エルヴィス・コステロのアナログ盤完全ガイド:初回プレスの見分け方と保管・買取ポイント
エルヴィス・コステロとは
エルヴィス・コステロ(Elvis Costello、本名 Declan Patrick MacManus、1954年8月25日生)は、1970年代後半のパンク/ニュー・ウェイヴ期に頭角を現したシンガーソングライターです。父ロス・マクマナスはプロのミュージシャンであったため幼少期から音楽に親しみ、1977年のデビュー作『My Aim Is True』で一気に注目を集めました。以後、ニック・ロウ(Nick Lowe)との初期の協働、アトラクションズ(The Attractions:スティーヴ・ニーヴ、ブルース・トーマス、ピート・トーマス)との強力なバンドワークによって、ロック、パンク、ポップ、パブ・ロック、ポップス、さらにはクラシックやバート・バカラックとの共作まで幅広い音楽性を示しています。
レコード(アナログ)における重要ポイント
エルヴィス・コステロのキャリアは、リリース形式として「シングル盤(7インチ)」と「アルバム(LP)」が中心だった時期と、後のCD/デジタル時代にまたがります。特に1977〜1980年代初頭のアナログ盤は音楽的にも商業的にも重要で、コレクターズ市場でも評価が高いです。以下はレコード収集の観点で押さえておきたいポイントです。
- 初期プレスの価値:デビュー期(Stiff Records、Radar、F-Beat 等)にリリースされた初回プレスは状態が良ければプレミアがつきやすい。特に『My Aim Is True』のUK初回盤や、シングル「Watching the Detectives」「Less Than Zero」など、オリジナルのレーベルやカヴァー違いが重要視されます。
- 国別の違い:同じアルバムでもUKとUSでジャケット写真、曲順、収録曲が異なるケースが多く、米盤/英盤の聴き比べ・収集対象としての面白さがあります。例えば『My Aim Is True』は米国盤のカヴァーやトラック順が異なることで知られています。
- プロデューサーとマスタリング表記:ニック・ロウやジョフ・エマーリック(Geoff Emerick)など有名プロデューサーやエンジニアの名がクレジットされたプレスは、音質面・歴史的価値の両面で注目されます。
- シングルの重要性:「Watching the Detectives」「Pump It Up」「Oliver's Army」などの7インチは、オリジナル盤の状態次第でコレクター価値が高い。特に「Oliver's Army」は1979年にUKシングルチャートで2位を記録したヒット曲であり、当時のシングル盤は人気です(公式チャート参照)。
代表的なアナログ作品(レコード視点)
以下はレコードで手に入れたい代表盤と、そのアナログ的な特徴・注目点です。
- My Aim Is True(1977) — デビュー作。英盤の初回プレスはStiff Recordsから。米盤はカヴァーや曲順が異なり、どちらもコレクターに人気。バック・バンドとしてのClover(米国のセッション・バンド)が参加した点もレア要素です。
- This Year's Model(1978) — 初めてThe Attractionsを全面フィーチャーしたアルバム。ステレオ・ミックスの質や初回ジャケットの状態で価値が変わります。
- Armed Forces(1979) — 「Oliver's Army」を含む政治色の強い名盤。UK初回プレスやプロモ盤は人気があります。
- Get Happy!!(1980)/Almost Blue(1981)/Imperial Bedroom(1982) — 各盤ともに音楽的な幅を見せる作品で、オリジナルのアナログ盤はマスタリング差やカッティングの違いによって音質と評価が変わることがあります。特に『Imperial Bedroom』はジョフ・エマーリックが関わっており、マスタリング面で注目されます。
- Punch the Clock(1983)/Spike(1989) — 80年代以降の作品はプロダクションが厚く、12インチ・シングルや限定カラー盤、プロモ盤など多様なヴァリエーションがあります。『Spike』収録の「Veronica」は後年の代表曲の一つです。
コレクターが見るべきレコードのポイント
レコード鑑定や購入時に注目すべき具体的なポイントを挙げます。これはエルヴィス・コステロに限らずアナログ収集全般に有効です。
- レーベル/カタログ番号:盤のセンター・ラベルに記載されるレーベル名とカタログ番号は初回プレス識別の基本。例:Stiff、Radar、F-Beat、Columbia など。
