張国榮(レスリー・チャン)レコード完全ガイド:代表曲の初版・プレス違いの見分け方と保存法
はじめに — 張国榮(レスリー・チャン)と「レコード」の関係性
張国榮(Leslie Cheung、1956–2003)は、香港を代表する歌手・俳優の一人であり、1980年代から90年代にかけての広東歌壇(カントポップ)を象徴する存在でした。本稿では彼の「代表曲」を中心に、その楽曲が当時どのようにレコード(アナログ盤)で流通してきたか、レコード固有の物理的特徴やコレクターズ観点からの読み解きを交えて解説します。CDやサブスクでの配信では得られない、当時の音作り・マスタリング事情や盤のバリエーション(香港盤、台湾盤、日本盤など)、ジャケットやインナーの差異といった“レコードならでは”の魅力を優先して掘り下げます。
代表曲とレコードでの初出・流通(概説)
張国榮のキャリアはシングルやアルバムのレコード流通と密接に結びついています。特に1980年代中盤以降、彼が所属したレコード会社(当時の香港レーベル、例:Cinepoly=三立等)は、7インチ・シングルや12インチLPで楽曲を市場に送り出し、ラジオやテレビ、ライブと連動してヒットを生みました。以下では、代表曲のうちレコードリリースに関して特に語る価値のある作品を中心に取り上げます。
「Monica」 — 張国榮のブレイクスルーと7インチ/LPでの流通(1984年ころ)
「Monica」は張国榮を一躍スターに押し上げた代表曲で、1984年前後のリリースが契機となりました。ポップでキャッチーなメロディと彼の歌唱表現が相まって、当時の若者文化に強く支持されました。
- レコードでの形態:当時は7インチ・シングル(45回転)でのプロモーションが一般的で、ラジオ局や販促用にシングル盤が流通しました。また楽曲を収めたLPアルバムにも収録され、アルバムのアナログ盤は家での鑑賞用として普及していました。
- 盤ごとの差異:香港盤(当時の現地プレス)、台湾盤、日本盤の違いは音質やジャケット表記の言語だけでなく、プレス工場やマスター・ラッカー、カッティングエンジニアの違いによって音の温度感やダイナミクスに差が出ます。コレクターはしばしば「オリジナル香港初版」「日本初回盤」の刻印やマトリックス(溝刻印)を確認して価値を判断します。
- コレクションのポイント:7インチのセンターピン穴、盤質、ジャケットの保存状態、オリジナル帯(日本流通分)やプレス表記(manufactured by/printed in)の有無が査定に効きます。
映画主題歌とアルバム収録 — 「倩女幽魂(A Chinese Ghost Story)」の系譜
張国榮は俳優としても多くの映画に出演し、その主題歌や挿入歌を歌う機会が多くありました。映画主題歌は映画のサウンドトラック盤(OST)としてアナログLPで発売されることがあり、映画ヒットと相まってレコード自体の人気を押し上げました。
- サウンドトラックLPの特徴:映画主題歌が収められたサウンドトラックのLPには、映画写真を大きく使ったジャケットや日本語/中国語の曲解説が付くことがあり、ヴィジュアル資料としての価値も高いです。初版LPは限定プレスであることが多く、コンサートでの演奏バージョンやモノラル/ステレオの違いなど収録フォーマットの違いも見られます。
- 盤のバリエーション:香港盤・台湾盤では曲順や収録曲が異なる場合、また日本向けに別バージョンの歌詞カードや歌詞の翻訳が付属することもあります。
ライブ録音・コンピレーション盤 — 当時の声色を残すアナログの価値
張国榮の魅力のひとつは、ステージでの表現力とMC(トーク)を含めた「ライブ空気感」です。80年代後半から90年代にかけて、ライブ録音を収めたEPやLPが限定的に出回ることがあり、当時の臨場感を伝えるアナログ盤は現在でもコレクターから需要があります。
- 限定盤・プロモ盤:コンサートツアーの会場売りやファンクラブ限定で販売されたレコードは流通量が少なく、盤そのものだけでなく封入物(ツアー写真カード、プログラム抜粋など)の有無が価値を左右します。
