フェアポート・コンベンション名盤解説|英国フォークロックの歴史とオリジナルレコードの魅力
フェアポート・コンベンションの名盤について:英国フォークロックの金字塔を紐解く
1967年に結成された英国のフォークロックバンド、フェアポート・コンベンション(Fairport Convention)は、伝統的な英国民俗音楽とロックを融合させることで、以降のフォークロックシーンを大きく変革させました。彼らの名盤はレコードとしてリリースされ、それぞれが時代の空気感やバンドの進化を反映しており、今でもヴィンテージ・レコードとしてコレクターズアイテムとして人気があります。
フェアポート・コンベンションの歴史的背景
フェアポート・コンベンションはロンドン出身のメンバーたちによって結成されました。1960年代はイギリスを中心にフォーク音楽への関心が急速に高まり、西洋の伝統音楽や詩的なリリックが見直される時代でした。初期はボブ・ディランやバート・ヤンシュなどからのカバーが中心でしたが、じきにバンド独自のアイデンティティが確立されていきます。
特に1969年にリリースされた4枚目のアルバム『Liege & Lief』は、フォークロック、特に英国フォークロックの名盤として今なお高く評価されています。彼らはこの時期、エレクトリックを導入しつつも古来のアイルランド民謡やイングランド古謡を積極的に演奏。ロック史に残る名作を数多く生み出しました。
フェアポート・コンベンションの代表作とレコード盤の特徴
1. Fairport Convention (1968)
フェアポート・コンベンションのデビューアルバム、『Fairport Convention』は、1968年にリリースされました。プロデューサーに経歴豊かなエイドリアン・シャーウッドが名を連ね、まだフォーク要素が強いパブロックに近い彼らの姿が記録されています。
- ジャケットはシンプルながらもクラシカルなポートレート写真。
- レコードはオリジナル英国盤が最も評価が高く、エレクトリックギターとバイオリンの融合初期形態が味わえる。
- 当時の仕様でありながら音圧は高めで、1960年代後半のアナログレコードらしい暖かな音質を堪能できる。
2. What We Did on Our Holidays (1969)
セカンドアルバム『What We Did on Our Holidays』は、徐々にバンドのフォーク色が強まってきた作品です。リチャード・トンプソンのソングライティングとギターが随所で光ります。
- アナログ盤はカラフルな写真入りスリーブで、当時のサイケデリックな空気感も伝わる。
- オリジナル英国盤は重量盤で、ビニールの質も高い。
- 収録曲『Meet on the Ledge』はバンドの代表曲となり、ライブでも頻繁に演奏される。
3. Liege & Lief (1969)
フェアポート・コンベンションの最高傑作として名高い『Liege & Lief』は、多くのフォーク・ロックファンにとって「必携のレコード」とされています。
- 伝説的な英国フォークロックの名作で、伝承曲をアレンジしつつ先鋭的なエレクトリックサウンドを融合。
- オリジナルアナログLPはマトリクス番号が異なるバージョンが複数あり、マニアの間で収集対象に。
- ジャケットは中世騎士のイラストで、当時の英国民俗文化へのリスペクトが伺える。
- コレクターにとってはオリジナル英国リリースのレコードは高値で取引されており、その音質はベストの一つと評される。
4. Full House (1970)
『Full House』はバンドの伝統音楽色が深まった作品ですが、リチャード・トンプソンの切れ味鋭いギターが全編で目立ちます。彼のギタースタイルは後の多くのフォークやロックギタリストへ影響を与えました。
- アナログレコードは当時の規格に忠実で、ジャケットも簡素ながら味わい深い。
- 英国オリジナル盤は入手困難だが、ヴィンテージ市場では高値で取引されている。
- バンドのフォークロックとしての完成度が極まった作品で、アナログ再生でその豊かなサウンドを楽しみたい。
5. Angel Delight (1971)
『Angel Delight』はラインナップが変わる中でもフェアポート・コンベンションのフォークロック黄金期を支えた一枚で、伝統的音楽の扱いに教養が感じられます。
- オリジナルのアナログLPはインナーに歌詞カードが付属している場合が多く、音質も当時として良好。
- レコードジャケットもデザイン性が高いことから、ビニールとともにコレクターの注目を浴びている。
フェアポート・コンベンションのレコードの魅力とコレクターズポイント
フェアポート・コンベンションのレコードの魅力は、単なる音楽作品としてだけではなく、ヴィンテージアナログの物理的な質感やジャケットアートの秀逸さにもあります。1960年代後半から1970年代初頭にかけてのレコード盤は、製造技術・材質ともに今よりも一枚一枚丁寧に作られており、その暖かく味わい深い音色はサブスクなどのデジタル音源では味わえません。
特にオリジナル英国盤は盤質やマトリクス番号によって価格が大きく変動し、希少なテストプレス盤やプレスミスのあるものはコレクター間で非常に高値で取引されることもあります。フェアポート・コンベンションが当時使用していたレーベル、トピカー・レコード(Topic Records)は伝統音楽のレコード制作においても定評があり、音質面での評価も高いです。
また、ジャケットデザインは英国民俗学や中世文化をモチーフにしたものが多く、アートとしての価値も高い。こうした盤は飾って楽しむ価値も十分であり、音楽ファンだけでなくアートコレクターからも注目されています。
まとめ:フェアポート・コンベンションの名盤をレコードで味わう意義
フェアポート・コンベンションは英国フォークロックの草分け的存在であり、音楽的にも文化的にも非常に重要な位置を占めています。彼らの名盤は時代の歴史的背景を感じさせると同時に、現代でも色褪せることのない名曲を多数収録しているため、今もなお多くのファンを魅了してやみません。
デジタル音源を超えたアナログレコードの豊かな音質、そして当時の時代感を映し出すジャケットやレーベルデザインは歴史的な「作品」としての価値も大きく、フェアポート・コンベンションの真髄を体験するには、やはりヴィンテージのレコードから音を紡ぎ出すことが最もおすすめです。
これからフェアポート・コンベンションの世界を深く知りたい方は、ぜひ各レコードのオリジナル盤を探し出し、そのアナログレコードが持つ魅力を直に感じていただきたいと思います。