- デッドワックス(ランアウト溝)刻印:スタンパー番号やマスター担当者のイニシャル、時にはメッセージが刻まれていることがあります。初回と再発で刻印が異なるため、第一の判別手段になります。
- ジャケットの差異:写真のトーン、背表紙の文字、インナースリーヴや歌詞カードの有無など。特に1970年代のUK初回盤は紙質や印刷の違いが見られます。
- プロモ盤/テストプレス:ラジオ局配布用のプロモ盤やテストプレスは数量が少なく、状態が良ければ高値になります。センター穴の形状や「Promo」表記を確認。
- 盤質と評価:VG+/VG/EX/M(Mint)などのコンディション評価は価格を大きく左右します。ジャケットの折れや汚れ、盤のスクラッチに注意。
再発と現代のヴァイナル事情
2000年代以降、多くの名盤がアナログ再発(180g重量盤、リマスター盤)として復刻されました。エルヴィス・コステロの代表作も例外ではなく、豪華盤やボックスセット、アナログ専用リマスター盤が複数リリースされています。再発盤は音質向上や追加トラックが魅力ですが、オリジナル初回盤と比べて「歴史的価値」は異なるため、コレクションの目的によって選択が分かれます。
レコードの買い方・保管法(実践ガイド)
エルヴィス・コステロのレコードを長く良い状態で保つための基本的な注意点です。
- 直射日光や高温多湿を避け、立てて保管する。重ね置きはジャケットの歪みや盤の反りを招く。
- 内袋(インナースリーヴ)は静電気防止の紙やポリ袋を使う。レーベル面に触れない。
- 盤面は柔らかいブラシや溶液で定期的にクリーニングする。強い薬品や布で擦るのは避ける。
- 購入時は必ず試聴(または状態写真)を確認し、デッドワックスの刻印や盤面のギグル・ノイズの有無をチェックする。
コレクションで注目される盤例(実例)
以下はマーケットでよくリストアップされる注目盤の例です。価格や希少性は市場で変動しますので、購入や売却の際は最新の相場(Discogs、eBay、国内中古ショップ)を照合してください。
- 『My Aim Is True』UK初回盤(Stiff) — ジャケット/センター・ラベルの状態が重要。
- 「Watching the Detectives」7インチ初回盤 — ステレオ盤/プロモ盤の差異に注目。
- 『Armed Forces』UK初回盤 — ジャケットの色味やインナースリーヴの有無などが鑑定ポイント。
- 限定色・ピクチャー・ディスクやプロモーション用12インチシングル — 数が少ないためコレクター需要が高い。
ディスクグラフィとキャリアの広がり(簡略リスト)
代表的なアルバム(LP中心、年はオリジナル発売年)を挙げます。アナログでの入手性やヴァリエーションの多さを示すための指標です。
- My Aim Is True(1977)
- This Year's Model(1978)
- Armed Forces(1979)
- Get Happy!!(1980)
- Almost Blue(1981)
- Imperial Bedroom(1982)
- Punch the Clock(1983)
- Spike(1989)
- The Juliet Letters(1993)〜ブロドスキー弦楽四重奏との共作
- Painted from Memory(1998)〜バート・バカラック共作
- The River in Reverse(2006)〜アレン・トゥーサンとの共作
まとめ(レコード収集の魅力)
エルヴィス・コステロはソングライティングの才とジャンル横断的なアプローチで知られるアーティストであり、彼のアナログ盤は音楽史的価値とコレクター市場としての魅力を併せ持っています。オリジナル・プレスのサウンドとジャケットの質感、国別ヴァリエーションやプロモ盤の希少性など、レコードならではの楽しみが多く残されています。購入や鑑定の際は盤とジャケットの状態、ランアウト刻印、レーベル表記などを丁寧に確認し、信頼できる出所で入手することをおすすめします。
参考文献
- Elvis Costello 公式サイト
- AllMusic - Elvis Costello Biography
- Discogs - Elvis Costello(ディスコグラフィとプレス情報)
- Official Charts - "Oliver's Army" チャート情報
- Wikipedia(日本語):エルヴィス・コステロ
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