ボルテックスポンプとは?構造と特徴、建築・土木での活用をわかりやすく解説
ボルテックスポンプとは
ボルテックスポンプ(Vortex Pump)とは、インペラーがケーシング内部から後退した位置にあり、流体が渦(ボルテックス)によって吸い上げ・吐出される構造のポンプのことです。
一般的な渦巻ポンプと異なり、インペラーと固形物が直接接触しにくく、異物混入の多い液体でも詰まりにくいという特徴があります。
建築・土木の現場では、汚水・雑排水・泥水・固形物を含む排水など、過酷な条件で多く使用されるポンプのひとつです。
ボルテックスポンプの構造的な特徴
ボルテックスポンプは次のような構造を持ちます。
- インペラーが後方(奥側)に設置されている
- ケーシング内で渦流(Vortex)が発生
- 液体が“直接インペラーに触れず”に流れる
- 固形物や繊維状のゴミが通過しやすい
この構造により、固形物の詰まりが起きにくく、メンテナンス頻度を大幅に低減できます。
ボルテックスポンプが選ばれる理由(メリット)
1. 異物・固形物に強い
インペラーに触れずに流体が流れるため、
泥、砂、木片、ビニール、布などが混ざっていても詰まりにくい。
2. メンテナンス性が良い
接触しない構造のため摩耗が少なく、部品交換の頻度が減ります。
3. 長寿命・安定性が高い
過酷な現場でも高い耐久性を維持できます。
4. 排水用途に最適
汚水槽、建築地下ピット、工事現場の雑排水など、
幅広い排水用途で採用されています。
ボルテックスポンプのデメリット(注意点)
ボルテックスポンプにはメリットが多い一方、注意点もあります。
- 一般的な渦巻ポンプより効率(揚程・流量効率)が低い
- 高い揚程が必要な場面には不向き
- キャビテーションが発生しやすいケースがある
そのため、
「異物が多い=ボルテックス」
「高揚程が必要=多段ポンプ・渦巻ポンプ」
と用途を使い分ける必要があります。
建築・土木分野での主な使用例
建設現場・建築設備では次のような場面でよく使われます。
- 汚水槽の排水
- 雑排水槽(厨房・浴室・洗濯排水)
- 地下ピットの湧水排水
- 工事現場の泥水・雨水排水
- 河川工事の濁水排水
- 汚泥・スラリー含有水の移送
特に、マンション・ビルの汚水槽ユニットには標準的にボルテックスタイプがよく採用されます。
ボルテックスポンプと渦巻ポンプの違い
| 項目 | ボルテックスポンプ | 渦巻ポンプ |
|---|---|---|
| 構造 | 渦流による非接触流れ | インペラーが直接加圧 |
| 詰まりやすさ | 詰まりにくい | 詰まりやすい |
| 効率 | 低い | 高い |
| 適した用途 | 汚水・異物混入水 | 清水・給水・循環 |
| メンテナンス | 少ない | 多いことがある |
用途に応じて選定することで、故障を防ぎ長寿命化につながります。
まとめ
ボルテックスポンプとは、渦流を利用して異物を含む液体を効率よく排出できるポンプで、建築・土木現場では欠かせない設備です。
詰まりに強く、汚水・泥水に最適という特性から、ビル設備から土木工事まで広く利用されています。
一方で効率は低いため、用途に応じた適切なポンプ選定が重要となります。
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