Bon Iverのレコード完全ガイド — 代表曲別プレス解説と初回盤・限定盤の狙いどころ
イントロダクション — Bon Iverとレコードの関係
Bon Iver(ボン・イヴェール)は、リーダーであるジャスティン・バーノン(Justin Vernon)を中心としたプロジェクトであり、2007年リリースの『For Emma, Forever Ago』以降、インディー・フォーク/エクスペリメンタルなサウンドで世界的な支持を得てきました。本稿では「代表曲」を軸に、可能な限りレコード(vinyl)に関する情報を優先して掘り下げます。盤種(LP/7"/12")、マスタリングやプレスの違い、限定盤や初期プレスの稀少性、アートワークやパッケージの特徴など、レコード収集の観点から読み応えある解説を目指します。
「For Emma, Forever Ago」(2007/2008)と代表曲群
Bon Iverの出発点である『For Emma, Forever Ago』は、ジャスティン・バーノンがウィスコンシン州の小屋(キャビン)で孤独に制作したというエピソードで知られています。この作品には「Flume」「Skinny Love」「The Wolves (Acts I & II)」など、後にBon Iverの代名詞となる楽曲が収められています。
- Flume:アルバム冒頭を飾る短く繊細な曲。アナログ盤ではA面冒頭としての音像作りが重要で、初期プレスのカッティングはダイナミクスを生かすために低ノイズでカットされています。
- Skinny Love:後に多くのカバーを生み、Bon Iverの代表的な一曲に。7インチのシングルカットや、限定カラー盤が流通したこともあり、初期のアナログ盤(インディ・リリース→Jagjaguwar再発の初期プレス)はコレクターズ・アイテムになりやすいです。
- The Wolves (Acts I & II):フォーク調の静かだが熱量のある曲。表現のディテールが重要なため、高品質なプレス(重量盤や初回プレス)での再生が推奨されます。
レコード情報(一般論):
For Emmaは当初セルフリリース的に広がり、その後Jagjaguwar(英米でのインディ・レーベル)から再発されました。初回のレコード入手は限定的で、後年の再プレスやアニヴァーサリー盤で音質/パッケージが改善されている場合が多い点はレコード購入時に注意すべきポイントです。
セルフタイトル『Bon Iver, Bon Iver』(2011)と「Holocene」など
2011年リリースの2作目『Bon Iver, Bon Iver』はサウンド・スケールが大きく広がり、室内楽的なアレンジやブラス、シンセを導入したことが特徴です。代表曲には「Holocene」「Perth」「Calgary」などがあります。
- Holocene:繊細な混響と広がりを持つ名曲。2012年グラミーでの評価やメディア露出により人気が高まり、アナログ盤(2枚組LPのゲートフォールド仕様)での再生が特に楽曲の余韻を引き出します。
- Perth:オーケストレーション的な幕開けをもつ曲。アナログでの解像感が高いと、イントロの厚みがより感じられます。
レコード仕様:
『Bon Iver, Bon Iver』は通常2枚組(ダブルLP)でリリースされることが多く、収録時間とステレオ幅を確保するための配慮が見られます。プレスによってはカッティングの差が明確で、A/B面ごとの音量差や低域の処理が異なることがあるため、信頼できるプレス(公式再発の高品質盤や重量盤)を選ぶのが良いでしょう。
『22, A Million』(2016)— 実験性とレコード表現
2016年の『22, A Million』はエレクトロニクスとサンプリング、破壊的な編集を多用した極めて実験的な作品で、音像も有機的なフォークから大きく離れました。代表曲「22 (OVER S∞∞N)」「715 - CRΣΣKS」「33 'GOD'」などは、アナログではその手法ゆえに再生環境によって大きく印象が変わります。
- このアルバムはしばしば2LP仕様で出ており、曲間のフェードやトラックの配置がアナログのサイド割りに影響を受けます。トラックのダイナミクスを生かすために、カッティングが深いプレスや45回転仕様のリリース(もしあれば)が望ましい傾向があります。
- また、本作はアートワークやパッケージに凝った限定盤が出ることがあり、コレクターズアイテムとしての需要が高い作品です。
『i,i』(2019)と「Hey, Ma」ほか最新作のレコード事情
『i,i』は2019年リリースで、これまでのスタイルを総括しつつよりリズミカルで祝祭感のある楽曲も増えました。「Hey, Ma」はその中心的な楽曲の一つです。アナログ盤は2枚組が標準で、ステレオ・フィールドの広がりを生かすレイアウトになっています。
重要なのは、近年のリリースはデジタルマスターからアナログカッティングへ変換される工程や、マスタリングの方針が異なる場合があること。例えば「ラウドネスを抑え、アナログでの温かみを優先するリイシュー」が存在することもあるため、購入前にマスタリングおよびプレスの情報(マトリクス、カッティングエンジニア名、プレス工場など)を確認することをおすすめします。
EP・シングル盤(7"/12")の注目点
Bon Iver関連でリリースされるEPやシングル(7インチ、12インチ)は、アルバムには未収録のバージョンやライブテイク、リミックスが含まれることがあります。例として『Blood Bank EP』(2009)はBon Iverの音楽的幅を示した重要なリリースで、12インチEPとして出回りました。シングル盤はプレス量が少ないことが多く、限定カラー盤やツアー限定盤はプレミアムが付く場合があります。
レコード選びの実務的アドバイス
- 初期プレスと再プレスの違い:初回プレスは一般にコレクター価値が高いが、音質が劣ることもある(マスターやカッティングの違い)。リイシューは新たにリマスタリングされ、音質的に優れる場合もある。
- プレス情報の確認:重量(180g等)、枚数(2LP等)、回転数(45rpmの有無)、カッティングエンジニア名、マトリクス/スタンパー番号を確認すると、どのプレスが良質か判断しやすい。
- パッケージとインサート:歌詞カード、アートプリント、限定スリーブなどが付属するプレスはコレクション価値が高い。
- 保存と再生:アナログは湿度・直射日光に弱く、適切な保管(縦積み不可、立てて保管)と針の適合(針圧、カートリッジの種類)で最良の音を引き出せます。
コレクターズ・ポイント:何を狙うべきか
Bon Iverのレコード収集においては、以下が典型的に価値が付きやすいポイントです。
- 初回プレスや限定カラー盤、ツアー限定アイテム。
- 独自のパッケージ(特殊加工ジャケットやポスター同梱など)。
- 公式直販/レーベル流通のシリアル番号入り限定盤。
- 人気曲のシングルカット(7インチ)で流通量が少ないプレス。
まとめ
Bon Iverの楽曲は、楽曲自体の詩情やアレンジの繊細さにより、アナログ再生で特に深く味わえる作品が多いです。初期の『For Emma, Forever Ago』の静謐さ、セルフタイトル作のスケール感、実験的な『22, A Million』、そして祝祭的な『i,i』――いずれもレコードのフォーマットごとに別の表情を見せます。購入者は、どのプレスが自分の好みに合うか(初期プレスの雰囲気を重視するか、リイシューの音質を重視するか)を判断し、マスタリング情報やプレス仕様を確認してから購入することをおすすめします。
参考文献
- Bon Iver — Wikipedia
- For Emma, Forever Ago — Wikipedia
- Bon Iver (2011) — Wikipedia
- 22, A Million — Wikipedia
- i,i — Wikipedia
- Grammy.com — Bon Iver
- AllMusic — Bon Iver
- Jagjaguwar(レーベル公式)
- Discogs — Bon Iver(プレス情報の参照に便利)
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