- 音の魅力:ライブLPは会場マイクの収録やアナログミキシングによる音像が、デジタルリマスターとは異なる温度感を残します。スクラッチやノイズも時代の証として捉えられることがあります。
アナログ盤のプレス違いと見分け方 — コレクターガイド
張国榮のレコードを集める際、以下のポイントで個体を見分けます。
- レーベル表記・カタログ番号:ジャケットやラベルに記載されたレーベル名(Cinepoly、PolyGram等)やカタログ番号は、初版/再発を判断する基本情報です。
- マトリックス(runout groove)の刻印:盤の溝外側に刻まれた刻印はプレス工場やカッティングの識別に有効で、オリジナル・マスターか再プレスかの手掛かりになります。
- プレス国の違い:香港盤は当時の現地工場でプレスされることが多く、台湾、日本向けはそれぞれ別工場。日本プレスは一般に高音質で丁寧なプレスがされることが多く、帯付初回盤は特に人気です。
- ジャケット素材と印刷:オリジナル盤は厚手のジャケットや特有のニス加工、インナー・スリーブ(歌詞カードや写真)などが付属する場合が多く、これらの保存状態によって評価が大きく変わります。
リイシューと現代のアナログ事情
近年、世界的にアナログ復権が進み、張国榮の作品も限定的にアナログ再発されることがあります。オリジナルマスターからの再カッティング(ハーフスピード・マスタリング等)や重量盤(180g)など、当時の音源を現在の技術で高品位に再現する企画が注目されています。ただし「再発」と「オリジナル」ではプレス、マスタリング、封入物が異なるため、コレクターはその差を見極める必要があります。
代表曲を語る際の注意点 — 楽曲と時代背景の理解
張国榮の「代表曲」には、単にヒットチャートの成績だけでなく、映画出演やステージでの披露、時代のムーブメントとの結びつきが強く影響しています。レコードで聴く場合、その音質やジャケット写真、封入物から当時の状況(プロモーション方針、海外展開の有無、コスト感)を読み解くことができます。代表曲を語る際には、楽曲そのものの出来に加え、当時のリリース形態(7インチ/12インチ/LP/サウンドトラック)や流通地域の違いを踏まえると、より立体的に理解できます。
保存と取り扱いの実務的アドバイス
- 保存環境:直射日光・高温多湿は禁物。湿度は40〜60%を目安に管理。ジャケットは日焼けや変色を起こすため、保管箱やスリーブで遮光する。
- 再生時の注意:プレイヤーの針圧やカートリッジの仕様を盤に合わせる。古い盤は軽いクリーニングで埃を除去してから再生することで摩耗を防げる。
- 価値保持:帯やポスター、歌詞カードなど付属物が揃っているほど査定額は高くなるため、可能であれば付属品を分けずに保管する。
おわりに — レコードで聴く張国榮の魅力
張国榮の楽曲をレコードで聴くことは、単に音楽を楽しむ行為以上の意味を持ちます。ジャケットの写真、印刷物の質感、針が溝を辿る際の物理的なノイズまでもが当時の空気を伝え、楽曲が生まれた文脈を感じさせます。代表曲を中心にレコードを集めることは、張国榮というアーティストの表現史を物理的にトレースする行為でもあります。コレクターやリスナーは、音質や保存状態、プレスの違いを手掛かりに、自分なりの“張国榮像”をレコードを通して再構築していくことができます。
参考文献
- Leslie Cheung — English Wikipedia
- 張國榮 — 中文維基百科
- レスリー・チャン — 日本語ウィキペディア
- Discogs — 張国榮(Leslie Cheung)検索結果(レコード入手・リリース確認に便利)
- Cinepoly Records — Wikipedia(関連レーベル情報)
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