Yes(イエス)レコード完全ガイド:オリジナル盤・リイシュー・マスタリングの見分け方とコレクション術
イントロダクション — Yesとは何か
Yes(イエス)は英国出身のプログレッシブ・ロックを代表するバンドで、1968年にロンドンで結成されました。ジョン・アンダーソン(ボーカル)とクリス・スクワイア(ベース)を中心に、ピーター・バンクス、トニー・ケイ、ビル・ブルーフォードらが初期メンバーとして名を連ね、以降メンバー変遷を繰り返しつつも1970年代のクラシック期に独自の音響世界を築き上げました。本稿ではバンド史の概略を押さえつつ、特に「レコード(アナログ盤)」に焦点を当て、オリジナル盤・リイシュー・マスタリング差・コレクションのポイントなどを詳しく解説します。
バンドの歴史と主要な転機(概略)
Yesは1968年結成、1969年にセルフタイトルのデビュー作「Yes」を発表しました。その後1970年代初頭にスティーヴ・ハウ(ギター)が参加、リック・ウェイクマン(キーボード)が加入することでサウンドが拡張され、1971年の『Fragile』、1972年の『Close to the Edge』といった傑作を生み出します。1973年の二枚組大作『Tales from Topographic Oceans』は評価が分かれながらも話題を呼び、以降も『Relayer』(1974)などでプログレ的実験を続けました。
1980年代に入るとメンバー構成が大きく変わり、1983年の『90125』ではトレヴァー・ラビンの参加によりポップでモダンなサウンドにシフトし、シングル「Owner of a Lonely Heart」が全米チャートでヒットします。その後も1990年代以降、合同ツアーや再編成(1991年の「Union」等)を経て活動を続け、2015年にクリス・スクワイアが逝去するまで長く第一線に立ち続けました。
レコード(アナログ盤)に見るYesの魅力
Yesがレコードで特に魅力的なのは、音楽自体のダイナミクスと同列に重要視されたアートワーク、そして豪華なパッケージ性です。ロジャー・ディーンの描く幻想的なジャケットはYesのイメージを視覚的に定着させ、LPの大きなキャンバス上でその魅力が最大限に発揮されます。たとえば『Fragile』『Close to the Edge』『Tales from Topographic Oceans』などのゲートフォールドや折り込みポスター的な仕様は、CDや配信では得られない物理体験を提供します。
主要アルバムとレコードの特徴(選集)
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『Fragile』(1971)
スティーヴ・ハウの参加直後に発表されたアルバム。名曲「Roundabout」を含み、オリジナル・アナログ盤は繊細なダイナミクスとキーボード/ギターの分離感が魅力です。初期プレスはマスターのアナログ感が強く、後年のデジタル・リマスターとは音像が異なります。
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『Close to the Edge』(1972)
プログレッシブ・ロックの金字塔とされるアルバム。オリジナル・アナログは曲間の自然な流れと広がりが非常に魅力的で、オリジナル盤はコレクターズアイテムとなっています。
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『Tales from Topographic Oceans』(1973)
二枚組の大作で、複雑かつ長大な楽曲構成。LPでは曲の分割や面ごとの構成によって聴取体験が異なり、オリジナルのゲートフォールド/インナー・スリーブ付属品の有無が価値に影響します。
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『90125』(1983)
トレヴァー・ラビン加入後の代表作。「Owner of a Lonely Heart」は当時の最先端プロダクションを反映し、1980年代のアナログ盤はマスタリング傾向が異なるため、オリジナル盤と再発盤で音質の傾向が分かれます。
オリジナル盤とリイシュー:どこを見れば良いか
レコードの良し悪しを見分けるポイントは主に以下です。
- レーベルとプレス国:オリジナルのリリース国家(UK盤、US盤、日本盤など)でプレス品質やマスタリングが違います。日本盤はオリジナルから近いマスターを使用した高品質プレスが多く、帯や日本語ライナーが付くこともありコレクター人気が高いです。
