FKJ(French Kiwi Juice)をレコードで楽しむ完全ガイド:Tadowの聴きどころ・アナログ盤の選び方と保存法
はじめに — FKJ(French Kiwi Juice)とレコードの関係
FKJ(French Kiwi Juice、本名 Vincent Fenton)はフランス出身のマルチインストゥルメンタリスト/プロデューサーで、エレクトロニック、ジャズ、ソウル、ヒップホップの要素をブレンドした独自のサウンドで知られます。彼のライブはループマシンと生演奏を組み合わせた即興性の高いパフォーマンスが特徴で、その“生っぽさ”と”温度感”がレコード(アナログ)フォーマットと非常に相性が良いことも、コレクターやオーディオファンの間で評価される理由の一つです。
本コラムでは、FKJの代表曲を中心に、その背景や制作、そして「レコード(アナログ盤)」という視点からのリリース情報や音質・プレスの違い、コレクター視点での注目点まで掘り下げます。特にCDやサブスクではなく、レコードで聴く・集める際に役立つ情報を優先して解説します(情報は2024年6月までに公開された一次・二次情報を踏まえています。最終的なカタログ番号や限定盤の有無など、細部は流通状況で変わるため、入手時に必ず現物・販売情報を確認してください)。
FKJの代表曲とレコードでの聴きどころ
Tadow(FKJ & Masego)
「Tadow」はFKJと米国のシンガー/サックス奏者Masegoによる共作で、2017年前後に大きく注目を集めたトラックです。もともとは即興的に生まれたセッションをもとにしており、デモ的なラフさと緻密な演奏が同居しています。ライブ映像(ループを重ねつつ即興で進むパフォーマンス)はSNSやYouTubeで大きな反響を呼び、音源の人気にもつながりました。
レコードで聴く際のポイント:
- アナログの低域表現が、トラックのスムースなベースラインとエレガントなサックス/ホーン風味をより「空気感」を伴って再現します。特に暖かいブラック盤や重量盤(180gなど)が好評です。
- ステム(ボーカル/サックス/キーボード等)ごとのダイナミクス差があるため、良好なターンテーブル・カートリッジで高域の抜けを確保すると、生々しい即興感が増します。
- 12インチシングルとしてプレスされる場合、曲の末尾処理(フェードや余韻の残し方)やカッティングのEQが盤ごとに差が出やすく、初期プレスと再発で音の印象が変わることがあるため、リリース情報の確認が重要です。
代表曲(アルバム収録曲) — 「Lying Together」など
FKJのセルフタイトル・アルバム(2017年のフルアルバム『French Kiwi Juice』)には、バンド感の強いアレンジやインスト中心のトラックが多数含まれており、シームレスに流れる楽曲構成はアナログLPで聴くと非常に高い没入感を得られます。代表的な曲の一つとして挙げられるのが「Lying Together」(アルバム内のソウル/ジャズ寄りの楽曲)です。
レコードでの聴きどころ:
- EPやLPに収録される場合、A面・B面の区切りが音楽体験を変えるため、トラック順がアナログ仕様に適宜調整されることがあります。実際のアナログ盤では曲間の収録時間や溝の深さが音質に影響します。
- アルバム盤はマスタリングの段階で「アナログ向け」にカットされていることがあり、サブスク版やCD版と比較して低域の温かみや中域の輪郭が異なることが多いです。特にFKJのような生楽器の混ざるトラックは、その差が顕著です。
インスト/ビート寄りのトラック(例:SkylineやInstrumentals)
FKJのインスト曲や短いインタールード的なトラックは、ターンテーブリストやDJが12インチでプレイする際に重宝されることがあります。再生速度やピッチを変えても音質が崩れにくいアナログのメリットを活かして、DJクラブやラウンジでよく使われます。
レコードでの聴きどころ:
- インスト中心のトラックはループ感やグルーヴの微細さが重要なため、アナログの位相感や空間情報の再生能力が大きく影響します。良好なプリアンプとターンテーブルで聴くと、ミックスの奥行きが増します。
- 12インチの片面に長尺でカッティングされたものはダイナミックレンジが広がりやすく、クラブ再生での迫力が出ますが、家庭用プレイヤーでは低域がモニタリングしにくいこともあるため、再生環境に応じた選択が必要です。
アナログ盤リリースの概要(代表的な盤と確認ポイント)
FKJの主要なアナログリリースは、レーベル「Roche Musique」(フランス)関連で流通していることが多く、以下の点がレコード収集のチェックポイントになります。
