パット・メセニーをアナログで聴く:オリジナル盤・日本盤・おすすめレコード&コレクターズガイド
はじめに — パット・メセニーとレコード文化
パット・メセニー(Pat Metheny、1954年生)は、ジャズ/フュージョン界を代表するギタリスト/作曲家の一人です。70年代半ばのデビュー以来、エレクトリックギター、アコースティックギター、ギター・シンセサイザーなど多彩な音色を用い、作曲面でもリーダー作からパット・メセニー・グループ(PMG)まで幅広い世界観を提示してきました。本稿では代表的な楽曲を中心に、特に「レコード(アナログLP/シングル)」でのリリースやプレスに焦点を当てて解説します。オリジナル盤や日本盤、リマスター盤など、ヴァイナルで聴くことの意義やコレクターズ・ポイントも併せて紹介します。
代表曲とそのレコード情報(概観)
以下ではパット・メセニーの代表的な楽曲を取り上げ、それぞれの音楽的特徴、レコードでの初出やおすすめプレス、コレクターズ情報を整理します。曲名はオリジナル曲が発表されたアルバム単位で扱います。
- Bright Size Life(タイトル曲) — Bright Size Life / 1976(ECM)
- Phase Dance — Pat Metheny Group / 1978(ECM)
- Are You Going With Me? — Offramp / 1982(ECM)
- First Circle — First Circle / 1984(ECM)
- Minuano (Six-Eight)/Last Train Home — Still Life (Talking) / 1987(Geffen)
- This Is Not America — David Bowie & Pat Metheny(シングル)/ 1985
Bright Size Life(1976) — デビュー作とそのLP
パット・メセニー名義の最初のリーダー作が「Bright Size Life」です。レコーディングは1975年、ECMレコードから1976年にリリースされました。共演には当時若き天才ベーシスト、ジャコ・パストリアス(Jaco Pastorius)が参加しており、この組み合わせはジャズ史的にも重要です。リスナーに強烈な印象を残すタイトル曲「Bright Size Life」は、メセニーのメロディ・センスとギター・トーンの原点を示しています。
レコード面では、ECMのオリジナル・プレスは高い評価を受けています。ECM初期盤特有のクリアで広がりのあるサウンドは、アナログならではの空気感を伝えます。コレクターの間ではオリジナル・ヨーロッパ盤(ジャケット/ライナーがオリジナルのまま残るもの)や、日本盤の帯付き初回プレスが人気です。日本盤はしばしばマスタリングやカッティングが丁寧に行われることから、帯付き良好コンディションのLPは相応の価値があります。
Phase Dance(1978) — Pat Metheny Group とLPの魅力
パット・メセニー・グループ(PMG)としての出発を示すセルフタイトル・アルバム(1978年)の代表曲が「Phase Dance」です。リーダーであるパット・メセニーと共同作曲者であるライル・メイズ(Lyle Mays)によるサウンド・デザインが成長を見せる楽曲で、ポリリズム的な動きと叙情的なメロディのバランスが魅力です。
LPではECMのジャケットデザインやフォト、ライナーノーツがその当時の空気を色濃く伝えます。1970年代後半のECM盤は一般にキメ細かいステレオイメージを持ち、ヴィニールの状態が良ければ各楽器の定位が明瞭に出ます。日本の帯付き盤は解説が日本語で付く反面、希少性も高く、コレクターズアイテムになっています。
Are You Going With Me?(Offramp / 1982) — サウンドの拡張
1980年代に入るとパット・メセニーはギター・シンセサイザーや新しいエフェクトを積極的に導入します。1982年のアルバム「Offramp」には「Are You Going With Me?」が収録され、シンセ・パッドとギターの長いフレーズが空間を作り出す名曲として知られます。
「Offramp」はECMからのリリースで、アナログLPとしての初出は欧米のオリジナル・プレスのほか、日本盤LPでも流通しました。特に初期のアナログはシンセの低域やリバーブの余韻が自然に聴こえるため、この曲の浮遊感を存分に楽しめます。レコード購入時には盤面のノイズやスクラッチの有無、ジャケットの保存状態を確認すると良いでしょう。
First Circle(1984) — リズム構造とアナログ再生