- マトリクス(ランアウト/刻印):スタンパー番号やマトリクス情報は初回プレスを判別する重要な手がかりです(Discogs等で照合すると良い)。
- ジャケット付属品の有無:ポスター、ライナー、インナー等が欠けていると価値が下がります。特に『Tales…』のような二枚組の付属品は重要。
- コンディション評価(盤質/ジャケット):中古市場での価格は盤の状態が最重視されます。傷、ノイズ、溝の摩耗、ジャケットのスレ等は査定に直結します。
マスタリングとサウンドの違い
Yesの作品は時代によりアナログ丸出しのダイナミクスから、デジタル化以降の派手な均質化まで幅があります。一般的な傾向として:
- 1970年代オリジナル・アナログ盤:低域から高域まで自然な伸びと音場の広がりが得やすい。特にキーボードのアナログ音色やギターの残響が豊かに響く。
- 再発・デジタル・リマスター盤:ノイズ低減や音圧の増大が施されることがあり、曲によっては原音のニュアンスが変わる場合がある。
- オーディオファイル向けリイシュー(180g等):原盤を丁寧に再マスターして重厚な盤でプレスするため、アナログ的な暖かさとクリアさを両立することが多い。
したがって「どれが良いか」は個人の嗜好(原音重視か、現代的な音圧か)によります。購入前にYouTubeの比較音源や専門家レビュー、出品者の試聴コメントを確認すると良いでしょう。
ジャケットとアートワークの重要性(ロジャー・ディーン)
Yesを語る上でロジャー・ディーンの存在は欠かせません。彼の描いた浮遊する島や独特のタイポグラフィはLPサイズのジャケットでこそ映えます。オリジナルのプリント品質や色味、折り目・見返しの状態はコレクション価値に直結します。特に初期作品のヴィヴィッドな色彩は、時間経過で退色することがあるため保存状態を確認してください。
レコードを買う/売る際の実務的アドバイス
- 購入前に写真とマトリクス情報を要求する:出品写真だけでなく、盤のランアウト(マトリクス刻印)とジャケット内側の写真を確認しましょう。
- コンディション表記の理解:中古レコードのグレード表記(Mint, Near Mint, Very Good+ 等)を理解し、実物のノイズ状況やスレを確認する。可能なら試聴を推奨。
- 高額なオリジナル盤は鑑定を依頼:真贋や初回仕様の有無で価格差が大きくなるため、専門店や査定サービスに相談するのが安全です。
- 売却時の梱包:レコードは割れや湿気に弱いため、厚手のダンボール+内側での固定、帯や付属物がある場合は別添えにするなど丁寧な梱包が査定評価にも良い影響を与えます。
リイシュー事情と注目盤
近年はアナログ復権により多くのYes作品が再プレス・高音質リイシューされています。180グラム重量盤やハーフスピード・マスタリング、オリジナル・アナログ・テープに基づく再マスターなど、各レーベルが多様な仕様でリリースしているため、自分の求める「音の志向」に合わせて選ぶことができます。オリジナルの感触を重視するなら初回アナログ盤、またはアナログ・マスターを慎重に扱ったモダンなアナログマスター盤(アナログプロダクション系や専門オーディオ・プレス)を探すと良いでしょう。
コレクター向けの注目ポイントまとめ
- 初回プレスの有無(マトリクス刻印で確認)
- 日本盤の帯・ライナーノートの有無
- ジャケット類の完全性(ポスター、インナー、ステッカー等)
- 盤質(ノイズ、スクラッチ、Warpの有無)
- アートワークの保存状態(色あせ、折れ、シミ)
まとめ
Yesは音楽性だけでなく、LPという物理メディアと相性の良いバンドです。ロジャー・ディーンのアートワーク、ゲートフォールド/二枚組というパッケージ、そしてアナログならではの空間表現は、レコードでこそ体感できる魅力があります。オリジナル盤のコレクションはマトリクス刻印や付属品の確認を丁寧に行うこと、リイシューはマスタリング仕様を見極めることが重要です。初心者はまず高評価のリイシューや日本盤の良好なプレスを手に入れ、耳と経験を育ててから高額なオリジナル盤へと進むのが安全で確実な道と言えるでしょう。
参考文献
- Yes (band) — Wikipedia
- Yes Biography — AllMusic
- Yes Discography — Discogs
- Official Yes Website — YesWorld
- Roger Dean — Official site (artwork for Yes)
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