブでも欠かせないクライマックス曲であり、レコード盤で繰り返し聴くことでそのストーリーと音響の奥深さをより実感できます。アナログならではの暖かい音色が劇場的な世界観を高めています。
4. 「Baba O'Riley」(1971年)
『Who's Next』アルバムの冒頭を飾る名曲。「Teenage Wasteland」というフレーズで知られ、多くのロックファンの心を捉えています。シンセサイザーのリフがイントロから強烈に耳を引きつけ、次第にバンドサウンドが重なっていく構成は斬新かつ壮大です。
- レコード情報:1971年リリースの『Who's Next』LPは「Track Records」から発売。UK初版はゲートフォールドジャケットで、歌詞や写真が豊富に掲載されている。
- 特徴:シンセサイザーのアルゴリズムによる反復フレーズが曲全体の骨格を形成。歌詞は若者の孤独や未来への不安を象徴。
- コレクター向けポイント:ゲートフォールドジャケットの状態が評価の分かれ目。裏面には当時の写真やインフォメーションが詳細に記載されているので、保存・展示用としても人気が高い。
「Baba O'Riley」は、アナログならではのダイナミックレンジの広さを活かし、イントロのシンセとギターのコントラストを楽しむことで、デジタルでは味わいにくい音の立体感を体験できます。ロック史に残る名曲の1つであり、レコードでの聴取は必須です。
5. 「Won't Get Fooled Again」(1971年)
同じく『Who's Next』収録の超大作。約8分に及ぶ曲構成は、複雑なギターリフ、オルガンソロ、力強いヴォーカルが織り成す圧巻の一編で、政治的なテーマをも込めつつThe Whoの音楽的野心を具現化しました。
- レコード情報:「Who's Next」LPの一部曲であるが、1971年にシングルカットもされた(特にアメリカ盤シングルは人気が高い)。UK盤シングルは稀少。
- 特徴:オルガンのフィル・スペクター的なサウンドと「電気的叫び」と呼ばれるギターのフィードバックがトレードマーク。
- コレクター向けポイント:原盤の厚紙ジャケット仕様が珍重される。盤面の状態とジャケットの保存度によって評価が大きく異なるため、慎重に収集すべき。
この曲はライブの最後に演奏されることが多く、LPで通して聴く時にその壮大さが最大限に発揮されます。レコードならではの音の厚みで、複雑な音風景がより迫力を持って伝わるでしょう。
まとめ:The Whoのレコードサウンドに浸る
The Whoの代表曲は、それぞれが単なるロックソングを超え、時代の空気や若者の感情を強烈に反映しています。デジタル配信やCD再発も便利ですが、彼らが活躍した1960年代から70年代のオリジナルレコードは音質やジャケットアート、収録のマトリクス番号などに独特の魅力があり、当時の音楽体験がリアルに蘇ります。
特に、「My Generation」や「Pinball Wizard」、「Baba O'Riley」のLPはコレクター市場でも高い評価を受けており、プレミア価格もついています。アナログ盤ならではの深みやノスタルジアが感じられ、ファンならずとも一度は手に取りたい名盤揃いです。
The Whoの代表曲をレコードで聴くことで、当時のロックがどれほど革新的でエモーショナルだったかを再発見できるでしょう。歴史的な価値を持つこれらの作品群は、ロック音楽の黄金時代を象徴する宝物といえます。