- 初回プレス/再発:初回プレスはマスターやカッティングが異なることがあるため音が良いと評価される場合が多い。再発は入手しやすい反面、マスターソースが変更されることもある。
- 盤の重量:180gなどの重量盤表記があるかどうか。重量盤はそもそも「音が良い」保証ではないが、歪みや反りが少ないとされる。
- 限定色盤やプロモ盤:限定カラー、テストプレス(試作盤)、プロモ盤はコレクター価値が高いが、オークションや個人売買では状態の見極めが重要。
- マトリクス/ランアウト刻印:盤のランアウト(溝切り後の刻印)にはカッティングエンジニアやコードが刻まれることが多く、初版か否かの手掛かりになる。
- ライナーやインサート:アナログには歌詞カード、インサート、ダウンロードコードが付属することがある。特にダウンロードコードはデジタルと併用する際に重要。
レコードの音質差:マスター/カッティングの観点から
FKJの楽曲は生楽器と電子音が混在するため、マスタリングとカッティングの処理が音質に大きく効きます。アナログカッティングでは以下の点がポイントです:
- 低域の処理:アナログでは過度な低域は溝の幅を大きくし、追従性に影響するため、ローエンドの整理(サブベースのロールオフ等)が行われることがあります。曲によってはCD/配信と比較して低域の印象が違う場合があります。
- 高域/ハイエンドの表現:アナログはハイエンドの「伸び」と「暖かさ」を出しやすい一方、過度なブーストはノイズや歪みの原因になります。FKJの繊細なトップエンド(シンセのエッジ、パーカッションのアタック)をどう出すかがカッティングの腕の見せ所です。
- ステレオイメージの管理:極端な位相差やセンターの重低音はアナログでうまく再現するための制約があります。ミックスをアナログ向けに調整しているか否かが、盤による差の原因になります。
コレクター向け購入・保存の実践的アドバイス
- 購入前:販売ページや盤面写真で「warpage(反り)」「center label(ラベル)」の状態、見えにくいだが重要な「ランアウト刻印(スタンパー)」の有無を確認する。出品者や店舗に試聴の可否を問い合わせるのが安全。
- 保管:直射日光・高温多湿を避け、立てて保管。内袋は静電防止素材のものを使い、スリーブは紙の酸化対策が施されたものを用意する。
- 再生:針圧とカートリッジの調整は大事。特にFKJのようなダイナミックな音源は適切な針圧で細部の再生が改善する。アンチスケーティングの設定やプレーヤーの設置面もチェック。
- クリーニング:レコードクリーナー(ウェット)とブラシ(ドライ)を併用。高域の曇りやポップノイズが気になる場合はウェットクリーニングを検討するが、繰り返しのクリーニングは表面を痛める可能性があるため注意。
代表的なアナログ盤リリース(抜粋・購入時の目安)
以下は代表的なアナログフォーマットのリリース例(完全なディスコグラフィーではありません)。購入時はリリース年・マトリクス番号・盤の色(限定か否か)を必ず確認してください。
- FKJ - French Kiwi Juice(フルアルバム LP) — Roche Musique からの流通が中心。初回プレスは完売しやすく、状態の良い中古は人気。
- Tadow(FKJ & Masego) — 12インチシングルとして流通した版が存在し、DJ用途やコレクター需要が高い。B面にインスト等が収録されることも。
- EPや限定7インチ/12インチ — 日本や欧州で限定盤として出る場合もある。限定カラー盤やプロモ盤は市場価値が上がることがある。
まとめ — なぜFKJをレコードで聴くべきか
FKJの音楽は、アナログ盤の持つ「物理的な空気感」「ダイナミクス」「温度感」と非常に相性が良く、特にベースの有機的な鳴りや、生演奏の微妙なニュアンスがアナログで聴くと一層立体的に感じられます。コレクターにとっては初回プレスや限定盤の価値、マスター/カッティング差による音の違いを楽しむ余地が大きく、単なるジャケ買い以上の満足感を与えてくれます。
なお、ここで述べた個々の盤のカタログ番号やマトリクス刻印などの細部は、盤ごとの個体差や再発の有無で変化します。実際に購入・鑑賞する際は、販売サイトやディスコグラフィー(Discogs等)でリリースの詳細を確認することを強くおすすめします。
参考文献
- FKJ — Wikipedia(英語)
- Discogs — FKJ 検索結果
- Roche Musique — レーベル公式サイト
- YouTube — "Tadow" 関連映像検索
- FKJ 公式サイト(アーティストサイト)
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