ダイナ・ワシントンの名曲と希少レコード徹底解説|1950年代ジャズ・ブルースの音源とコレクターズアイテムの魅力
はじめに
Dinah Washington(ダイナ・ワシントン)は、ジャズやブルース、R&Bの分野で1950年代に絶大な人気を誇ったアメリカの歌手です。彼女の深く感情豊かな歌声は多くのリスナーを魅了し、数々の名曲を残しました。その音楽はレコードの形で広く流通し、コレクターやファンの間で今なお高い評価を得ています。本稿では、ダイナ・ワシントンの代表的な名曲を中心に、特にレコードにフォーカスしてその魅力と歴史的背景を解説します。
Dinah Washingtonとは
1924年、アラバマ州アトランタで生まれたDinah Washingtonは、本名をRuth Lee Jonesと言います。ピアノと歌を幼少期から学び、テキサス州ヒューストンに育ちました。1940年代にジャズクラブで歌い始めるとその才能が注目され、後にブルーノートやカピトル、フェイムなどのレーベルと契約。彼女のレコードはビッグバンドの伴奏によるジャズから、R&B、ブルース、更にはポップスのジャンルまで幅広く展開し、多くのヒットを生み出しました。
レコード時代のDinah Washington
Dinah Washingtonの音楽は、主に1950年代から60年代のアナログレコードでリリースされました。特に78回転や45回転のシングル、そして33回転のLPアルバムとして発売され、当時のリスナーはこれらのフォーマットで彼女の音楽を楽しんでいました。
当時はレコードジャケットのデザインや盤質もコレクションの価値を左右し、名盤とされる作品の第一次プレス盤は今なお中古市場で高値で取引されています。ダイナ・ワシントンの代表曲の多くはモノラル録音ですが、レコード独特の温かく豊かな音質がファンの支持を集めています。
Dinah Washingtonの代表的名曲とレコード情報
"What a Diff'rence a Day Made"
この曲は1940年代にスペイン語の「Cuando vuelva a tu lado」という曲を英語でカバーしたもので、1959年にリリースされた45回転シングル盤(Mercury 71427)が最も有名です。彼女の情感豊かな歌唱とジャジーなアレンジが特徴で、グラミー賞も受賞しました。
- レコード盤:Mercury(マーキュリー)71427(45回転シングル)
- リリース年:1959年
- 収録曲:「What a Diff'rence a Day Made」 / B面:「Come On Home"
このシングルは特にモノラル盤が人気で、初期プレスは音質が良いと評価されています。ジャケットも赤を基調にしたシンプルながら印象的なデザインが特徴です。
"This Bitter Earth"
1960年代にリリースされた「This Bitter Earth」はブルージーな雰囲気を漂わせるバラードで、深い悲しみと力強さを表現した名曲です。オリジナルレコードはMercuryから出ており、45回転のシングル盤Mercury 72297が代表的なリリースとなります。
- レコード盤:Mercury 72297(45回転シングル)
- リリース年:1960年代初期
- 収録曲:「This Bitter Earth」 / B面:「We Have Love"(別ヴァージョンも存在)
この曲のレコードは、深みのある声質とフェイムサウンドのストリングスアレンジが見事に融合しており、ヴィンテージ盤の音の温かみが際立ちます。
"Mad About the Boy"
「Mad About the Boy」は1940年代のスタンダード曲ですが、ダイナ・ワシントンのバージョンは特に情熱的な歌唱で知られています。1952年にリリースされたMercuryの78回転盤(Mercury 5509)が当時の代表作です。
- レコード盤:Mercury 5509(78回転シングル)
- リリース年:1952年
- 収録曲:「Mad About the Boy」 / B面:「My Heart Cries for You"
78回転の音溝のために再生機器を選ぶものの、オリジナルの雰囲気が最も良く伝わる音質として評価されており、コレクターズアイテムとして人気があります。
"Evil Gal Blues"
ダイナ・ワシントンのブルース路線の代表的1曲、「Evil Gal Blues」は1949年のMercuryレコードからのリリースが有名です。このシングルは45回転及び78回転の両方で発売されました。
- レコード盤:Mercury 5530(45回転及び78回転シングル)
- リリース年:1949年
- 収録曲:「Evil Gal Blues」 / B面:「Ain't Nobody's Business"
ブルースとジャズが融合したこの曲は、当時のシーンに大きな影響を与え、レコードの音質を通して彼女のパワフルな歌声を堪能できます。
レコードコレクションとしての魅力
Dinah Washingtonのレコードは、ジャケットのデザイン性もさることながら、音質の良さや希少性がコレクターから高く評価されています。特にモノラルの初期プレスは、音に厚みや温かみがあり、歌手の細やかな表現力をダイレクトに感じられるのが魅力です。
また、78回転盤の存在は音楽史的にも価値が高く、当時の録音技術の向上や音楽文化を知る手がかりとなっています。中古市場では良好な状態のものは希少なので、見つけた際には保存状態の確認が重要です。
まとめ
Dinah Washingtonは多様なジャンルを歌いこなした偉大な歌手であり、その代表曲はいまだに多くの人々に愛されています。特にレコードで聴く彼女の音楽は、CDやデジタル音源とは異なる温かさや臨場感を有しており、アナログの魅力を実感できるものです。
「What a Diff'rence a Day Made」や「This Bitter Earth」、「Mad About the Boy」、「Evil Gal Blues」といった名曲を中心に、オリジナルプレス盤のレコードはまさに歴史的な宝物と言えるでしょう。これらの作品を通じて、ダイナ・ワシントンの永遠の歌声と音楽的な遺産を味わい続けてほしいと思います。


