配管工事の基本部材を理解しよう!ガスケットの役割と種類・選定ポイント
ガスケットとは
ガスケットとは、**配管や機器の接合部に取り付けて流体の漏れを防ぐための密封材(シール材)**のことです。
建築・土木の分野では、給水・排水設備、空調配管、ガス配管、さらにはポンプやバルブの接続部分など、あらゆる箇所で使用されています。
ガスケットは、金属同士の接触面の微細な凹凸を埋めて、流体(液体・気体)の漏れや圧力損失を防ぐという重要な役割を果たします。
配管フランジの間に挟み込んでボルトで締め付けることで、適切な密閉状態が保たれます。
ガスケットの基本構造と仕組み
フランジ接続では、以下のような構造でガスケットが使用されます。
- フランジ面:配管や機器の端部にある平面状の接合面
- ガスケット:密封のために挟み込むシート状の材料
- ボルト・ナット:フランジ同士を均一に締め付けるための固定具
ボルトで締め付けることで、ガスケットが弾性変形し、凹凸を埋めて密着します。
このときの締付トルクが適切でないと、漏れや破損の原因になるため注意が必要です。
ガスケットの主な種類
用途や環境条件に応じて、さまざまな種類のガスケットが使い分けられます。
代表的なものを以下に紹介します。
1. 非金属ガスケット(ソフトガスケット)
ゴム、繊維、樹脂などの柔軟な素材で作られています。
- 素材例:NR(天然ゴム)、NBR(ニトリルゴム)、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、PTFE(テフロン)など
- 用途:水道配管、排水配管、空調設備など低圧用途に最適
- 特徴:取り扱いやすく、コストも低い
2. 金属ガスケット
ステンレス、銅、アルミなどの金属で作られた耐圧性の高いタイプです。
- 用途:高温・高圧の配管や蒸気ライン、プラント設備など
- 特徴:高い密封性と耐久性を持ち、腐食や熱変化にも強い
3. 複合ガスケット(メタルジャケット、スパイラルワウンドなど)
金属と非金属を組み合わせて、柔軟性と耐圧性を両立した構造。
- 用途:化学プラント、ボイラー、圧力容器など
- 特徴:高温高圧でも長期的に安定したシール性能を維持
ガスケットの選定ポイント
ガスケットを選ぶ際は、以下の条件を総合的に判断します。
- 流体の種類(水・蒸気・油・ガスなど)
- 温度・圧力条件(高温高圧では金属系が有利)
- 設置環境(屋外・薬品・塩害地域など)
- フランジ規格(JIS・ANSI・DINなど)
- 保守性・交換の容易さ
特に、水道工事や空調配管ではJIS 10Kフランジなどが多く採用されており、対応するゴムガスケットが標準的に使用されます。
ガスケットの取り扱い上の注意点
- 締付トルクの管理
過剰に締め付けるとガスケットが破損し、かえって漏れの原因になります。 - 再使用は避ける
一度圧縮されたガスケットは弾性が低下するため、再利用は基本的にNGです。 - 表面の傷や異物を除去する
フランジ面のサビやゴミは密閉性を損なうため、取り付け前に清掃を行いましょう。 - 均等に締め付ける
対角線上に少しずつ締める「対角締め」で、圧力を均一にかけます。
建築・土木分野での使用例
建築・土木現場では、次のような箇所にガスケットが多く使われます。
- 給水・排水ポンプのフランジ接続部
- 消火配管・スプリンクラー設備の接続部
- 地中埋設管(鋳鉄管・塩ビ管など)の継手部
- 揚水ポンプ・ブロワーなどの機械接続部
- ボルト締め式伸縮継手のシール部
これらはいずれも、漏水・漏気防止が求められる重要箇所であり、適切なガスケットの選定と取り付けが安全施工の鍵になります。
まとめ
ガスケットは、見えない部分で現場の安全と品質を支えている縁の下の力持ちです。
素材や形状を正しく選び、施工時の管理を徹底することで、長期的な信頼性が確保できます。
日々の点検・交換も怠らず、常に最適な状態を維持することが、トラブルのない配管システムを作る第一歩です。