「First Circle」は同名アルバム(1984年)のリード曲で、複雑なリズム設計と即興性が融合した作品です。7/8や複合拍子を感じさせるグルーヴが特徴で、ライヴでも頻繁に演奏される代表曲になりました。LPで聴く際にはドラム・サウンドやパーカッシブな要素の再生が重要になりますが、良好なプレスはスネアやトムの立ち上がり、アコースティック楽器のディテールをよく捉えます。
Minuano (Six-Eight) と Last Train Home(Still Life (Talking) / 1987)
1987年の「Still Life (Talking)」には「Minuano (Six-Eight)」や「Last Train Home」など、よりメロディアスかつポピュラーな魅力を持つ曲が収録されています。「Minuano」はブラジリアン・フィールを取り入れたリズムの美しさが光り、「Last Train Home」はシンプルながら情感豊かなテーマで広く愛されています。
このアルバムはレーベルがGeffenに移った時期の作品で、アナログLPとしてもリリースされました。80年代後半のLPはマスターのダイナミクスやEQ処理がCD世代と異なるため、アナログ独特の温度感や低域の厚みを楽しみたいコレクターにはオリジナルLPが支持されます。日本盤帯付きやプロモ盤など、プレスによる音の差や帯の有無を確認するのが良いでしょう。
This Is Not America(1985)— シングル盤の価値
デヴィッド・ボウイ(David Bowie)との共作である「This Is Not America」は1985年公開映画『脱出/Escape from…(邦題:ファルコン&スノーマン)』のサウンドトラックに関連するシングルで、ボウイのボーカルにパット・メセニーのギターが印象的に絡みます。7インチ・シングルや12インチ・シングルが各国でリリースされ、シングル盤はコレクター市場でも注目されます。
シングル盤の魅力はアルバム未収録の別テイクや編集バージョン、B面曲などが含まれることがある点です。良好なマトリクスやラベル情報、帯付き日本盤などは市場で高値になることもあるため、状態確認は重要です。
アナログで聴く意義と購入時のチェックポイント
パット・メセニーの作品は録音の空間表現や音像の広がりが魅力で、アナログLPはその「空気感」を伝える手段として特に有効です。レコードで聴く際のチェックポイントは以下の通りです。
- プレスの種類:オリジナル・プレス(初版)かリイシューかを確認。オリジナルは一般に価値が高い。
- 盤質:ノイズやスクラッチ、歪みの有無を視覚的・試聴的に確認。A/B面のレベル差がないかをチェック。
- ジャケット/帯:日本盤の帯(オビ)やインサート、ライナーノーツの有無は評価点。
- マスタリング:リマスター/再発の記載を確認。アナログ専用のハーフ・スピード・マスターなどの表記がある場合は音質面で注目。
- ラベル/カタログ番号:オリジナル盤はラベルやカタログ番号が異なる場合があり、これで真贋やプレス世代を判別できる。
おすすめ盤/注目のプレス(一般的ガイド)
具体的な個体毎の音質は状態次第ですが、一般的なガイドラインは以下の通りです。
- ECM初期の欧州オリジナル盤:空間表現と高域の伸びが良好で人気。
- 日本盤帯付き:解説と帯、希少性から高評価。国内流通量は限られる。
- プロモ盤や音圧が異なる欧米プレス:コレクターにとっては選びがいがある。
- シングル盤(This Is Not America など):7インチ/12インチはコレクターズ・アイテムになりやすい。
最後に — ヴァイナルで残すパット・メセニーの音楽体験
パット・メセニーの楽曲は作曲の美しさと演奏の繊細さが同居するため、アナログレコードで聴くことにより、楽器の響きやスタジオの空気、残響のニュアンスをより濃密に体験できます。オリジナル・プレスや帯付き日本盤など、盤そのものに歴史が宿るのもレコード収集の魅力です。購入・保存の際は盤質やジャケットの状態をよく確認し、良好なコンディションのものを選ぶと長く楽しめます。
参考文献
- Pat Metheny Official Site — Biography & Discography
- ECM Records — Official Label Site
- AllMusic — Pat Metheny Artist Page
- Discogs — Pat Metheny Discography (Vinyl Releases)
- Grammy.com — Pat Metheny Awards
エバープレイの中古レコード通販ショップ
エバープレイでは中古レコードのオンライン販売を行っておりますので是非一度ご覧ください。
https://everplay.base.shop/
また、レコードの宅配買取も行っております。
ダンボールにレコードを詰めて宅配業者を待つだけで簡単にレコードが売れちゃいます。
是非ご利用ください。
https://everplay.jp/delivery


