ミレッラ・フレーニの名盤LP完全ガイド|ヴェルディからプッチーニまで聴くべき代表作とレコード収集の極意
ミレッラ・フレーニとは
ミレッラ・フレーニ(Mirella Freni, 1935年2月27日 - 2020年2月9日)は、イタリアを代表するリリカル・ソプラノ歌手として世界中のオペラファンに愛されました。繊細で透明感のある美しい声を持ち、特にヴェルディやプッチーニの作品において、卓越した表現力と高い技術を融合させた名唱で知られています。フレーニは1950年代から活躍し、オペラの黄金期を彩った重要な歌手の一人として、数々の録音とステージでスリリングな演技を残しました。
レコードの時代におけるミレッラ・フレーニの価値
ミレッラ・フレーニの全盛期はまさにLPレコードがオペラ音楽の普及に大きな役割を果たした時代です。CDやサブスクリプション・サービスではなく、アナログレコードで彼女の名演を手に入れることは、オペラ愛好家にとって格別な体験となります。レコードの温かみのある音質は、フレーニの声の繊細なニュアンスを余すところなく伝えてくれるからです。
フレーニが出演した数多くの名盤は、特にEMIやDecca、DG(ドイツ・グラモフォン)などの名門レーベルからリリースされ、現在でもヴィンテージ市場で高い人気を誇っています。これらのレコードは、指揮者や共演者との相性も抜群で、単なる歌手の録音でなく、一つの芸術作品としての完成度を示しています。
ミレッラ・フレーニの代表的名曲とレコード紹介
ヴェルディ「リゴレット」〜ジルダ役
ミレッラ・フレーニはジルダ役において、その純粋さと哀しみを同時に歌い上げた名唱で知られています。特に1960年代後半から1970年代にかけてEMIレーベルに残した録音は、一つの到達点と言えます。指揮はジョン・バルビローリやクラウディオ・アバドなど一流どころが務め、フレーニのクリスタルのような高音と繊細な表現力が際立ちます。
- EMI 7243 5 27802 1 7(LP時代の原盤はEMIレコード コード数が違います)
- ジョン・バルビローリ指揮ロンドン交響楽団との録音
- アリア「私が街を歩くと」など、ジルダの純真さを活写したトラックが有名
プッチーニ「蝶々夫人」〜蝶々夫人役
フレーニは「蝶々夫人」でも特筆すべき功績を残しています。蝶々夫人の複雑な心象を繊細かつ情熱的に描写できる存在は稀有であり、彼女の録音はドイツ・グラモフォン(DG)からリリースされています。特にカルロ・ベルゴンツィとの共演レコードは、ヨーロッパ全土で高い評価を受け、アナログレコードとしてコレクターからも根強く支持されています。
- DG 2740 306(オリジナルLP)
- カルロ・ベルゴンツィ(ピンカートン)との共演
- 指揮はヴァイリ・フリムル
ドニゼッティ「ラ・フィラデルフィアーナ」〜エルヴィーラ役
あまり知られていませんが、フレーニはドニゼッティの「ラ・フィラデルフィアーナ」でも素晴らしい歌唱を披露しています。この録音はEMIが1970年代に制作し、当時のレコード愛好家から注目を集めました。軽やかで愛らしいその声は、ドニゼッティの軽妙なメロディに見事にマッチしています。
ミレッラ・フレーニのレコード収集の楽しみ方
フレーニのレコードを収集する際には、以下のポイントを押さえるとより深く楽しめます。
- オリジナル盤の価値:特に1950~70年代の初版LPは音質が良く、ジャケットのデザインも当時の雰囲気を色濃く反映しています。
- 録音エンジニアの腕:EMIの録音技術は世界的に高く評価されているため、フレーニの声を最も美しく録音したLPは非常に貴重です。
- 共演者にも注目:ミレッラ・フレーニは名指揮者や著名歌手との録音が多く、例えばルチアーノ・パヴァロッティやジュゼッペ・ディ・ステファノとの共演盤は特に人気があります。
ミレッラ・フレーニの名盤レコード:おすすめリスト
- ヴェルディ「リゴレット」EMI盤(ジョン・バルビローリ指揮) — ジルダの透明感ある歌声とオーケストラの巧みな調和を味わえます。
- プッチーニ「ラ・ボエーム」EMI盤(カルロ・マリア・ジュリーニ指揮) — ミミ役のフレーニの表現力が絶品で、青春の儚さを歌い上げています。
- プッチーニ「蝶々夫人」DG盤(ヴァイリ・フリムル指揮) — 心の葛藤と繊細な感情を音に乗せた名録音。
- ヴェルディ「椿姫」EMI盤(クラウディオ・アバド指揮) — ヴィオレッタ役としての多彩な表情を楽しめる貴重なLP。
おわりに
ミレッラ・フレーニの歌声は、単なる録音技術の進歩やデジタル化だけでは味わえない、温かみと生々しい感情の伝達力を持っています。アナログレコードで聴くことにより、彼女が舞台で表現した息遣いや歌詞の一つ一つに込めた思いが鮮明に蘇ります。古くからのオペラ愛好家、そしてこれからミレッラ・フレーニの世界に触れたい人にとっても、彼女の名盤LPは必聴の宝物です。
伝統的なレコード収集を通じて、ミレッラ・フレーニの一瞬一瞬の名唱に耳を傾け、その豊かな芸術性をじっくりと味わってみてはいかがでしょうか。


