Pentangle(ペンタングル)入門:英国フォークロックの名盤レコードと代表曲を徹底解説

Pentangleとは:英国フォーク・ロックの金字塔

1960年代後半から70年代初頭にかけて、英国を中心にフォーク音楽やロック、ジャズの要素を絶妙に融合させたバンド「Pentangle(ペンタングル)」が活動し、多くの音楽ファンの心を掴みました。メンバーはジャク・ブルース(Jacqui McShee)、ジョン・レンボーン(John Renbourn)、トニー・ベネット(Bert Jansch)、ダニー・トンプソン(Danny Thompson)、テリー・コックス(Terry Cox)といった錚々たる顔ぶれで、それぞれが高度な技術と豊かな音楽性を持っていました。

Pentangleは「ジャズの即興性」と「フォークの伝統性」を併せ持ち、そのサウンドは時代を超えて多くの音楽家に影響を与えています。特に1970年代初頭にリリースされたレコードは、希少価値もあり、多くのコレクターの注目を集めています。本稿ではPentangleの代表曲を中心に、彼らのレコード作品とその特徴について詳しく解説していきます。

Pentangleの代表アルバムとレコードの特徴

Pentangleの代表的なレコード作品として特に注目されるのが、1968年にリリースされたデビュー・アルバム『The Pentangle』、その後の『Sweet Child』(1968)、『Basket of Light』(1969)、そして『Cruel Sister』(1970)です。これらのレコードは当時のアナログ盤としてリリースされ、それぞれのジャケットデザインやプレスの違いも愛好家の間で語り継がれています。

  • 『The Pentangle』(1968)
    デビュー作にして、バンドの世界観が完全に確立されたアルバム。ジョン・レンボーンのアコースティック・ギターとジャク・ブルースの柔らかいヴォーカルが見事に調和しています。レコードは緻密に作られており、聴く者を中世英国の物語の世界へと誘います。
  • 『Sweet Child』(1968)
    前作の成功を背景に、より実験的かつアグレッシブな音作りを行った作品。フォークの範疇を超え、ジャズやブルースの要素も強化されました。オリジナルのレコード盤は希少価値が高く、音質の良さも評判です。
  • 『Basket of Light』(1969)
    Pentangleの中でも特に人気の高いアルバムで、シングルカットされた「Light Flight」がヒットしました。レコードのジャケットデザインも高い評価を受けており、コレクターズアイテムとしての地位も確立しています。
  • 『Cruel Sister』(1970)
    伝統的な英国のフォークソングをアレンジしたコンセプトアルバム。彼らの音楽的な深みと技術の高さが最もよく表現された作品の一つで、レコードはその繊細な音響空間が再現されています。

代表曲の解説:Pentangleの音楽的魅力を支える名曲たち

ここではPentangleの音楽の核心である代表曲を取り上げ、彼らの演奏スタイルや楽曲の背景について解説します。彼らの楽曲は伝統的な民謡やトラディショナルをベースにしながらも、独自の解釈と洗練された演奏技術が加えられている点が特長です。

1. Light Flight

アルバム『Basket of Light』に収録されている「Light Flight」はPentangleの代表曲の中でも最も知られた楽曲です。軽快なリズムと共に紡がれるジョン・レンボーンとバート・ヤンシュのギターコンビネーションは、フォークロックファンのみならず、幅広いリスナーを魅了しました。

特筆すべきはテリー・コックスのドラムワークで、これが曲の躍動感を生み出し、Pentangle特有のジャズ的かつフォーク的な融合サウンドを構築しています。レコード盤は、オリジナルのUKプレスでは特に音のバランスが良く、アナログならではの温かみある音質を楽しめます。

2. Bruton Town

デビューアルバム『The Pentangle』に収録された「Bruton Town」は、歌詞のないインストゥルメンタル曲であり、バート・ヤンシュの類稀なアコースティックギターの技巧が存分に発揮されています。複雑なフィンガーピッキングを巧みに操りながらも、聴き手に寄り添う柔らかい旋律を奏でています。

当時のアナログ盤は細部まで音の表現力が豊かであり、ピックアップの良いレコードプレイヤーで聴くと、その繊細な演奏のニュアンスを存分に味わえます。

3. Let No Man Steal Your Thyme

英語圏の伝統的なバラッドを彼らなりにアレンジした名曲です。ジャク・ブルースの透明感のあるボーカルが光り、ジョン・レンボーンとバート・ヤンシュのギターが物語の世界観を彩ります。独特のハーモニーが心に染み渡る作品です。

レコードの音圧も高く、ヴォーカルとアコースティックギターのバランスが絶妙であるため、アナログレコードならではのダイナミクス感を堪能できます。

4. Cruel Sister

アルバム『Cruel Sister』のタイトル曲であるこのトラディショナル曲は、ペンタングルの音楽的なルーツを象徴しています。複数のメンバーの対話のような演奏が展開されるなか、歌詞に込められた物語がドラマティックに演出されています。

この曲のレコードは、特に英国オリジナル盤が評価されており、マスタリングの丁寧さや音の広がりが特徴です。アコースティック楽器の透明感や声の生々しさが際立つため、ヴィンテージレコードとして名高いです。

Pentangleレコードの収集ポイントとおすすめプレス

Pentangleのレコードは、その音楽的価値だけでなく、プレス物としての質も高く評価されています。中でも英国オリジナル盤はマスタリングが丁寧で、ジャケットにおいてはオリジナルのLPカバーが強いコレクション価値を持ちます。初期プレスは特に音質が良いため、もし入手可能であればぜひその音を体験してください。

  • 英国オリジナルプレス:最も評価の高いプレス。音の温かみと細部のニュアンスが聴き取れる。
  • 米国プレス:英国盤に比べるとやや硬質な音質だが、入手しやすい場合も多い。
  • 再発盤:音の修正がされていることがあり、好みや評価は分かれるが比較的手に入れやすい。

また、盤の状態を示す「コンディション」が非常に重要で、スクラッチ音が少なくクリアな音で再生できるものを選ぶことが、Pentangleの繊細なアコースティックサウンドを最大限に楽しむコツです。

まとめ:Pentangleのレコードから感じる時代の息吹と音楽の魔力

Pentangleはフォークとジャズ、ブルースを巧みに掛け合わせ、新たな音楽の地平を切り開いた先駆者です。彼らの代表曲を収めたレコードは、単なる音源以上の芸術作品であり、アナログレコードの音響特性がさらにその魅力を引き立てています。

現在はデジタルやサブスクが主流となっていますが、Pentangleの音楽の本質を深く味わいたい方には、ぜひオリジナル盤のレコードに触れていただきたいと思います。そこには当時の空気感やミュージシャンたちの息遣いが刻まれており、音楽の新たな側面を発見できるはずです。

フォークロック、アコースティックミュージックの名盤を探している方にとって、Pentangleのレコードは欠かせない存在となるでしょう。